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生井 利幸のコラム「 勝利のための発想法」
生井 利幸
生井 利幸(なまい としゆき)
生井利幸事務所代表

11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。帰国後は、作家として多方面において執筆・講演等を行う。

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Vol. 95 『「真のプロフェッショナリズム」は、数々の辛苦を経験して確立される』
(2012年05月10日)
海外でも日本でも、命をはってビジネスを行うプロフェッショナルにとって「ビジネスを行う」という行為は、まさに「使命感を背負って行う"自分の人生における大事業"」。今、このような観点からビジネスを捉えるとき、できるビジネスパーソンの目には、そこに、乗り越えなければならない数々の試練や困難が見えてくるに違いありません。

本来、「人生を生きる」ということは、この地球上におけるどのような人間においても決して簡単な行為ではありません。言うまでもなく、私たち人間は、自らの人生を生きるそのプロセスにおいて実に様々なことを経験します。無論、"根本的願望"として、人間には皆、「たった一度しかない人生を生きるのだから、毎日、楽しい時間を過ごしたい」という願望があります。

一方、人間は、多かれ少なかれ、人生を生きるその過程において何らかの辛苦を経験します。「辛苦」という言葉、これを文字通り解釈すると「辛く苦しい」という意味。どのような人間にとっても、この「辛く苦しい」という経験は、可能であるならば、自分の人生においては"避けて通りたいもの"であるに違いありません。しかし、現実問題として、私たち人間は、迎える日々における実際の生活において、しばしば、何らかの困難な状況に遭遇し、いわゆる「辛く苦しい」経験をします。

「辛苦」という経験、・・・・・この経験を「人生におけるどのような局面において遭遇するのか」ということは個人個人によって違いますが、この、「人間が辛苦を経験する理由」について捉えようとするとき、通常、以下の二つの解釈を導き出すことができます。

<A> 「辛苦とは、人間が何かを成し遂げようとするそのプロセスにおいて
      必要不可欠となる経験である」という解釈。

<B> 「辛苦とは、本来、自分が行った非行・悪行に対する罰である」という解釈。

<A>の解釈は、世界中の成功者、即ち、「"自己実現"(self-realization)を果たした存在者」において共通する解釈です。前述したように、本来、「人生を生きる」という行為は、決して簡単ではない行為です。迎える一日一日において、そう簡単には事が進まないその時間的空間において、「今現在、自分にはない能力を将来において存在させる」、「今現在、所有していない何らかの有形・無形の事物を所有する」という具体的計画を具現するには、当然ながら、毎日、その本人が、自分自身が命をはって刻む"一秒一秒"において、相当なる汗と涙を流してその実現のために努力していくことが求められます。

<B>の解釈は、いわゆる「罪意識」の深い人間にみられる解釈。ここで本質論を述べるならば、「不完全な存在者」(imperfect existence)である私たちすべての人間にとって、自分が行うすべての行為について、「それらすべてについて完璧に行うことは到底不可能である」と明言することができます。しかし、「完璧」(perfection)を求めて自分を磨き抜き、限りあるその人生の期間において「自分にとって最も理想とする存在者」であろうとする"理性的存在者"は、自分が犯した小さな過ち・間違いについて、その都度、厳しく反省。そのような存在者は、常に「完璧」を求めて、より崇高な生き方を追及・実現しようと試みます。

ビジネスのプロフェッショナリズムを追及するプロセスにおいて、「辛苦」について、A、あるいは、Bの解釈を選択するかどうかの判断は、まさに、一人ひとりの人間において「自由裁量」(discretion)として行われるべき問題です。「人間は、本来、辛苦を経験しながら自分を磨いていく理性的存在者である」という解釈をするならば、辛苦とは、決して、苦しくて辛いものではなく、「自分を高める上で必要不可欠な通り道である」といえるでしょう。

人間には、皆、「自分を高めたい」という願望があります。自分を高めるそのプロセスにおいて、苦悩は"必須の経験"。それ故、毎日のビジネス・シーンにおいて遭遇する一つひとつの辛苦から逃げることなく、一個のプロフェッショナルとして、誇りと責任を持ってそれらと向き合っていくことが肝要です。勇気を持って一つひとつの困難としっかりと向き合い、その経験をたっぷりと楽しむ人が、まさに、「真の意味でのプロフェッショナリズム」を確立することができるのです。


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