野口 誠一のコラム「経営者の失敗から学ぶ「人生論」」
野口 誠一(のぐち せいいち)
八起会会長
1956年、25歳で玩具メーカーを設立し、年商10億円までに急成長させたが、1977年に倒産。翌年、自らの経験ももとに、「倒産者の会」設立を呼びかけ「八起会」を興し、倒産した経営者や会社が傾きかけている経営者をもう一度立ち直らせる活動を行う。
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Vol. 12 『失敗から学ぶ『人生論』(十二)智恵』
(2011年03月18日)
読者のみなさんにはこの一年間、私の拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。いよいよ最後です。その最後の「成功と失敗を分けるキーワード」は、「智恵」である。智恵といってもIQや学業成績の良し悪しではない。
論語に「学びて思わざればすなわちくらく、思いて学ばざればすなわちあやうし」という言葉がある。これは、いくら学んで知識を詰め込んでも、自分の頭で考えた「智恵」がなければ物事の本質は理解しがたく、成功はおぼつかない。また、いくら自分の頭で智恵を絞っても、学んだ知識の蓄積、すなわち知的インフラがなければ独断に陥り、失敗を招きやすい。そういう意味である。
これは実に含蓄のある言葉である。知識と智恵は似て非なるもの、そのバランスをとることがいかに大事であるかを示している。
わが八起会会員のなかには、経営や経済を語らせれば評論家以上の「知識人」が少なくない。だが、そうした知識だけで経営が成り立たないことは、彼らの倒産が証明して余りある。経営は生きものであり、理論通りにはいかない。そのギャップを埋めるのが智恵というものである。が、その智恵もまた、知識の裏付けがなければものの役に立たない。そこが経営の難しいところである。
早い話が、コストを無視した新製品のアイデアも、マーケティングを無視した営業のアイデアも、真の智恵とはなり得ない。やはり、時代のニーズと消費動向を知識として視野におさめた智恵でなければ、経営的にはなんの意味もない。
同じことは個々人の人生についても言える。人は人生論に従って生きているわけではない。いくら古今の人生論に通じていても、それが幸福な人生を保証してくれるわけではない。しかし、人生の荒海を乗り切るには海図もまた必要であろう。この海図(知識)と航海術(智恵)が相まったとき、はじめて安全な航海が保証される。
読者のみなさんには、この知識と智恵の両輪がバランスよく充実することを願ってやまない。ご愛読、ありがとうございました。SEE YOU AGEIN。