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講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > スペシャルインタビュー 城繁幸 (3/3)

 



―今後、離職率を抑え、企業を発展させていくためには従業員満足(ES)の向上は非常に重要な要素になりますが、企業が具体的に取り組むべきこととは?

 現在、3年以内に辞める人は新卒全体の35パーセントといわれていますが、そのうち、明確なキャリアプランをもって辞める人と、そうでない人の2つのパターンに分けられます。それに合わせてES向上のためには2つの方法が考えられます。

 まずは明確なキャリアプランを持つタイプの人への取り組みです。彼らは今後、間違いなく会社の大きな戦力になっていきますので、何はさておき、そういう人をまず手当てしないといけません。そのためには、職務給の導入以外にありえません。能力がいくらあっても、横並びの昇進しかありませんから、優秀な人ほど自分の能力が発揮され、正当に評価される場所を求めて辞めていってしまうわけです。ですから、年功ではなく、能力でポストを配分するためにも、少なくとも管理職以上は完全職務給にする以外ないです。

―後者の、明確なキャリアプランを持たない、つまり「なんとなく」辞めていくタイプの人に対しては、どのような取り組みが考えられますか?

 こちらのタイプが多数派だと思うのですが、割と手当てしやすいかと思います。というのも、年功序列は、連続した年代を採用することで初めてシステムとして機能する面があります。たとえばOJTなど、比較的、年齢の近い先輩から指導されることで、組織としての一体感が調整できますし、指導する側もマネジメント力が磨けますよね。ところが93、4年以降に採用数が激減して、企業によっては採用数ゼロのところもありました。年代構成に偏りが出て、若者が孤立してしまったのです。新卒で入社したら、一番年の近い先輩はバブル期に入社した40代の人だった、という例もありますから、その点を手当てしましょう。

―具体的には?

 もちろん抜本的には、2、30代へのリソースを増やすことですが、一番、お金のかからない方法は、マネジメントのガイドラインを作成して現場の上司に徹底させることです。かつて、年代の近い先輩社員が果たしてきた役割を、中間管理職にやらせるんです。例えば、定期的に若手との面談の機会を設けて、ヒアリングして意思の疎通を図ることで一定の効果はありますよ。この方法で離職率をゼロにしている会社もあります。あとは「嫌がられない程度に」飲みに誘うこともアナログですが有効です。

―「飲みに誘う」のはいまだに通用するんですね。
  個人的に安心しました(笑)。

 意外に、まだ通用するんですよ(笑)。やはり、大学を卒業して組織に入った時というのは、誰しも不安や葛藤を感じますよね。これは普遍的なことですから、それを丸くしてやることが、入社3年以内の社員に対する会社の大きなマネジメントだと思いますし、中間管理職の役目でもあります。そのようなサポートが何もなくて放置されていては、当然、離職率は上がります。やはり人材の回転率が異常に高い会社は、業績もよくないですからね。


―システム面とメンタル面、情と理のバランスをうまくとっていくことが重要ですね。弊社へもここ数年前から、若手社員のモチベーションアップが目的の研修系講演へのお問い合わせが増えています。中でも、スポーツアスリートのメンタルスキルは、ビジネスにも落とし込める点が多々あります。ストレスに対処するスキル(「コーピング研修」)や、自分でモチベーションを向上させるスキル(「セルフモチベーションアップトレーニング」)などへのニーズが高まっており、企業側の危機感がうかがえます。


―さて、個人レベルでは、「もはや会社に依存する時代ではない」と、明確なキャリアプランを持って辞めていく若者と、一方で「なんとなく」辞めていく若者がいます。現状のシステムに矛盾を感じつつも、自立心を持ってキャリアを築いていくために、彼らはどんな考え方や行動をしていくべきでしょう?

 まず、どういう生き方をするかは個人の自由ですから、企業の中に残ることが悪いとは言いません。しかし、常に「自分の市場価値」を意識してキャリアを作っていくべきだと思います。

 例えば、ついこの間、ヘッジファンドに勤める28歳の男性に話を聞く機会がありました。彼は新卒で有名外資系金融企業に入り、3年できっちり辞めて、現在は新興のヘッジファンドで高給を得ています。外資系企業は、いつクビが切られるかわからないシビアな世界ですから、彼に「雇用のリスク」について尋ねてみたんです。すると面白いことを言っていました。「僕に言わせれば、日本の大手企業や金融機関に勤める人のほうが、はるかにリスクの高い生き方だと思います」と。つまり、"つぶしのきかない生き方"に見えると。彼は、「もし、いま会社をリストラされたとしても、来週から別のファンドに勤められますよ」と言っていました。

―つまり、現在の労働市場で生かせるスキルや能力が身についているか、"自分の市場価値"を常に客観的に判断することが重要ですね。
 僕もやはり3年以内の転職はあまりおすすめしないです。やはり3年で1つのキャリアですからね。しかし辞める人には、さまざまな動機があります。明確なキャリアプランを持っているとか、完全に職種変更したいとか、入社前後で労働条件にギャップが生じる場合だってないわけではありません。そうなると、今の日本では転職は新卒後3年以内が勝負なんですよね。でも、今の仕事の延長上に自分のキャリアプランがあるのなら、それは耐えなければいけません。ですから、まず自分が何を求めているのかということを見極めてから残るなり、辞めるなりを決めないといけないですね。

本日は貴重なお時間の中、どうもありがとうございました。
(了)



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<インタビュアー>
鈴木 勝彦 (すずき まさひこ)/ 株式会社ペルソン 専務取締役

1991年4月株式会社リクルート人材センター(現 リクルートエージェント)入社。人材紹介業における求人/求職両者のコンサルタントを歴任。IT業界を中心に、求職者募集の企画立案、イベントを実施。2003年株式会社ペルソン入社。スポーツ、研修分野の講師との関わりが深く、若手社員向けのモチベーションアップのための研修プログラム「アスリートから学ぶビジネス研修−セルフ・モチベーションUPトレーニング−」の企画、構成、制作、トレーニング講師をおこなう。
編集・写真:上原深音  (2007年3月1日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)  
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