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講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > スペシャルインタビュー 童門冬二

Keywords
  1) まずは自分を確立する。足りないところを歴史で補強する。
  2) リーダーの意識と行動で、組織は変わる
  3) 「誰かさんのために」という思いを組織全体で持てるか


リーダーの意識と行動で、組織は変わる

――
――「不透明な時代、しかも不況で、なかなか成功体験が得られない。だから、組織が疲弊している」、という声も聞こえてきます。
童門冬二

 「2点間の最短距離は直線である、という評価方式を変えなきゃダメでしょうね。武田信玄にしても、毛利元就にしても、織田信長にしても、成功率は70%に抑えていました。もちろん100%を目指すのはいい。でも、成功の度合いは70%くらいだと思っていたほうがいい、ということです。これを100%に置いてしまうというのはトップの思い上がりです。これでは、会社の方向を誤りかねない。失敗の度合いが20〜30%くらいあったほうが、次への継続という意味でもいいんです。永遠性のある組織運営にもつながる。

 もうひとつ、これは徳川家康の哲学ですが、人間がすべてパーフェクトだなんて思うのは、間違いだ、ということです。みんな、いいときもあるが、悪いときもある。想像の70〜80%だと思え、と。一方で家康は、足りないと思った部分はグループで補いました。だから、家康の組織論では、江戸幕府を開いてから、幹部のポストは単数はないんです。必ず複数。大老も老中もそう。1人ではない。町奉行は、2人の1カ月ずつの交代制だった。こうなると、部下もまわりの人間も比較ができる。あの人のここはいい、前のほうが良かった、あの人はここが足りない、と。これで緊張感も生まれる。複数制は、それこそ今の日本の組織でも大いに参考にできると思います

――――マネジメントに悩んでいる経営者やリーダーも多いようです。部下がなかなかやる気になってくれない。上の言うことをなかなか聞いてくれない、と。

「経営者やリーダーは、『感動』というものをもっと掘り起こさないといけないのではないでしょうか。豊臣秀吉の家臣だった頃の徳川家康に、こんなエピソードがあります。秀吉が、茶の湯に凝ってたくさん集めた高価な茶道具を家康に自慢した。『徳川殿はどのような道具をお持ちかな。内大臣という役職に就かれたのだから、さぞかし見事なものをお持ちだろう』、という問いに家康はこう答えるんです。『取り立てて、財宝と呼ぶような道具は持っていません。敢えてお答えするなら、私の財宝は、私のために命を預けてくれる500人の部下です』、と。秀吉にすれば、『よく言うよ、この狸が』、と思ったかもしれない。部下として、かわいくない発言なんですよ。それこそ、天下人となった豊臣秀吉は誰も逆らえない存在であり、もしかすると、戦国の世ですから、秀吉の機嫌次第では、その場で家康は斬られるかもしれなかった。でも、それを承知しながら、家康は自分の思うところを実直に発言した。これは一つの例ですが、リーダーは命がけで物事に当たることが大切です。部下のためなら斬られる覚悟もある、と。だからこそ、部下は感動するわけですね。これを芝居のごとくパフォーマンスでやっても、ヤラセだと見抜かれてしまう。また言ってやがる、ということになりかねない。心の底からそう思い、自分のすべてを賭ける。そんな一言一言でなければ迫力は出ないんです。今の時代も、問われているのは、リーダーとしての覚悟から生まれる言動なんです。

 また、リーダーは、まわりをキョロキョロ伺わないこと。今は、誰もがまわりの評価を気にする時代になってしまっている。みんなビクビクし過ぎています。だからこそ、『オレは間違っていない、やるべきことをやるんだ』、とまわりの評価に左右されない自分の本心からの行動をしてほしいんです。幕末のリーダーの一人、勝海舟はこう言っていました。『やるのはオレ。評価は他人。オレの知ったこっちゃない。そんなもの、放っときゃいいんだ』、と 」
――――部下にすれば、経費節減ばかりで面白くない。どうしていいのかわからない、という思いもあるようです。
童門冬二
  「現状をモノサシにして考えるから、次々に削られている、なんて思えてしまうんですよ。じゃあ、削られたものが本当に必要だったのかどうか、考えてみないと。最初から本当はいらなかったんじゃないか。知恵を働かせればかわりになるものがあるかもしれない。出し惜しみせずに自分の能力を出せば、やれてしまうかもしれない。現状をひとつのモノサシにして評価するのが、そもそも間違いなんです。一方で経営トップもコピー用紙1枚を倹約して本当に赤字補填になるのか、考えてみるべきです。そんなものは微々たるもの。もっと違うことができるのではないか。重役が自らボーナスを削るとかね。

  関ヶ原の合戦で負けた上杉家は、会津120万石が米沢30万石に減らされてしまった。ところが、『家来6,000人を一人もリストラしてはならない』、と上杉景勝を支えた智将、直江兼続は言いました。しかし、石高が4分の1になってしまったわけですから、減給するしかない。全員平等に4分の1に減らすのは簡単です。しかし、例えば200万円をもらっている重役は4分の1になっても50万円残る。ところが、20万円の平社員は4分の1になると5万円になってしまう。これでは食えるわけがない。そこで上役ほど減給率を高めたわけです。家来も3分の1にしたけれど、自分自身は12分の1にしてしまった。こうなれば、下は意気に感ずるわけです。そういう大胆な発想をリーダーは持たないといけない」

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