舞の海 秀平(まいのうみ しゅうへい)
元力士
1990年5月、大相撲 出羽海部屋に入門。基準の身長に足りなかったが、頭にシリコンを入れ、プロ入りを果たす。角界最小の身体ながら、「猫だまし」、「八艘飛び」など数々の技をくりだした。引退までに、技能賞を5回受賞するなどの活躍。
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Vol. 11 『子供の競争心や闘争心を相撲で養う』
(2010年03月10日)
前回は子供の体力低下や我慢強さ、辛抱強さが足りない事を憂え、それを克服するには体育を通して大人が強制的に教えていく事が大切だと書いた。
50M走で走り方を工夫して何度も練習していくうちにタイムが伸びる。縄跳びで30回しかできなかったのが努力して50回60回と記録が伸びる。1回しかできなかった懸垂が腕力をつける事により3回できるようになる。こういう事は、子供にとって大きな自信に繋がると私は思う。「やればできるんだ」と、何より気持ちが強くなるのである。
そして、子供にこういった達成感を感じさせるためにも、体育の授業を通して忍耐強さを養う指導が必要だと思う。もちろん、指導する側にも粘り強く教えていく必要がある。
そういう気持ちが備わってきたらもう一つ、子供たちに求めたいことがある。それは相手と競争する気持ちや闘争心だ。
そこで先生方には、是非学校で子供たちに相撲を取らせて欲しいのだ。何だ、元力士だから相撲を普及したいだけなんだと思うなかれ。実は相撲には勝ち負けだけでなく数々の教育的要素がぎっしり詰まっているのだ。
体力の向上もあるのだが、大人だけでなく子供も欲求不満や人間関係の悩み、もやもやしたエネルギーのやり場などに困っている。そうした発散の場所や機会が現代の生活には極めて少ないように思う。そういう子に相撲をどんどん取らせぶつかり合い、渾身の力を振り絞らせる。そこには今まで味わった事のないスカッとした世界がある。そしてみんな良い顔になる。汗でシャツがビショビショになったり、ズボンに穴が開いたっていいじゃないか、と思う。
単に競争させるだけでなく、勝負がついたらお互いを尊重する気持ちも教えて欲しい。実はここが一番大事なところだ。相撲を取り終わった後、必ず礼をするが、これは興奮している気持ちを礼という動作、作法によって静めるためでもあるのだ。負けて悔しいけれど、勝者を素直に認めて称える気持ちや、勝っても驕ることなく敗者を謙虚に思いやる気持ちを教えていく。悔しい気持ちや嬉しい気持ちを自己制御する精神を植えつけていく事が肝心なのだ。
子供のころからくたくたになるまで相撲を取って痛みや加減を知り、相手を思いやる気持ちを養えばいじめも減ると思う。
ただし親御さんが「うちの子にケガをさせてどう責任をとってくれるの!」と学校に怒鳴り込んでは元も子もないので、親御さんの理解も大事になる。