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講師の心.com > 「WEB経営塾」エグゼクティブインタビュー > 第3回 宗次徳二(株式会社壱番屋 創業者特別顧問)

 

 


講演依頼.com「WEB経営塾」
 
話題の経営者・実業家に経営哲学を訊くエグゼクティブ・インタビュー|「事業ができるという幸せを思い出して欲しいんです」Vol.3宗次徳二(株式会社壱番屋創業者特別顧問)

 

100年に1度ともいわれる経済危機が世界を襲っている。
今、経営者は、ビジネスパーソンは、どんな意識でこの危機に立ち向かうべきか。
ビジネスの世界の第一線で活躍してきた実業家に、そのヒントを聞いた。
第3回は、今や店舗数が1213店(09年12月末)にも達し、海外にも出店している
カレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」創業者特別顧問、宗次徳二氏。
 >>プロフィールはこちら
[上阪 徹=文 / 上原深音=写真・編集]
 
 
創業前、壮絶な人生を歩んでいた。
生後まもなく孤児院へ預けられ、3歳まで育った。宗次家に養子へ出されるが、養父母の生活は極貧。養父のギャンブル狂が原因で各地を転々とする。電気もなく、ろうろくで暮らした時期もあった。学校が弁当になるとみんなが食べ終わるまで校舎の裏でじっと待ったという。アルバイトをしながら高校を卒業。不動産仲介業を経て、25歳で喫茶店を開業、カレーライスが爆発的な人気に。
4年後の1978年、「カレーハウスCoCo壱番屋」(通称「ココイチ」)をオープンさせる。

1−「変人」経営者が一大チェーンを築くまで
 夫婦で経営する喫茶店から始まった「ココイチ」ですが、おかげさまで現在、国内外で1200店舗を超えることができました。今は経営を後継者(浜島俊哉代表取締役社長)に任せておりますが、私の創業からの経験をもとに皆様にお話できることは、「創業経営者の姿勢」についてです。というのも、経営を退いてから全国各地での講演会や集まりなどで、さまざまな経営者の方たちとお話をさせて頂いて気づいたのですが、私は経営者の中でも「変わっている」部類にあったようです(笑)。とはいえ、特別なことをしていたわけではなく、私自身も当たり前のこととして続けていたのですが、そんな私の話でよろしければ、ぜひご参考にしていただけますと幸いです。
 
開業の日、わずか15分で「これが天職だ」と感じた
 高校卒業後、たまたま入ったのが不動産の仲介をしている会社で、当時は高度経済成長期で業績は右肩上がり。ノウハウを覚えて、先輩がそうするのと同じように不動産業で身を立てようと独立し、結婚後に建てたマイホームの1階を事務所にしました。当時でも分譲住宅はそれなりの値段でしたから、1軒契約ができれば、200万円近い手数料が入った。2軒売れれば、一年食べていけるだけのお金が得られたんです。
  でも、私には物足りなさがあった。「待ち」の商売でしたから、広告を出したらずっと事務所で待っていなければいけない。1日待っても、電話が1、2本鳴るかどうか。これが退屈で。それで、飲食業でもやろうかと、「喫茶店でもやったらどうかな」と嫁さんに言ったら、やりたいわ、と二つ返事が来て。それで最初の喫茶店「バッカス」をオープンしました。その初日の15分で、私はまさにこれが天職だと感じてしまったんです。特段、何をしていたわけでもない。車や自転車の整理や、「いらっしゃいませ」とお声がけしていただけでした。それでも、なんとも嬉しくて、楽しかった。大勢の人が、笑顔で集まってきてくれるのを見て、すごい商売だと思いました。これをやっていきたいと。
 
初めに苦労することは、絶対にいいことだ
 不動産業が物足りなかった理由もそうかもしれないんですが、私には生まれ育った境遇からか、結果的に反骨精神のようなものがずっとあったようです。「向上心」のようなものですかね。だから、最初の喫茶店が大繁盛していたわけでもないのに、2号店を出そうとしてしまうんですね。開業から10カ月ほどして、たまたま野菜の仕入れに行ったとき、良さそうな物件を見つけてしまって。こうなるともうダメなんですよ。やると決めたら、とにかくやりたい。それが私のやり方なんです。嫁さんにすぐに信用金庫さんに電話してくれって、お願いして。店を決めるのは私で、あとは嫁さんの仕事でしたから(笑)。

  でも、1軒目を開業するための借金はまるまる残っていた。ようやく店は軌道に乗ったところ。そこに新しい借金の申し出ですから、信用金庫さんもびっくりされたでしょうが、1100万円を貸してくださった。これで2軒目がオープンするんです。普通、1軒目がうまくいったら次の店へという段取りですよね。でも当時はまだ25歳で、良い意味で怖いもの知らずでした。先のことなんて考えられなかったんだと思います。それと、もうひとつ、自分に確信がありました。それは「初めに苦労することは絶対にいいことだ」ということです。苦労から始まったほうが絶対にいいんだと信じ込んでいました。
[喫茶店経営を始めた頃]


 実際、借金には連帯保証人さんがついてくださいましたから払えなかったら、まるまる迷惑かけてしまう。そんなことはできない。ですから、まさに命がけの運営でした。そんな気持ちで朝から晩まで一生懸命やっていたら、言動だってやっぱり変わるわけです。お客さまには真から「ありがとうございます」が言えました。真心、感謝の気持ちを伝えようと必死になりました。店頭に姿が見えたら嬉しくてしょうがない。笑顔でお迎えせずにはいられないわけです。夫婦で心で拍手した、と後に言うようになりますが、本心からそうだったんです。今考えてみたら、最初から苦労もなく、しかもいきなり繁盛店になっていたら、「忙しいのに、また客が来た」なんて、お客さまをさばくようなことにもなっていたかもしれない。最初に苦労したからこそ、良かったんです。
「ココイチ」の誕生
 喫茶店経営を始めて4年が経った頃、メニューで出していたカレーライスが大変好評をいただきまして、カレーライス専門店「CoCo壱番屋」1号店を出店しました。オープン初日、2日目は繁盛したのですが、3日目から急に客足がさっぱりになりました。
  普通ならそこで不安になるかもしれませんが、前の喫茶店経営でわかったことがあったんです。それは、とにかく自分の身を捧げて、お客さまに喜んでいただくことだけを考えていればいいのだ、ということです。苦しくても、そういう姿勢で努力さえしていれば、最初は厳しくても必ず変わる。そのためにも、お客さまをきちんと「見る」ことが大切だと思っていました。 満足いただいているか、どんな反応をされるか。現場を直視するということです。そして、どうすればもっとよくなるかを考えて努力する。その繰り返しでした。真心や真剣さ、そしてお客さまに向かう努力というものは、お客さまにはちゃんと伝わるものだと確固たる自信がありました。

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