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梶原 しげるのコラム「すべらないコミュニケーション」
梶原 しげる
梶原 しげる(かじわら しげる)
フリーアナウンサー/東京成徳大学 客員教授

アナウンサーとしてメディアで活躍する一方、大学院に進学し心理学修士号取得。カウンセラーの資格を持ち、精神科クリニックなどでカウンセリング業務を現在も担当。実践コミュニケーションに着目した著書『口のきき方』は、中学生の国語の教科書に取り上げられる。現在、東京成徳大学応用心理学部客員教授や日本語検定審議委員を務める。

 梶原 しげる講師詳細プロフィール
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Vol. 10 『つかみをどうする?(後編)』
(2010年01月20日)

前回のコラムでは、"話の達人"たちがいかにして聴衆を「つかむ」か。
その例を挙げてみました。
今月はその先の問題です。みなさんが「つかむ」時どうしたらいいか。

まず、メリハリのある登場。見た目が肝心ということです。

例えば・・・

「ではコンベンション21の概要について、
営業促進部・山田翔太さんから説明してもらいましょう。
山田さんお願いします」。

軽い紹介を受けて10名か20名の前に進むあなた。
そこで注意すべきは、どんなにあがっていようとも、見た目は堂々としてみること。
背筋を伸ばし、呼吸は努めてゆっくりを心がける。
ついでに顔の表情も、口角を努めて上げ気味にして、晴れやかな感じを醸し出す。
緊張しているに決まっているのですが、
だからこそ、外見は嘘でもコチョコチョしてはいけないのです。

「かわいそうになあ、あんなにあがっちゃって。痛々しいなあ」
と同情されたら、何を言ってもつかめません。

しゃべりはじめる前に、
集まっている人の顔を見渡すのに一呼吸二呼吸間を空ける。
これで十分、「意外と堂々としてるじゃん」、
「自信ありそうだなあ」という見た目のつかみはOK。
そこで一言、

「こう見えても、あがってます」。

この意外な一言で、笑ってもらえたりするものです。
これを「つかんだ」といいます。

人は、すべてが完璧なものに共感しません。
「なんだ、あいつ緊張してんじゃん」という感じが伝われば、
それだけで親近感を持って聞いてもらえます。
「おい、その数字違ってるぞ!」と突っ込んでももらえます。
最初の「つかみ」がうまくいけば、
周囲はサポーティブ(何とか応援してやりたいという気分)になり、
その後が進行しやすくなるものです。

そのほかのよくある「つかみ」の例を。

最初の一言として、会場にいる人が共通して感じていること、
興味があることを一言、冒頭で言うというのも、
無理のない「つかみ」の定番です。

(登場直後、いきなり)
「皆様、気になっていると思いますが、
つい先ほど、松井の満塁ホームランでヤンキース勝ちました。
 (時差の関係で途中まではちらちら見ていた中継を、
 後ろ髪引かれる思いで会議に参加した社員達。
 一番気になるポイントを言われ、おーっと一瞬盛り上がる)。
で、ここからは心置きなく私の話をお聞きください」。

もしくは、

「私の声が枯れてるとすれば、
社食の辛すぎた麻婆豆腐定食のせいかもしれません」。

多くの人が麻婆豆腐定食を食べていれば、それだけで大きな「つかみ」です。

「暖房効き過ぎてませんか?そうでもない?
すると私の額から流れる汗は緊張の汗ですね、大丈夫かなあ」。

自分に突っ込みを入れる。これも「つかみ」です。

また、大げさに言う。
これもつかみの常道です。

「今回、みなさんに概要をお伝えするためにいろいろ調べた結果、
驚愕の事実が判明しました。
私が話している様子を『YouTube』にアップしたりしないよう
他言無用でお願いします」。

と、おどろおどろしく言う。

ここで、笑いが来ないときは、
「えー、冗談は顔だけにしておけ、との声もありますので
本論行きます」。
このくらいはやっても良いでしょう(いけない会社もあるかも?)。

ここで重要なのが、「つかむ」ためには、
若干の「しらける」というリスクを覚悟してほしいということです。
それを繰り返すことで、あなたのキャラが構築され、
いずれかは登場しただけで、
その表情そのものが「つかみ」になる日がやってくると信じて。
失敗は成功の母ですからね。

「おいおい、そういうおちゃらけた<つかみ>じゃなくて、
もっと王道を行く本格的な<つかみ>はないのか?!」
という声に応えましょう。


1:登場するときに堂々と、自信満々の様子を見せる。これは前述したとおりです

2:
話す内容のタイトルを、売れ筋の新刊本のように刺激的なものにする。
  たとえば、
  「<我が社だけが生き残れる、たった一つの方法>と題してお話しします」と始める。

3:
前フリに一言。
 「本日のご報告、聞けなかった方は、たぶん歯ぎしりをする内容です」
 ぐらいの「かまし」を入れる。


1、2、3では笑いは起きないでしょうが「引き」にはなるはず。
注目を集める、聞き手を聞く気にさせる。
そのために「つかみ」が大事なのですから、
漫然と喋りはじめるのは良くないこと。
しゃべる時は、誰もがエンターテイナーとして
聞き手をわくわくさせなければなりません。

仕事だって、つまらないよりおもしろい方が良い、と思って下さい。
社内セミナー、プレゼンなどで、勇気を持ってぜひお試しを。




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