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川口 雅裕のコラム「人が育つ会社、育たない会社」
川口 雅裕
川口 雅裕(かわぐち まさひろ)
人事コンサルタント

株式会社リクルートコスモス(現株式会社コスモスイニシア)人事部にて、採用、労務管理、教育研修、人事制度の設計などに従事。経営企画室で広報課長としてメディア対応、IR活動を行う。現在は主として中堅・中小企業を対象として、組織人事コンサルティングを行うほか、人事分野の講演活動を積極的に展開する。

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Vol. 2 『なぜ、その研修を実施するのですか?』
(2010年05月25日)

毎年やっているから、予算があるからといった理由で実施されている研修も少なくありませんが、できれば研修は、しっかりと目的を持ってやりたいものです。とは言え、自社の人材面、組織面における問題点や強化すべきポイントを明確にするのは、困難なことに違いありません。目に見えず、数値化できず、複雑に絡み合うことであるのに、「○○が問題であるので、このような研修をこういう目的を持って実施する」と、はっきりと自信を持って言うことはなかなか難しいものです。

そこで今回は、研修の目的を明確にするためのヒントとなるフレーム「wish-freshマトリクス」をご紹介したいと思います。これは私が考案したものですが、担当している業務や役割が、「その人の希望に沿っているかどうか」(wish)、「その人にとって新鮮な刺激があるかどうか」(fresh)という二つの観点から4つに分類し、どのような研修や育成方針が必要かを検討するためのフレームです。

kawaguchi_02.jpg

左の縦軸「wish」は、その役割や仕事が本人の希望にかなっているのかどうかという軸。下の横軸「fresh」は、その役割や仕事が本人にとって新鮮で刺激のあるものかどうかという軸です。こうしますと、
(1)は、希望通りの仕事をしているが、新鮮味や刺激がない状態になっている状態。
(2)は、希望通りの仕事をしており、かつ新鮮味と刺激を感じて仕事をしている状態。
(3)は、希望通りの仕事ではなく、また仕事に新鮮味や刺激も感じないという状態。
(4)は、希望通りの仕事ではないが、新鮮味や刺激を感じて仕事をしている状態。
ということになります。

通常は、(4)―(2)―(1)―(3)というように推移していくことが多いものです。

つまり、最初は「(4)希望通りの仕事ではないが、新鮮味・刺激のある状態」。希望の仕事ではない、もしくは希望したわけではないけれども、やったことがないわけですから、新鮮で刺激的な状態にあります。

そしてやっていくうちに、これが面白くなってきて、「(2)希望にかなう仕事(かつまだ新鮮な状態)」に変わってくる。しかしながら、今度は慣れてきてマンネリを感じるようになって「(1)(希望する仕事ではあるが、)新鮮味・刺激が減った状態」になります。これを放っておくと、どんどんマンネリが進んで「(3)希望する仕事でもなく、刺激もない状態」になってしまいます。

希望する仕事についた人の場合は、最初(4)の状態はないでしょうが、(2)―(1)―(3)というように変わっていくものです。こうして多くの人が、右下から始まって逆Uの字のようになるとすると、放っておけば組織は、(3)の場所に人がどんどんたまっていくことになります。これをいかに防ぐか。これが組織活性化を考える一つの視点です。

もちろん、人事異動や昇進・昇格、評価やマネジメントによってこれを防ぐことは重要ですが、教育研修を実施する目的もここに見いだすことが出来ます。つまり、教育研修の目的は「wish(希望度)を上げること」、「fresh(新鮮度)を上げること」の2つと言えます。

wish(希望度)を上げるというのは、簡単に言うと「やりたいという気持ちにさせること」で、そのために研修で行うことは、以下の3つです。
1.魅力の発見
  今の仕事を改めて見つめ、その価値や役割、影響や理想を考える。
2.期待の認識
  周囲からの期待と、それに応えるために自分がすべきことを考える。
3.理想の可視化
  今の仕事や職場環境の、あるべき姿やビジョンを考え、描き出す。

fresh(新鮮度)を上げるというのは、簡単に言うと「飽きてしまわないこと」。そのために研修で行うことは、次の3つです。
1.本質の発見
  取り組んでいる役割や仕事の重要性、難しさや深さと向き合う。
2.視点の獲得
  今の仕事を効果的に進めるための、新しい見方や考え方を学ぶ。
3.スキルの修得
  今の仕事の質・量を上げるための、新しい知識や技術の修得する。

研修は、すぐにではなくても、受講した人達の仕事ぶりに影響を与えなければなりません。そのためには、研修がこのような目的を持って、それが上手にプログラムに落とし込まれていることが重要です。

今、実施されている研修は、上の6つのうちどれを目的にしたものでしょうか。
また、お持ちの研修体系はモレなく6つの目的が入っているでしょうか。
このような観点で、改めてチェックをしていただければと思います。




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