キティ こうぞうのコラム「職場のメンタルヘルス講座」
キティ こうぞう(きてぃ こうぞう)
職場のメンタルケアコーチ
株式会社名鉄百貨店で労働組合執行委員長を務め、社員のカウンセリングにも関わる。その後、同社人事部で、採用および社員の人材教育・キャリア開発に携わる。現在は、株式会社ライフバランスマネジメントのシニアコンサルタントとして、労働組合や人事部での経験をもとにしたメンタルヘルス・コミュニケーションに関する研修が人気を博している。
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Vol. 2 『キティちゃんにはなぜ口が無いか』
(2009年05月15日)
みなさん、こんにちは。キティこうぞうです。
実は、私の本名は「鬼頭幸三(きとう・こうぞう)」ですが、デパートを退職してプロ講師になった昨年(2008年)に「キティこうぞう」に改名しました。今回はその由来についてお話ししたいと思います。
今から5年ほど前、カウンセラーの資格を取って労働組合の委員長をやりながら、他の労働組合で研修講師をしていた頃、メンタルヘルスの研修講師といえば、ほとんどが精神科医や大学の心理学教授、そして産業医でした。私が研修依頼を受けた労働組合の担当者からは、「以前受講したメンタルヘルス研修は専門知識が多く難しかったので、普段でも使える事例などを交えて、現場の人間が聴いてわかりやすい内容にしてほしい」という要望をよく受けました。
「なるほど、産業医はまだしも精神科医や大学の心理学教授では現場のことはわからないだろうな」と思い、研修の内容にわかりやすい事例を多く入れていくためにメンタルヘルス関連の本を読みあさりました。『こころの――』、『――の心理学』などの本から、普段起こりうるような事例をピックアップして研修の内容に加えていきました。
ストレスやうつ病などのメンタルヘルスの基礎知識だけでなく、相談の受け方やストレス解消法などをできるだけ普段の仕事や生活の中にある事例で説明できるように勉強しました。そして、ある時、本を読んでいてストレス解消法の内容で目を留めたのが「ぬいぐるみセラピー」というものでした。そこで出会ったのが「キティちゃん」でした。以下、私が普段、研修でお話している内容です。
『ストレスを解消する方法はいろいろありますが、今回は「ぬいぐるみセラピー」をご紹介します。
ぬいぐるみに向かって、あなたの過去にあった悲しいことや腹が立ったことを話してみてください。あなたが語りかければ、ぬいぐるみはやさしく話を聴いてくれます。ぬいぐるみに話を聴いてもらうことによって、あなたは癒され、スッキリした気持ちになることができます。これが「ぬいぐるみセラピー」です。
さて、ではどんなぬいぐるみが「癒し」の効果があるのでしょう。私のお勧めはキティちゃんです。最近ではいろいろな衣装を着た「地域限定」のキティちゃんも登場し、大小さまざまなキティちゃんが販売されています。
ところで、さまざまなキティちゃんがいる中で、「どのキティちゃんにも口が無い」ということをご存知ですか。キティちゃんの発売元であるサンリオに聞くと、「口はみなさん自身で付けてください」と言われるそうです。これは自分でキティちゃんに口を書くということではありません。「みなさんがキティちゃんに楽しい話を語りかければ、キティちゃんは笑顔で応えてくれます。みなさんが悲しかったことを話せば、キティちゃんは一緒に悲しんでくれます。同様に腹が立った話をすれば、キティちゃんは一緒に怒ってくれます。だから、その時のみなさんの気持ちに合わせてキティちゃんに口を付けてあげてください」という意味だそうです。確かに、キティちゃんに口を付けてしまうと表情が決まってしまいます。それでキティちゃんには口が無いのです。
ぬいぐるみに向かって自分の思いを語りかけることによって、あなたのこころの中に溜まったストレスを発散することができます。これをカタルシス(はきだし)効果といいます。
ぬいぐるみは決して人を裏切ったり、騙したりしません。人間関係に少し疲れたら、「ぬいぐるみセラピー」を試してみてはいかがでしょうか』
そして、ある研修でこの「ぬいぐるみセラピー」のキティちゃんの話をしていたときにふと気づいたのです。「キティちゃんみたいに相手の気持ちに合わせて人の相談を受けることができたらいいなあ」と。そして、自分の夢である「多くの人を救う」ためには、自分ひとりではなく、できるだけ多くのキティちゃん(みたいに相談が受けられる人)を育てることが私の仕事だと思ったのです。
2008年12月1日、「キティこうぞう」が誕生しました。そのときのみなさんへのメッセージは以下の通りです。
『キティちゃんには口がありません。だから人からの相談をただひたすら聴きます(1-傾聴)。口が無いから相手の感情に合わせて、相手の相談に合わせて、泣いたり笑ったり怒ったり表情を変えることができます。つまり、相手を必ず受け入れ(2-受容)、相手の感情に合わせ(3-同調)、「あなたの気持ちわかるよ」と相手の立場で感じます(4-共感)。さらに、キティちゃんは決して人につげ口はしません(5-情報保護)。私はそんな「人間を尊重するカウンセラー」になりたいと願い、またそんな人をたくさん育てたいとの思いから自分の名前を「キティこうぞう」に変更させていただきました』。
以上が「キティこうぞう」の誕生秘話です。
次回は「日本で一番優秀なカウンセラーはどこにいるか?」という話をしたいと思います。