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キティ こうぞうのコラム「職場のメンタルヘルス講座」
キティ こうぞう
キティ こうぞう(きてぃ こうぞう)
職場のメンタルケアコーチ

株式会社名鉄百貨店で労働組合執行委員長を務め、社員のカウンセリングにも関わる。その後、同社人事部で、採用および社員の人材教育・キャリア開発に携わる。現在は、株式会社ライフバランスマネジメントのシニアコンサルタントとして、労働組合や人事部での経験をもとにしたメンタルヘルス・コミュニケーションに関する研修が人気を博している。

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Vol. 11 『あんがとノート』
(2010年02月15日)

今回は五木寛之さんの著書「人間の関係」の冒頭の項にある「鬱(うつ)からぬけだすための三冊のノート」に載っているお話をご紹介します。

五木さんは今までの人生で3回の鬱状態を体験したそうです。最初は40代の後半から50歳にさしかかった頃でした。何をしても興味がわかない、何を見ても聞いても面白くない、という鬱な気分に襲われました。ある時、ふと考えついて、1冊のノートをつくってみました。「歓びノート」という日記帳です。1日のうち何か1つ、これはうれしかったという事を見つけて記録するのです。かならず最後の1行は「うれしかった」と締めくくります。

例えば「今日はネクタイが1度でキレイに結べてうれしかった」とか、どんなつまらない事でもいいのです。どんなに考えても浮かばない場合は、「今日一日、無事に過ごせてうれしかった」と書きます。しばらく続けていたら不思議と鬱状態が消えていく気配があったそうです。

やがて、50代も過ぎ60歳をむかえました。男の更年期とでもいうのでしょうか、再び気分が晴れず鬱々とした日が続きました。前のときの「歓びノート」を試しましたが、今度は成功しませんでした。ふと、ひらめいて今度は「悲しみノート」を用意しました。1日のうちで、もっとも悲しかった事を思い返して、最後の行は「悲しかった」で締めくくるのです。

しばらくして、自分の心が少しずつ揺れ動きはじめるのが感じられました。「悲しかった」と締めくくることで、気持ちが解放されるような、風がふっと吹きすぎるような気配を感じるようになったそうです。そして、よろこぶことと悲しむことは、両方とも心の大事な働きなのだと感じたそうです。

三度目の鬱は70歳を過ぎた頃でした。今回は、人と会うのもおっくうでならないくらい相当な重症でした。そんな時思いついたのが「あんがとノート」でした。1日に1行、なにか「ありがたい」と感じた事をノートに書く、特別に何も無いときは「一日無事に過ごせてありがたい」と書きます。1ヵ月もしないうちに雲が晴れるような気分になったそうです。

五木さんは鬱からぬけだすために、この三冊のノートをすすめています。特に「あんがとノート」は究極の鬱からの脱出法だと彼は言っています。「あんがとノート」を書きはじめてあらためて考えてみると、自分の周りはありがたいことばかりで、どれを書こうか迷ってしまったそうです。世界で初めてストレス学説を提唱した、カナダの生理学者ハンス・セリエ博士も「ストレスから逃れるのに一番大切なことは、感謝の心を持つことである」と言っています。感謝は心の傷を癒す最も効果的な態度と言われています。みなさんも「あんがとノート」を試してみませんか。

次回は「お勧め!森林セラピー」という話をしたいと思います。




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