小室 淑恵「経営戦略としてのワーク・ライフバランス」
小室 淑恵(こむろ よしえ)
株式会社ワークライフバランス代表取締役社長/ワーク・ライフバランスコンサルタント
日本企業の風土に合ったワーク・ライフバランス施策導入のコンサルティングが好評。メディアや各種講演・セミナーなどで、個人や実態に合った働き方の提案も行なっている。
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Vol. 1 『なぜ今ワーク・ライフバランスなのか』
(2008年04月15日)
皆さん、はじめまして、小室淑恵です。
私は、「ワーク・ライフバランス」をメインにした組織人事コンサルタントとして、企業の風土改革や各種制度導入をお手伝いしています。 ワーク・ライフバランスとは、「私生活の充実により仕事がうまく進み」、「仕事がうまくいくことによって私生活もうるおう」という、「仕事と生活の相乗効果を高める考え方と取り組み」全般を指すと考えています。
仕事において高い付加価値を提供し、成果を上げるためには、広い視野や知識・スキル・人脈が必要で、それらは仕事以外の場で身につくことがほとんどです。つまり仕事以外の場を大切にすることでむしろ短時間で仕事の成果を上げることができるようになるのです。このようにワーク・ライフバランスは、どちらかをないがしろにして成り立っているものではなく、双方をうまく調和させ相乗効果を及ぼし合う好循環を生み出すことが本来の目的です。
最近は、新聞や雑誌などで企業のワーク・ライフバランスの取り組みを目にしない日はないほどです。そんな流れの中で今、私がお伝えしたいのは、「ワーク・ライフバランスの問題は、もはや一企業の問題ではない」ということです。自社でいかにワーク・ライフバランスに取り組んでも、社員の配偶者の会社にまったく理解がなければ、結局のところ家庭における協力が得られず、ワーク・ライフバランスの実現が進まなくなってしまうからです。つまり、自社を取り巻くすべての環境=社会全体を、「ワーク・ライフバランス型」にしていくことが重要になります。
例えば、今「2007年問題」といわれるように団塊世代が大量に退職していますが、あと15年後にはその団塊の世代が一斉に要介護年齢に突入します。すると彼らを介護するのは団塊ジュニア世代ですから、現在30~40代の人は会社の中核を担う時期に、同時に親の介護という問題に直面することになるのです。団塊ジュニアの多くが共働きですから、男性も育児・介護を妻に任せて自分だけ何事もなかったかのように働く、ということはできません。また、男性の未婚率も高く、介護を押し付ける相手がそもそもいないのですから、両親の介護は自分の身に降りかかる可能性が高いのです。つまり15年後は、育児休業を取る女性の数より介護休業を取る男性の数の方が多いという時代が本当に来るのです。
そう考えると、日本におけるワーク・ライフバランスは、すべての人にとって「明日はわが身」の課題であることが実感できるのではないでしょうか。 本コラムでは、こうしたワーク・ライフバランスに取組む意義をさらに深く掘り下げていくとともに、企業でワーク・ライフバランスを進めていくための具体的なアクションをご紹介いたしてまいります。本コラムを通じて、皆さんが「ワーク・ライフバランス」を実現するための第一歩を踏み出していただければ幸いです。