小室 淑恵「経営戦略としてのワーク・ライフバランス」
小室 淑恵(こむろ よしえ)
株式会社ワークライフバランス代表取締役社長/ワーク・ライフバランスコンサルタント
日本企業の風土に合ったワーク・ライフバランス施策導入のコンサルティングが好評。メディアや各種講演・セミナーなどで、個人や実態に合った働き方の提案も行なっている。
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Vol. 4 『人事労務面からのメリット(2)』
(2008年07月15日)
前回では、ワーク・ライフバランスを促進するメリットとして考えられる人事労務面のメリットのうち、「優秀な人材の確保」と「女性社員の定着」についてお話させていただきました。実はこのほかにもワーク・ライフバランスを促進することによって得られる人事労務面におけるメリットが数多くあります。
■社員のモチベーションアップ
最近では、ワーク・ライフバランスが「新しい報酬」として注目されるように、ワーク・ライフバランスを促進することは職場全体のモチベーションアップにつながります。実際に、既婚・未婚を問わず、男女ともに「自分自身のワーク・ライフバランスが図られている」と考える人のほうが、仕事への意欲が高い傾向にあります。また、就職活動中に「仕事を中心にしたい」と考えていても、就業後には「プライベートを優先したい」人が増えるという調査結果からは、入社した企業の先輩社員が疲弊しているのを見て、若手社員が仕事へのモチベーションを落とすことがうかがえます。若手が継続して意欲高く仕事へ取り組むには、仕事もプライベートも充実している魅力的なロールモデルが必要だといえるでしょう。そのためにワーク・ライフバランスの実現できる環境づくりは大きな役割を担います。
■人事コストの削減
ワーク・ライフバランス施策は「コストがかかる」と捉えられることが多いのですが、実際には働き方そのものを見直すことが労働生産性を高めることにつながり、社員に支払う時間外手当をはじめ、光熱費などの諸費用を将来に渡って削減することができます。
また、例えば育児休業復帰後の社員の定着率を向上させることにより、退職によってそれまでかけてきた採用費・育成費を無駄にすることなく、視野の広がった新たな戦力として活用することができます。このようにコストやロスを削減することで、より力を入れたい事業やニーズに即したさらなるワーク・ライフバランス施策の実現などに資金を回すことも可能となり、ひいては会社の競争力を高めることにつながります。
このように、人事労務面からみてもワーク・ライフバランスの促進にはいくつもの大きなメリットがあります。これらの人事労務面のメリットのほか、次回からお伝えする経営全般面からのメリットも的確に把握してから具体的な施策の立案を始めることで、単なる企業の「人事戦略」ではなく、「経営戦略」へと発展させることができるでしょう。
次回からは、ワーク・ライフバランス施策を実施するにあたっての経営全般面からのメリットをお伝えいたします。