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小杉 俊哉のコラム「企業を変える人材マネジメント」
小杉 俊哉
小杉 俊哉(こすぎ としや)
株式会社コーポレイト・ユニバーシティ・
プラットフォーム代表/ 慶應義塾大学大学院准教授

現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授、株式会社コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長、その他数社のベンチャー企業社外取締役を務める。

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Vol. 11 『仮面を取る』
(2009年02月05日)
あなたは、人の何を評価しますか?また、人から何を評価されていると思いますか?すぐ出てくるのは「能力」でしょう。

以前は能力といえば、「保有能力」でした。これは、学歴や資格、スキル・知識です。職能資格制度においては、該当する職級の規定に「―することができる」(Doables)となっていました。
ところが、今はどうでしょう。能力だけあっても宝の持ち腐れでは仕方がない、ということで、「成果・業績」(Performance)を見るようになりました。これに従って報酬を決めるのを(Pay for Performance)といい、ほとんどの企業が年功序列を取りやめて、能力主義とか実力主義を標榜し、この「成果・業績」が重要と言い出しました。これを具体的に見るものが目標管理制度です。設定した目標をどのくらい達成できたかでその人の賞与額に大きく差をつけるようになりました。

しかし、その後、行き過ぎた成果主義への反省から揺り戻しが起こり、成果・業績だけでなく、そこに至る過程もちゃんと見ないといけない、ということになりました。そこで、行動(Doing)を見ることが必要となったのです。特に成果に結びつくような行動(Deliverables)を重視するようになり、これを別名コンピテンシー(Competency)と言うのです。

このように、評価というのは時代とともに変わっています。しかし、昔から全く変わらない絶対的な評価があります、何だと思いますか?それは、その人の「存在」(Being)です。

あなたは、友人を見るときに、どれくらい能力があり、成果を上げ、成果に繋がる行動を取っているかを評価していますか?それが高い人を友達として選んでいますか?それが故に、学生時代、幼なじみと付き合っていますか?そうではないはずです。なぜ、友達なのかと問われれば、きっと「いい奴だから」とか、「なぜかウマがあって」とか曖昧な答えになるでしょう。それは、その人の存在そのものを認めているからに他なりません。それは、一言で表現することはとても出来ません。

こう言いますと、いやそれは友人の話であって、仕事の評価は違うでしょう?という疑問を持つでしょう。しかし、たとえ仕事であっても、人間同士の営みですから、実は、能力や達成成果や行動を見る前に、皆さん、あるいは皆さんの上司は、「こいつはいい奴だからA」、「こいつの存在感は別格だからS」などと、評価項目とは全く関係なく決めているはずです。それを後付で調整して、それに合うような評価点を付けているのです。

面接でもそうです。採用面接では経歴だけでなく、会ったときに直感的に「この人と働きたいかどうか」を決定しているものです。以前「面接は顔が命」ということを本に書いたことがありますが、その人が発しているものを評価するという意味です。昨年までナイキのアジアパシフィック人事責任者を本社ポートランドで勤めていた、友人の増田弥生さんも、採用の基準はナイキスタイルかどうかだけ、と言っています。その中身はというと、「敢えて言うなら、エナジー・ギバー」かどうかであり、どんなに立派な経歴でも、人からエネルギーを奪うような人であると思ったら、即座に面接を辞めて帰って貰うと言っています。

すなわち、いくら取り繕ったところでも、人間性は滲み出るものだと言うことです。また、その人の存在そのものが出ていないと評価できないのです。私は、面接のときには事前に準備してきたことではなく、いかにしてその人の仮面を取らせるかにいつも腐心していました。
日本のビジネスパースン、特に管理職は、仕事では仮面を被っている人が多いと感じます。特に、部下の前では完全でなければならないと思いこんでいる人もいます。

ロンドン・ビジネススクールのロバート・ゴーフィー教授は、著書「共感のリーダーシップ」(ガレス・ジョーンズと共著 ダイヤモンド社)の中で、部下をやる気にさせるリーダーの資質として以下の4つを定めています。

1.自らの弱点を認める
2.直感を信じる
3.タフ・エンパシー(厳しい思いやり)を実践する
4.他人との違いを隠さない

そして、こう言っています。「あなた自身になりなさい、ただし、これまでより多くのスキルを身につけたあなたに」と。

将来のリーダーが取り組むべき課題は、仮面を脱ぎ去り、自分自身であること、なのです。そうでないと、部下だけでなく、人はあなたを評価出来ず、従って付いて来ないのです。


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