生井 利幸(なまい としゆき)
生井利幸事務所代表
11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。帰国後は、作家として多方面において執筆・講演等を行う。
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Vol. 73 『ミッションを持って、少しずつ、心を込めて丁寧に』
(2010年07月09日)
どのようなビジネスパーソンにおいても、毎日のビジネス・シーンにおいて、何らかの形で他者とコミュニケーションを図る機会があるでしょう。例えば、取引企業との業務のやり取り。通常、ビジネスパーソンは、"巨額のカネ"が動く仕事を「重要な仕事」であると捉え、相手企業とのやり取りにおいて、細心の注意を払い、極めて慎重に一つひとつの業務を遂行するものです。
「重要な仕事に対して細心の注意を払う」、......当たり前と言えば当たり前のことですが、深い意味においては、"重要な仕事のみに細心の注意を払う"という仕事の取り組み方自体には「真のプロフェッショナルとしての"真髄"」はないでしょう。
私は、本当の意味での"真のプロフェッショナル"とは、重要な仕事だけでなく、「日常的に生じる一つひとつの細かい業務においても、常に、心を込めて、そして、丁寧に取り組むビジネスパーソン」を指すのだと捉えます。
概して、ビジネスパーソンは、規模の大きな仕事に関心を抱き、「大きな仕事に従事しながら自分を成長させていく」という働き方を"仕事人生の柱"とする傾向にあります。無論、それはそれとして、"ある種の妥当性"があるでしょう。しかし、実際、大きな仕事は、日々のビジネス・シーンにおける一つひとつの小さな仕事を積み重ねて成就させていく代物です。
このことは、「山登り」にたとえるとわかりやすいでしょう。通常、山を登るとき、一気に頂上を目指して猛スピードで登っていく人は皆無に等しいでしょう。
言うまでもなく、山の頂上まで辿り着くには、相当の「時間」と「体力」が必要です。それ故、人は、いきなり頂上を目指すのではなく、"頂上までの登山プロセス"をいくつかに振り分け、「まず第一に・・まで登り、少し休憩したら、その後は...まで」という如く、自分の登山ペースを定め、少しずつ頂上を目指していくものです。
ビジネスは、言うなれば「山登り」のようなもの。"目先の損得勘定"を先行させ、大きな仕事の"表面"ばかりに気を取られ、その仕事における「一つひとつの小さな仕事」を疎かにしてしまうと、結局、その大きな仕事は、自分が望む方向には進まなくなってしまいます。
読者の皆さん、今ここで、もう一度、「自分は一体何のために仕事をしているのか」という問題について考えてみてください。私たち自身、"人間社会に存する一個の個人"として仕事に従事する以上、「一個のビジネスパーソンとして何らかの"ミッション"を持ち、社会や国の利益・発展の一助になるべく仕事をする」という考え方を基本精神としたいものです。
職場における日々の業務において、自分なりのミッションを持って、どのような小さな仕事でも、心を込めて丁寧に取り組んでみてください。そうすると、職場、あるいは、付随する仕事環境において、やがては、何かが変わるでしょう。
このことを逆に言うならば、日々のビジネス・シーンにおいて、"私はこの仕事を通して、私なりに社会に貢献するぞ!"という使命感を持ちながら仕事をしていると、
「一つひとつの小さな仕事に誠意を持って取り組むことそれ自体が、
やがては、大きな仕事を成功させる上での極めて重要な基盤となる」
という大切な気づきを得ることができます。
「ミッションを持って、少しずつ、心を込めて丁寧に」、......人は、人生、そして、仕事の双方において様々な経験を積めば積むほどに、"その真意"について深く認識するようになるのだと思います。