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生井 利幸のコラム「 勝利のための発想法」
生井 利幸
生井 利幸(なまい としゆき)
生井利幸事務所代表

11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。帰国後は、作家として多方面において執筆・講演等を行う。

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Vol. 58 『母国語としての日本語を上手に扱う人がビジネスを制覇する?』
(2009年04月10日)
日本でビジネスを行う以上、私たちが毎日使っている言語は間違いなく日本語です。ここで改めて「日本語を使う」という言い方をすると、「日本語は母国語なのに一体どうして?」と少々違和感を覚える人もいるでしょう。

日本語は、日本人ビジネスパーソンにとっては言うまでもなく"母国語"。日本人であるならば、母国語である日本語はいわば日常茶飯事に喋る言葉です。本業として"言葉そのもの"を扱う作家や言語学者でない限り、普通の生活をしている人であれば、普段、生活の道具として当たり前のように喋っている母国語の日本語についてそう深く考えることはないでしょう。

しかし、本来、言語は、より良いコミュニケーションを図る上で最も必要不可欠なツールです。そうした観点から述べるならば、コミュニケーションのツールとしての日本語について、今、改めて見直してみることにも意義があるに違いありません。

今、私は、ある会社において、セールス部門で長年トップを走ってきた友人・Aさんの言葉を思い出します。ある日、Aさんは私に以下のように述べました。

<1>
「私は長年、営業畑を歩んできましたが、経験則から一つだけ断言できることがあります。それは、何らかの不手際があってクライアントに謝罪しなければならないときには、とにかく、発する言葉は"謝罪の言葉のみ"に徹することが得策です。とりわけ、自分サイドの不手際・非を詫びるときには、その不手際・非について決して釈明したり正当化したりしないことが極めて重要です。なぜならば、クライアント側にこちらの事情をわかってもらおうという意図で事の事情を詳しく説明してしまうと、結局、それは弁解と化してしまい、何らの謝罪にもならなくなってしまうからです。」

<2>
「謝罪するときには、深く頭を下げて、とにかく、しっかりと謝罪することに徹することです。そうすることで、相手は、その"謝罪の心"を受け入れてくれるものです。」

無論、事例によってもその対応の方法は違ってくるでしょうが、上記のAさんの謝罪についての考え方には、それなりの妥当性があろうかと私は感じます。

本来、「謝る」という行為は、単に人を褒めたり賞賛したりするよりも遥かに難しい行為であると私は捉えます。そして、このことをコミュニケーションのツールとしての「日本語」と関連づけて考えると、「(日本語で)適切な方法で謝る」という行為がいかに難しい行為であるかについてもよくわかってきます。

言葉には、"不思議なパワー"が潜んでいます。同じことを述べるにしても、言葉の使い方、即ち、言い方や振舞い方、さらには、言葉の選び方、「間」の取り方、ロジックの展開方法などによって、それを受ける相手においていかようにでも捉えられてしまいます。

ビジネスシーンにおいて重要な問題は、「自分が一個のビジネスパーソンとして言葉を発するとき、相手にどのような趣旨・ニュアンスで感じてもらえるか」という問題であると考えます。

言語としての日本語は、ただ単に、それを使えばいいのではありません。厳粛なスタンスの下で、言葉そのものが齎す「効果」について自分なりに把握し、より妥当な方法で日本語を駆使することによって「クオリティーの高いビジネス」を行うことができるのだと思います。

このコラムをお読みになる読者の皆さん、今、この機会に、母国語としての日本語についてじっくりと再考してみてはいかがでしょうか。きっと、日本語が齎す「不思議なパワー」「不思議な効果」に遭遇するに違いありません。


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