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生井 利幸のコラム「 勝利のための発想法」
生井 利幸
生井 利幸(なまい としゆき)
生井利幸事務所代表

11年の海外生活において主にアメリカの大学で教鞭を執る一方、在ニューヨークの企業を中心に法務・経営・ビジネス戦略に関するコンサルティングを行う。帰国後は、作家として多方面において執筆・講演等を行う。

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Vol. 62 『常に、"一寸先は闇"』
(2009年08月10日)

どのようなビジネスにおいても、プロジェクトに着手し、それを安定した状態にするまでには、それなりの「時間」と「労力」が必要となります。

言うまでもなく、この経済社会において、簡単に成功するビジネスなど、どこにもありません。したがって、取り組んでいるビジネスを軌道に乗せるには、日々、様々なビジネスシーンにおいて多くの困難と闘いながら、全力で、少しずつ前に進んでいくしかありません。

前に進み、ビジネスが安定し始めると、<組織としての企業体>、そして、<実際にビジネスに携わる人間>も、大抵、"一安心"するものです。多くの困難を乗り越えて安定期を迎えたそのステージにおいて、"一安心"するというその様相は、それまでの長く過酷なプロセスを考えるならば、実に、理解できる様相ではあります。

しかし、ここで一つ。

安定したその時期こそが、"極めて要注意な時期"といえます。諺に、「一寸先は闇」という諺があります。ご承知のように、この諺は、「今日は、大丈夫でも、明日はどうなるかわからない」という大意の諺です。

この諺は、古くは、江戸時代初頭の俳諧に用いられた諺です。一寸は、およそ3センチメートル。江戸時代においては、夜になると、まさに右も左も"闇の世"。現代に生きる私たちには想像しにくいことですが、江戸時代においては、現代のようにライトやネオンが溢れる時代ではなかったわけですから、夜、一歩外に出ると、"一寸先でも"注意を払う必要があったわけです。

現代の世の中では、ライト・ネオンはもとより、巷には、実に様々な情報・データが溢れています。日々激変するこのビジネス社会において、企業体も人間も、自らが取り組むビジネスが安定すると"一安心"しますが、思うに、この一安心したときこそが、<最も注意を要する重要な時期>であるといえます。

私自身の周囲でも、近年において、実際に付き合いのあった会社が倒産しています。むろん、その会社において、自らのビジネスが繁栄し、経営状態も、周囲が羨むほどの"健康体"であった時期もありました。しかし、後に倒産。まさに、「一寸先は闇」そのものです。

人は皆、安定を望みます。しかし、実際、どのような組織で働こうとも、1)「パーフェクトな安定」、そして、2)「パーフェクトな保証」などどこにもありません。

それ故、私たちは、いつ何時、何が起こってもいいように、常に細心の注意を払い、「いつ到来するかわからない"非常事態"」に備えて十分な準備をしておく必要があります。このことについて"企業経営"という観点から述べるならば、「経営管理におけるリスクマネージメントの根本」は、まさにこの点において見い出されるといえるでしょう。

ビジネスは、常に、「一寸先は闇」。しかし、この考え方を心に刻み、常に細心の注意を払い続けていくならば、将来において"大どんでん返し"に遭遇しなくてすむかもしれません。




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