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野口 誠一のコラム「生き残る企業の条件」
野口 誠一
野口 誠一(のぐち せいいち)
八起会会長

1956年、25歳で玩具メーカーを設立し、年商10億円までに急成長させたが、1977年に倒産。翌年、自らの経験ももとに、「倒産者の会」設立を呼びかけ「八起会」を興し、倒産した経営者や会社が傾きかけている経営者をもう一度立ち直らせる活動を行う。

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Vol. 8 『倒産する社長の共通十項目 七、還元の心なし』
(2009年11月20日)

「倒産する社長の共通十項目」の第七項目は、「還元の心なし」である。八起会の事務所には、「経営の目的は還元なり」と大書されてあるが、それは私の持論であると同時に、わが会員の総意でもある。

 そもそも企業とは、提供する商品やサービスをもって消費者、ユーザーの便宜に資する社会の公器であろう。そして、その使命を全うするのが経営であろう。とすれば、奉仕の精神や還元の心を持たない者は、企業経営に携わるべきでないとも言える。が、現実はどうもそうなっていないようである。社会貢献どころか、社会に害悪をタレ流し、国民を不安に陥れるような企業不祥事が後を絶たない。たとえば、今年の上半期(一~六月)に食品偽装で摘発された事件は、全国でニ十三件七十八人である。この数値は過去最多だった昨年一年間のそれをすでに上回っている。

 この背景には明らかに、行き過ぎた「利益追求」の姿勢がある。大、中小企業にかかわらず、大方の経営者は「利益を追求するのが経営だ」と言う。しかし私に言わせれば、「そういう経営姿勢だから利益が上がらないのだ」と言わざるを得ない。利益は、社会の便益に貢献した結果に対する評価であろう。とすれば、真っ先に追求すべきは利益というよりも、社会に資するという還元の心であろう。

 こう言うと、必ず「儲かったら還元でも何でもしますよ」と言う答えが返ってくる。が、それは言いわけにすぎない。経営のなかに還元の心が根付いていない限り、いくら儲かったところで還元などするはずがない。現に、日本企業の七割方は還元どころか、税金すら納めていないし、儲かっている企業の脱税や所得隠しも後を絶たない。

 企業、経営者が強欲に取り付かれたらどうなるか。先には日本のバブルが、そしていまはアメリカの強欲資本主義が、見事に証明したところであろう。強欲は企業を金儲けの手段、社員をその道具としか見ない。その先に待つのは間違いなく倒産である。そこを避けるには、経営に「還元の心」を根付かせるしかない。

「余りあるを待って人を救わんとするは、ついに人を救う日なし」
 これは渋沢栄一翁の言葉である。




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