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野口 誠一のコラム「生き残る企業の条件」
野口 誠一
野口 誠一(のぐち せいいち)
八起会会長

1956年、25歳で玩具メーカーを設立し、年商10億円までに急成長させたが、1977年に倒産。翌年、自らの経験ももとに、「倒産者の会」設立を呼びかけ「八起会」を興し、倒産した経営者や会社が傾きかけている経営者をもう一度立ち直らせる活動を行う。

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Vol. 10 『倒産する社長の共通十項目 九.時間貧乏(働きすぎ、遊びすぎ)』
(2010年01月20日)

「倒産する社長の共通十項目」の第九項目は、「時間貧乏」(働きすぎ、遊びすぎ)である。

私は常々「忙しすぎる経営者は危ない」と言っているが、それは「忙」という字が「心」が「亡ぶ」という意味だからである。一事に夢中になって心を奪われ、著しくバランスを欠くからである。経営は何をおいてもバランス感覚である。販売力が抜群でも計数管理がずさんだったり、技術力があっても組織管理がなっていなければ、その経営基盤は危ういと言わざるを得ない。

日本では「忙しい」といえば「結構なこと」と好意的に受け取られるが、欧米では無能、時間管理ベタを意味する。遊びすぎは論外としても、働きすぎも要注意である。事実、わが会員のなかにも、「働きすぎ」で倒産を余儀なくされた例は少なくない。一、二例、紹介しよう。

Fさんは脱サラして文具・事務用品の製造販売会社を立ち上げ、わずか十年で年商八億円まで業容を伸ばした。その武器は抜群の企画力と営業力にあったが、結果的にはそれが禍いした。彼はセールスが大好きで、全国の小売店をとびまわっては説明販売に寝食を忘れ、月に一、二度しか出社しなかった。これでは管理部門が立ち遅れるのも無理はない。やがて銀行から紹介された経理マンに手形を私的に流用されて万事休す。

もう一例。Tさんは機械いじりが大好きで、朝から深夜まで工場に入り浸り、食事も工場でとるありさま。計数管理などそっちのけで義弟に任せっ放し。が、その義弟が商品相場に失敗して夜逃げ。これまたあっけなく万事休す。

二人とも気の毒としか言いようがない。怠けたり遊びすぎての倒産ならば自業自得ともいえるが、一生懸命働いた結果の悪夢では、本人も納得いくまい。しかし、やや酷な言い方をすれば、二人とも一生懸命働いたというよりは、自分の好きなこと、得意なことに没頭しただけにすぎない、という見方もできる。そこが、経営は趣味でも道楽でもないゆえんである。




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