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野口 誠一のコラム「生き残る企業の条件」
野口 誠一
野口 誠一(のぐち せいいち)
八起会会長

1956年、25歳で玩具メーカーを設立し、年商10億円までに急成長させたが、1977年に倒産。翌年、自らの経験ももとに、「倒産者の会」設立を呼びかけ「八起会」を興し、倒産した経営者や会社が傾きかけている経営者をもう一度立ち直らせる活動を行う。

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Vol. 11 『倒産する社長の共通十一項目 十.公私混同(金銭感覚の欠如)』
(2010年02月19日)

「倒産する社長の共通十項目」の第十項目は、「公私混同(金銭感覚の欠如)」である。

 これは中小企業の間にかなり蔓延していると言っていい。というより、多かれ少なかれ中小企業のオヤジはそんなもの......という風潮さえある。が、それは大きな間違いだ。

 そもそも、社長の公私混同がなぜ起きるかといえば、会社を私物視するからである。しかし、企業は規模の大小にかかわらず、社会の公器であり、社長の私物ではない。それを「自分のもの」と錯覚したとたん、会社の金は自分のものとなり、社員・従業員はただの使用人となってしまう。こういう会社、社長は間違いなく倒産予備軍である。

 八起会へ相談にくるのは経営者ばかりとは限らない。ときにはサラリーマンや幹部社員もやってくる。その相談の大方は、社長の公私混同に対する悩みであり、その対処法である。彼らの訴えを聞いていると、まさかと耳を疑いたくなるような事例も少なくない。

 ニ、三例、紹介しよう。
「この間、社長の長男が豪華な結婚式を挙げました。でもその費用はすべて会社もちです。社員は全員、受付から何から、休日返上で手伝わされました」
「社長夫人と二人の子どもは、それぞれ高級外車を乗りまわしています。でも、それはすべて会社で買った形にして、社長が三人に私用させているのです」
「社長の娘さんが大学生で、東京のマンション暮らしです。奥さんが週にいっぺん、娘さんに会いに行きますが、そのときは必ず新幹線のチケットを会社にもらいにきます」
「社員全員が各班に分けられ、日曜日ごとに社長の自宅の掃除、雑用、草むしりをさせられます。お盆と春秋の彼岸には墓掃除もさせられます」

 このような訴えは枚挙にいとまがない。あきれた経営者もいたものである。私はこういう公私混同社長をバブル経営者と呼び、真の経営者と区別している。

 バブル経営者は、経営を金儲けの手段としか考えないが、真の経営者は、社員の力を借り、取引先の協力を得ながら、世の中の役に立ちたいという志を抱いているものである。両者の距離は限りなく遠い。公私混同は倒産の始まりである。




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