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第13回 「こころを元気にする大谷流コーチング」
大谷由里子さんの講演はずっと書きたかった。
私が初めて大谷さんの講演を聞いたのは入社してすぐの頃。その印象を今でも鮮烈に憶えているが、講演を聞きに行った帰りに興奮して、親や友達に聞いた話を止まることなく話していた記憶がある。
小柄な身長、カラカラとキャリーケースを引きながら、大谷さんは講演会場に現れた。
東京の品川にあるホテルで、某衣料品メーカーの販売員1000名対象の講演であった。
実際お会いするとその小柄な体系のせいか、控えめに見える。その時の控えめな雰囲気から想像もつかないぐらい、会場に立つとパワフルに機関銃のように話始めるので、本当にビックリしたほどだ。さすが元吉本興業なんて思ったのは安易だったろうか。
「横山やすしさんから夜中の2時に電話が来て、彼女とケンカして出て行ってしまったから、悪いけど探してきてくれ。それで、アイツ帰ってきーひんかったら、明日の仕事は行かへんから。なんて言われて、なんで私が人の女探さないかんねんって。あの人ほど、自分に甘く、他人に厳しい人もいません。」かつて伝説のマネージャーと呼ばれていた、大谷さんの横山やすしさんのエピソード。1000名の参加者が一斉にどっと笑い、初めから会場が一気に明るい雰囲気に変った。
紹介するエピソードのようなことが日常茶飯事だったというから驚きだが、横山さんのエピソードは他にも数え切れない程あるので、講演によって聞ける話は変ってくる。「横山さんの供養に」なんて言いながらお話する大谷さんはまさに、関西仕込み。講演はつかみの部分が肝心だと思うが、吉本で数々の芸人達にダメだしをしてきたプロデューサー。決して期待を裏切らない始まり方だ。
会場に来ていた参加者が30代、40代の女性が大半だったので、コーチングのお話も旦那さんとうまくコミュニケーションを取るためには、というように脚色され、ご自身と旦那さん、娘さん、会社の上司との経験を元にお話される。だから、聴講者は笑っている間に学べてしまうのが嬉しいところ。
最近では企業研修などでよく登場するコーチング。アメリカから入ってきたメソッドで、相手に考えさせ、相手に答えを出させ、相手に戦略を練らせることで、相手の能力を引き出していくものだが、吉本での芸人とマネージャーの関係もそうだった。
親に勘当されたもの、家出してきたもの、何億も稼ぐ人間がいるかと思えば、年収3万円なんてものも山ほどいる世界。漫才を教えるのではなくて、いろいろな事情を受け止めた上で、今後どうしていけば良いのかを一緒に考えるということをしてきたのだという。
「4つのタイプ(coach21の規定による)「コントローラー」「プロモーター」「アナライザー」「サポーター」への対策を簡潔に、日常よく見る光景を例にしながら、社内のコミュニケーションやビジネスにも応用で
きるように話されていた。」
そしてここからがまた大谷さんの注目すべきところ。
コーチングとは、まず人を認めることから始まる。人を認めると自分のキャパシティーが広がる。そうすると心の余裕が生まれる。心に余裕が生まれると、人の能力をも引き出すこともできる。「自分が幸せになる」スキルをも身につけることができるのもコーチングであり、自分にとことん問いかけて、やりたいことや好きなことを形にすることまで話を進めていく。そして、こころの元気がとても大切なのだという核心にたどり着くのだ。
こころに元気がない時に、人のことなど認められないし、いい発想も浮かばなければ、いいビジネスもできない。人の話さえちゃんと聞くことができない。
「こころの元気」
大谷さんは、ここに本気で拘っているから、面白い講演なのだ。
大谷さんはコラムでこんなことを語っている。
かつて、企画会社の社長をしていたわたしは、大好きな企画で食べて行きたかったのに、数年経って、労務・財務・税務・資金繰りという管理が業務になるうちに、ココロの元気をすっかり失ってしまった。自分を慕って入社したはずの部下を何人もつぶしたし、家族にも迷惑をかけた。
そんなわたしを救ってくれたのは、何人かの大切な人からの嬉しい言葉だった。
「大谷さんらしく生きろよ」という友人の言葉であったり、
「愛してるから安心しろよ」という夫の言葉であったり、
「何があってもママが好きだよ」という娘の言葉だったりした。
だからこそ、わたしは、今、「人生って、気持ち次第で、もっと、ステキなものになるよ」ということが伝えたくて、それを気づいてもらうためのツールを作って、研修したり講演したりしている。大多数の人は、「ほんとにココロの元気だね」と、言ってくれる。
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コーチングというスキル、それを扱う人のこころの元気。
大谷さんの講演は、大谷さんの言葉で、素直な言葉で語られる。
「日本を夢と希望とチャンスのある国にしたい。」と全国で若い人達に対して人材育成をしている大谷さん。その大谷さんを慕って1000人集まった初笑いという正月のイベントにも参加させてもらったが、大谷さんへの感謝の言葉を述べる学生達とそれに応える大谷さんの涙が凄く印象的だった。
大谷さんはイキイキと今を本気で生きている。
体の芯から溢れる元気、まっすぐな情熱。人を動かす人は何かが違う。
とにかくいっぱい笑って、ワクワク、ゾクゾクする講演。
そして自分の可能性をもう少し広げてみたくなる、未来につづく講演だ。
(2005年8月21日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)
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