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講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > 講演ルポ 室井佑月

  講師マガジン「人」


 
 室井佑月 講演
 「働くということ」

  小説家、テレビのコメンテーターで活躍する、
  室井佑月さん。
若い女性の代弁者として、
   又働きながら子育てをする母親として、
  女性に支持されている室井さんの
  「働くこと」とは何なのか?  


  今回は、気になる講演にお邪魔してきました。

 
講演テーマ:  「働くということ」 
聴講対象: 労働組合員 約80人 (20〜40代)

2006.6.20



 
室井佑月

 <講師> 室井佑月

小説家

1970年青森県生まれ。
ミス栃木、モデル、女優、レースクイーン、銀座のクラブホステスなどを経て、97年「小説新潮」 の「読者による『性の小説』に入選。

以後「小説現代」「小説すばる」などに作品を発表し、98年『熱帯植物園』(新潮社)、『血い花(あかいはな)』(集英社)、99年『piss』(講談社)を刊行。

「anan」「青春と読書」などで連載していたエッセイも好評を博し、最近では若い女性の代弁者、恋愛の教祖、お母さんという立場で女性の支持者も多い。
テレビ、ラジオ、シンポジウムなどでも活躍中。

室井佑月 講師プロフィール


第22回 「働くということ」

 「ずっと自分が働くのは、愛する息子のためだとか、親のためだって思ってきたけど、
本当は自分のためなんだって最近気づいたんです。」と室井さんは少し照れたように言った。

普段なかなか親しい間柄でこそ「ありがとう」と言われることは少ない。それが外に出て働くと、やった分だけ、「ありがとう」と言われるのだ。人生を90年とすると、自分の力量で勝負できるのは40年、その時勝負をしなくていつするのか。そんな思いがあるという。

そして、「35歳になって、美味しいものを食べて、キレイな服を着て、ブランド品を身につけていても、それだけでは寂しい。だから、誰かに必要とされる人間にならないと、と思うんです。」そう付け加えた。

そもそも室井さんが東京に出てきたきっかけは、父親の会社の倒産。それまでは、高校までの送り迎え、所謂お嬢様育ちの豊かな生活を送っていたが、その時から環境が一変。父親は働く気力を無くし、母親と二人東京に上京し、生活をすることになったのだ。しかし、母親は外で働いた経験がない。だから、どうしても自分が二人分働くしかなかったという。

朝は、コンビニの仕出し、昼はファーストフード店の店員、
夜は銀座のクラブのホステス、休みの日には、ティッシュ配りまでしていた。

「でも、どんな時も楽しもうと思った」と笑顔で語る。何故か。それは、いろいろな職場で働きながら、あることに気づいたからである。続けられる人は成績の良い人ではなく、どんな時も楽しめる人。楽しむかどうかは自分次第である、と。

 そうやって前向きに人生を歩む中で、一つのチャンスが訪れる。
銀座のクラブでたくさんの人を見ている経験を活かし、ペンを握り、1つの原稿を書き上げた。
それが編集者の目に留まった。ちょうどその時、新人賞を取った新人作家が次作を書けず行き詰っていて、室井さんに話が来たのだ。その新人と室井さんは、ちょうど同じ年の頃だった。

そのチャンス、仕事を必死に掴もうとした結果、5kgも体重が減ったという。
大の勉強嫌いだったが、四六時中机に向かい、プレッシャーと戦いながら栄養失調にまでなった。
何かを掴むということは、それに伴う苦労も並大抵のものではない。

そこで、こんなヒントを聴講者にくれる。

「自分の人生において、優先順位を決めること」

室井さんがチャンスに向かって必死になれたのは、自身としっかり向き合い、何が一番大切か、優先順位がついていたからでもある。だから、チャンスが来た時に、優先順位が低いものには目をつぶることが出来た。人生における優先順位をちゃんと確認しておくことで、結果、自分の納得のいく人生を歩むことができるのだ。

そして今、室井さんは、息子を持ってからの優先順位がこのように変わった。

1)息子の命 2)自分の命 3)両親の命か、息子の幸せ 4)自分の幸せ

又、両親と息子を支えるため、家族の中で自分は働く係りだと室井さんはいう。
だから時には、コーヒー豆をガムのように噛みながら、寝る間を惜しんで仕事をする。

よくシングルマザーの悩みは、子供のために仕事をすればするほど、
子供と一緒にいる時間が減る、というが、その悩みを前に、室井さんはこんな風にも言うのだ。

「私は、だめな母親だと思う。台所には立たないし、家事もしない。
でも仕事以外は、どうしても息子と一緒にいる時間を大切にしたい。」

時間は限られていればいるほど、その使い方を考えるもの。
毎日忙しく、仕事と子育てに奮闘している室井さんだからこそ出てくる言葉だ。
時間の使い方一つを見直してみるだけで、随分と毎日が変わるかもしれない。

今の室井さんは小説家、テレビのコメンテーターとしても、忙しいスケジュールで、常にスポットを浴びているイメージがあるが、こういう話を聞くと、華やかな裏で人一倍頑張っている様子が分かる。

そして、ある言葉がすごく室井さんを象徴しているように思えた。
「不幸の数が少ないことが幸せ、ではないと私は思う。不幸の数が多くても、幸せの数が多ければその方が幸せだと思う。」

答えを決めつける小説が一番嫌いという室井さんの講演は、最後は「自分で答えを出して下さい」という余韻を聴講者に与える。特に女性に人気がある方だが、30代後半の男性までが、自分の子供との話を持ち出し、質問が止まず、時間で締め切ったほどだ。「仕事のこと」「自分の人生」について、誰もが深く考えさせられてしまう。

また堅い講演ではなく、まさにトークライブ。聴講者と対話をしながら進めていくので、日頃はなかなか会うことが出来ない方が、自分達と同じ目線で、一緒に考え、話してくれる様が、なおさら聴講者の心を沸かせる。そうやっていつのまにか、聴講者までもが、自分の話を聞いてもらいたくて仕方がない雰囲気に変わり、まるで人生相談のような質疑応答の時間であった。

室井さんの素直な言葉には、聴くものまでを素直にさせてしまう何かがあるようだ。
頑張っている人を後押ししてくれる。
是非、お薦めしたい。

室井佑月

  (2006年6月20日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
これからも講演依頼.comで人気のある講演会をレポートさせて頂きますので、よろしくお願い致します。


 

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