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  講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > スペシャルインタビュー 加茂周
 


――監督時代、指導をする上で大切にしていたことは何ですか?

 選手一人一人の特性が違うので、それぞれ要求することは違うんですが、全体に対して要求するのは集中力です。練習でフィールドに入ったら、とにかく集中すること。私の練習は1回に1時間半と短いですから、集中してもらわないと効果が上がらない。だから、集中して欲しいとはいつも言っていました。それが最終的にゲームにおける責任感とかチームプレーに結びついてくると思っています。

加茂周――以前、講演の中で「人間関係」(チーム内、協会、マスコミ等)を大切に、というお話をされていますが、中田英寿選手やマリナーズのイチロー選手など、日本のマスコミと折り合いが悪いと思われている選手に対してどう思われますか。

 それは選手それぞれの考え方で、「俺はマスコミと極力付き合いたくない」と言う人もいると思うんですよ。だけど、基本的には彼らもプロで、お客さんあってのものですからね、最低限の責任は果たさねばならないと。私もそういうアドバイスをするようにはしてきました。

確かに自分のミスで負けたとかね、その時のショックは相当なものですから。インタビューとか来られるとね、そりゃあ素直になんてなれないですけど、きちんと対応するようにとはアドバイスします。

――加茂さんの選手時代もそうでしたか?

 私の時はマスコミも何も、観客10人ぐらいしかいませんでしたから(笑)。試合が終わった後も、一杯行くぞ!ってなもんで。前日も前祝いだと言って飲んでいた時代ですからね。社会人になったら練習も試合直前にチョコチョコっとやる程度ですから。今とは全然(笑)。

年配のかつて優秀だった選手がね、「いまどきの若い奴のサッカーは・・・」なんて言うのはおかしいんですよ。「ボールの持ち方が悪い。今の奴はヘタだ」ってね。その頃はボール止めて、「1,2,3,4,5」ぐらい数えないと相手が前に来なかった(笑)。極端に言えば。今は一瞬の間に2人3人と来ちゃいますから。そういう中で90分間戦っていくコンディション、技術、戦術的に戦っていく能力もすごく大事ですよね。

――加茂さんが現役だった頃と今のサッカーの違いは何ですか。

 サッカー自体は同じですよ。ルールはほとんど同じだから。ボールは質が良くなってるけど、大きさも重さも同じだしね。グラウンドの大きさも同じ。当時は芝のグラウンドなんてほとんどなかったけど。ただ、野球と比べてサッカーの理論的なベースというか、マネジメントの部分も含めてね、進歩が速いんですよ。だから、現場を3年ぐらい離れてしまうと、その遅れを取り戻すのに大変ですよ。だから絶えず現場にいて勉強していないと。今やっていることが、ヨーロッパではこうだ、南米ではこうだと言ってね、絶えず吸収して、整理して、選手に伝える力をつけないと。今の選手の情報量というのは、昔に比べたら大変なもんですよ。サッカーの雑誌やテレビなんか無かったですから。

1チームに監督は1人ですが、選手は30人いるわけですよ。ミーティングの時に選手から鋭い質問が来て、その時にあたふたと答えられなかったら、「このおっさん大したことないわ」となるわけですよ。だから絶えず勉強しなければならない。

一言で言えば、氷山の一角をつくるということ。氷山というのは水面上に出ているのは一部であって、水面下には巨大な塊がある。知っていることを全部言っても、いい選手になったり、いいチームになることはないですから。いかに整理をして出すか。

加茂周しかし、ベースとなるものを持っていないと突然の質問に答えられない。これはサッカーだけに限らないことだと思うんですけど。そういう自信を持っていれば、知らない、自分が気づかないことをパッと質問された時に、「それは気が付かなかった。明日まで待ってくれ」と言えるわけですよ。

ところが、それが言えないと口先だけでごまかすことになる。口先でごまかすと、バレるんですよ。最後は、「ごちゃごちゃ言わんとがんばれ!」となってしまいます。これは、監督、コーチとして失格だと思います。

僕は子供に直接教えた経験があまりないのだけれど、突拍子もない質問が飛び出すらしいです。「そんなつまらんことを訊くな!」と言って怒鳴りつけたりせずに、子供の心になって一緒に考えてあげないと、その子はサッカーを嫌いになってしまう。

――小さなお子さんをお持ちの方々にアドバイスはありますか。

 どんな子でもどこかに才能がありますから。サッカーで一流になれるのは極僅か。野球もそう。画家もそう。バイオリニストもそう。本当に生涯楽しむためにはそれなりの訓練が必要。早く親御さんが才能を見抜いてあげて、本人がそれを好きで、周りも期待して応援してあげる。いいコーチにめぐりあう。そうして運が良ければプロになれます。

でも、小学校のうちは楽しむことが先です。ボールを蹴って楽しい。あいつと一緒にプレーして楽しい。試合に出て楽しい。「巨人の星」みたいなのは、少なくともサッカーには向かないと思いますよ。楽しみながら、その中からよりうまく、より強く、より速くなるためにどうしたらいいのか、ということを子供自身が気づかなければならない。そうじゃなきゃ上手くならないですよ。

――ありがとうございました。


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