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インタビュー Vol.005 小林 至

今月は元千葉ロッテマリーンズ投手の小林至さんです。
昨年から江戸川大学にて教鞭をとられ、講演やラジオ、執筆でご活躍しています。
今回はプロ野球退団後から現在までの経緯を中心にお話をお訊きしました。

小林 至 (江戸川大学助教授)

1992年、東大から千葉ロッテマリーンズへ投手として入団。

退団後、コロンビア大学経営大学院にてMBA取得。
フロリダの「ザ・ゴルフチャンネル」にて通訳・翻訳等を担当。

現在、江戸川大学助教授としてスポーツビジネスを教えるかたわら、
執筆活動やコメンテーターとしても活躍中。

 

小林 至


―― 千葉ロッテマリーンズを退団されてから、アメリカのコロンビア大学経営大学院へ留学してMBAを取得されますが、その動機は何ですか。

 結論から言えば、やることがなかったんです(笑)。あまり野球はうまくなかったけれども、野球一筋の人生でしたから、ある意味で。プロ野球をクビになりますと、他に目標というものが無いんですよ。その中で、プロゴルファーや政治家や芸能人というお話もいただきましたが、あまり乗る気ではなかった。当時、契約金も残っていたので、少しお金もあった。独り者だったので、時間もあった。それで、じっくり次の人生を考えようと。それには、それまで一度も行ったことのない海外に出るのもいいのではないかと。パスポートも持っていなかったんですよ。それで、色々と話を聞いていると、せっかく行くのなら学位でも取ったらどうだ。じゃあ、何が流行っているんだ、ということでMBAがいいんじゃないかと。

――英語は大丈夫でしたか。

 
話すとか聴くというのはあまり得意ではありませんでしたが、共通一次なども満点だったので、基礎は出来ていたと思います。だから、他の人よりも(英語習得の)スピードは速かったと思いますが、渡米してからは英語漬けの毎日を送っていたり、努力もかなりしたと思います。

――修了後、ゴルフチャンネルへ入社されますね。

 元々目的意識が薄い留学だったせいだと思うんですが、卒業の段階になってなお、これがやりたい!っていうものはなかったんですよ。同級生はほとんどが金融へ行くんですね。コロンビアの人はウォール・ストリートへ行くんですね、お金がいいですから。僕も行こうかなと思ったんですが、このまま周囲に流されるのも何ですし、かといって他に目標があるわけじゃなくて、結局就職を決めないままに卒業してしまうんですよ。ところが、大学院の時に一緒に遊んでいた仲間はみんな就職してしまった。遊び相手がいなくなる。そうすると、働いていない自分が急に恥ずかしくなってきまして、インターネットで求人情報などを探していたら、ゴルフチャンネルで日本語放送が始まるということで、英語を日本語に変えるスタッフを募集していまして。場所がオーランドだった。学生時代に3回も行っているほど、気に入った場所だったんですね。ゴルフ代は安いし、暖かいし、1度こんな所に住めたらいいなと思っていたところだったので、決めました。

――ゴルフチャンネルをクビになってしまいますが、その時のお話をお聞かせ願えますか。

 ある日、呼び出され、その場でクビを言い渡されました。

理由は、それより少し前の、僕の発言でした。会社の全体会議がありまして、そこで社長に質問をしたんです。
「なぜこの会社には、中間管理職以上に有色人種がいないのか?」と。僕は、昔から目立ちたがり屋で、ええ格好しいのところがあって、それが墓穴を掘ることはよくあったのですが、この時も思慮が足りませんでした。
間違ったことを言ったとは今でも思っていませんが、賢くなかった。というのも、アメリカは白人社会だというのは当たり前のことで、そんなことに目くじらを立てても仕方ないんですよ。それよりも、アメリカは自由と平等の国だ、という白人の主張に、にっこり笑ってピースサインを出せる度量の広さが必要なんですね。特に僕は外国人で、それなりの給料も貰っていたわけで、差別と貧困で苦しんでいるわけでもなく帰る国もあるお前になんでそんなことを言われなければいけないんだ、と思ったんじゃないですか。
もっとも、クビを宣告されたとき、天のお告げかなあ、と思ったのも確かです。というのは、辞めなきゃいけない、このままじゃ駄目だ、と2年くらいずっと悩んでいたのです。先々ずっと、翻訳や解説で食べていく気も、ゴルフで食べていく気もありませんでしたので、そろそろ動かないと年齢的にも手遅れになるんじゃないか、そんな思いですね。そうは言っても、オーランドという街は大変住み心地が良いし、家族を養っているんだからいいじゃん、なんて逃げの気持ちもありまして、踏ん切りがつかなかったんです。


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