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――最近マスコミ(メディア、新聞各紙等)で景気が回復方向にあると言われておりますが、その景気回復の兆候にはどのような背景が、考えられますでしょうか。
中央から地方へという順序はあるにせよ、景気回復は数字に出ています。インフラ整備とか設備投資等の動きがあり、それが景気回復の数字を裏付けているということは事実です。その背景として考えられるものはいくつかあります。
一つは不良債権の処理です。
この不良債権処理についてはいろいろと言われておりますが、小泉内閣が異端児としてずっと支えてきたんですよ。最近では評価が下がっておりますね。竹中経済財大臣、私と同じ大学の教授ですけど、彼は不良債権の処理をまず真っ先に掲げて、初めの1年〜1年半ぐらいはほとんど、成果でなかった。そのことに関してバッシングの嵐だったわけですが、今気がついてみるとどうでしょうか?現在の都市銀行の東証株価を見てもお分かりの通り、今リードしているのは金融株です。ではこれは一体何なのか、というと、それはやはり不良債権の処理が進んでいるわけですね。
もちろんその結果として、いわゆる外資系の企業が、日本の金融機関を買収したり、企業を買収したりというような状況はあります。しかしそういった批判は、グローバリゼーションというキーワードで説明される現在の国際社会を、全く分かっていない人達の批判が非常に多いということも言えます。つまり現代の社会においては、中国系の企業が日本の企業を買収するなんていうことも行なわれつつあるわけですから、「国境の垣根はない」ということを前提に仕事をしなければならないわけですし、外資が日本に入ってきてけしからん、という状況は終わったという風に、私は思うわけです。
――そういうことから考えると、今言ったようなある人たちからすれば問題点だと、あるいは副作用だとか言われている状況はあるけれども、不良債権の処理は進んだわけですよね。
そういうことになります。そしてもう一つ考えられるのは、企業レベルの技術開発です。
日本の得意な分野というのがあるわけですよね。一時期は電気関係だとか、電子関係だとか、コンピューター関係にしても全部工場は安い労働力を持っている中国、ベトナムという東南アジアの市場に向いていたわけですけれども、高度な技術が必要な製品、DVDだとか、テレビや液晶を含めてですね、若干韓国と協力してる部分もあるけれども、日本で工場を作っているというのが、最近の傾向です。
数年前までは「空洞化」ということが世間で叫ばれていて、実際に「これはマズイな。」という話ばかりだったけれども、必ずしもそういった状況ではなくなってきた、ということです。つまり設備投資の内容が変わってきて、海外で設備投資をするのではなくて、日本の国内で設備投資をし始めて、これがまた日本経済を活性化する要因にもなっている。
これはどういうことかと言いますと、「空洞化」が叫ばれていた以前の企業としては、日本の労働力コストが高いので、労働力を日本の外に求めるという発想しかなかったのだけれども、日本の労働コスト自身がここ数年間のデフレ傾向と、賃金を含めた様々な見直しによって、国際競争力が出てきて、相対的に下がってるわけなんです。それも企業経営者から見れば一つの有利な材料ですよね。これが日本の国内での設備投資の流れにつながり、日本の景気や雇用の回復につながっていると言えるわけです。
――日本での設備投資という流れが、空洞化問題を解消させてきているわけですね。
「空洞化」と言いますと、企業だけでなく、少子高齢化で幼稚園だとか小学校、こういうものが空きスペースになってしまうということがあります。小さな行政でも、空洞化が起きているわけで、こういった空きスペースを利用した、政府の新しい動きもあるんです。現在の景気回復に後続する、ヒット業界だとか、ヒット商品だとかで考えられる日本の文化として、アニメの世界や音楽の世界、そういったものが挙げられます。東南アジアや香港、台湾を中心に、若い人たちのニーズがあり、今では日本のアニメや音楽は完全に輸出商品なんですよね。ここらへんに政府も相当力を入れている。つまり、空洞化のために空きスペースになった所に、いわゆるベンチャーのアニメ会社などを入れたりと、いろいろな試みをやり始めてます。それからすると、中長期的に見て、日本の景気回復を支える、今までになかったものが出てきているということも言えると思います。
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