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  講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > スペシャルインタビュー 寺廻太
 



――NEC監督時代には、アメリカまでコーチングの勉強に行きましたよね。
    そこで印象的な出逢いがあったと聞きましたが…

 そうですね。私の人生において、とても重要な出逢いがありました。そもそもアメリカにはブロックを学びに行ったんです。ブロックとはなんぞや?ということをね。だから、すごく分かりにくいことを教わったわけではない。 ただ、そこで学んだものは非常に大きかったと実感してます。

つまり、ものの見方というのは、自分がこうだ、と真っ直ぐから見る以外に横から見たり、斜めから見たり、後ろからも見れるんだということが、そのコーチと逢って、ブロックのシステムを聞いた時に、ああなるほどな、と思えたんですよ。自分はどうしても前から、ようするに真っ直ぐに自分がこうだ、と思うバレーボールを見ていたんですよ。「自分の視野がせまかったなぁ」とその時は素直に入ってきましたね。物の見方というのは、いろんな角度から見なければならない、ということをその人から教えてもらいました。

 そして、指導方針としては選手を「誉める」ということを学びましたね。自分は厳しく指導されて育ってきて、選手に対してもそういう指導方法を取ってきたんですが、その人に逢った時に誉めることの大切さを、身を持って体験させてもらいました。その方はブリガミヤン大学のカール・マクラウンという教授。彼に出逢わなかったら、と思うとちょっとぞっとしますね。ナショナルチームの監督にもなっていなかったと思いますし、優勝できたかどうかも分からないし。そういう意味ではすごく今も感謝しています。

――他の国にもいろいろ勉強のために訪れてますよね?

 アメリカで味をしめたんですよ(笑)。アメリカから帰ってきて、チームの監督として頑張っている頃、ブラジルのチームがオフェンスがとても素晴らしく、多彩な攻撃をするチームだったんです。バルセロナオリンピックのチャンピオンにもなったんですが。

それでもうアメリカのブロックで味をしめてますから、これはブラジルに行っても、教わってくるものがあるだろう、と思い立ったわけですね。今ちょうどブラジルの女子ナショナルチームの監督が、その当時は男子の監督だったんです。私のブラジル滞在は1ヶ月強ぐらいいったのかな、その間中ずっと、彼が私に付いてくれました。彼といろんなチームを回りながら、ブラジルのバレーボールを勉強したんですね。

 そしてまた、帰ってきたらブラジルの良いところを自分のチームにプラスアルファする。自分が教わってきたこととか、自分が思う事はすぐやるんですが、それ以外に、他にもいいことはないだろうか?と常にいろんな方向から考えてましたね。そんな姿勢を持つきっかけになったのはアメリカへの留学だったと思います。

――日本の監督の中で、監督をやりながら、海外に足を運び、勉強してくるというような行動力のある方って少ないようにと思うのですが…

 そうですね、自分がやっているスタイルを一概にこうだ、という話ではないですが、自分がやって来たことは、少なくとも自分にとってはプラスになっていると思います。 自分自身が向上することで、選手にもより多い情報が監督として与えられる、そう思うんですよ。自分の中で考えて、自分が作り出す練習方法とか、これは一つの手だと思います。ただ私が思う事は、いろんなところで、いろんな練習方法で、いろんなバレーをやっていて、 例えば、小学生を教えていても、自分のプラスになることってあるんだな、と思うんですよ。

だから、自分自身が常に向上心を持って、プラスアルファの情報等を集め、それを積み重ねることによって、教えていきたい。自分も常に成長していきたいというのは思いますね。それはもしかしたら自分に確固たる自信がないのかもしれない、とも思いますけれど。

でもこれが僕のスタイルです。けれど、僕のスタイルと言っても、これは常に変化する可能性を秘めているんですよ。指導方法に「誉める」という要素を重視するようになったのも、変化ですしね。だから、反省と成功の繰り返しの中に常に自分がいます。

自分のスタイルの中で、例えば僕がナショナルチームの監督をやって、あの時こうすれば良かった、とかあの時のやり方は間違ってたな、ということももちろんあるんです。だから良い方向に変化したいというのは常にあります。変化し続けて行きたいっていう気持ちが強いんです。逆に強固にこれが自分のスタイルだ、と決め付けるようなものはない、勿論その中で大事にしたいものはありますので、譲れないものもありますが、常に柔軟な心を持っていないと、多角的な視野は保てません。指導方針でも、やはり良いものは取り入れていきたいというのは凄くありますね。

――ではやはり、現場に戻りたいというお気持ちが強いのでしょうか?

やっぱり現場っていいんですよ。本当に快感なんです。体験しないと分からない快感だと思うんです。試合前のとてつもない緊張感から、試合途中のエキサイティングな感覚、これは日常生活ではあまり味わえないですよね。

だからそこは裏を返せば非日常的なものですので、居心地が良い場所という訳ではありません。しかし居心地は良くないけれど、離れてみるともう一度そこに行きたい、と心底思えるっていうのかな。現場って一回経験してしまうともうだめですね。

そして監督をやる上で一番重要だと思うのは、これは繰り返しになりますが、選手とちゃんと理解し合うということですね。言葉だけではなく、向上している状態をしっかりと選手に実感させる。

また、一人の選手に対して真剣に向き合い、事にあたるということ。必ず一生懸命にやってる姿勢というのは相手に伝わりますから、いつか自分に返してくれるようになります。だから、真剣に事にあたるという姿勢は、最低条件なんじゃないかな、と思います。

これでいいや、と妥協するとぶつかり合いはないんですよ。逆に、お互いが真剣に自分の意見を通そうとすると、ぶつかり合っちゃうんです。どっちも引けなくなって。でもぶつかって初めていろんな所が見えてくる。だから選手とぶつかるんですよ。 それが僕の監督としてのこだわりですね。

――素晴らしいお話をありがとうございました。


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