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  講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > スペシャルインタビュー 古賀稔彦
 

渡邊: 影響を受けたといえば、一番近くにいらしたお兄様からはいかがですか。私は兄弟の影響と言うのはやはり大きいと思うのです。私自身も4人兄弟ですから言うのですが、兄弟とは身近にいるだけにお互いに大きな影響を与え合っていると思います。
古賀さんとお話していると、ご自分をとても客観的に見られていると感じます。その客観性は小さい頃からあったのでしょうか。お兄さんにもそうした客観性はおありになるのですか。

古賀: 客観性ですか。私が小さい頃はどんな子供だったかと言いますと、体の弱い子供でした。いつも布団に入っているような子供時代でした。反対に兄は元気でよく母にやんちゃを怒られていました。ですから私は布団の中から元気な兄を遠くに見ている環境である程度まで大きくなりました。観察していたんですね、こうしたら怒られるのかと冷静な目で(笑)そうした中で客観性というものが育まれたのでしょうか。
渡邊: お兄様はどうだったのですか。
古賀: 兄は指導者という人を教える立場に立って変わったと思います。
渡邊: 客観性が出てきたとお感じになる訳ですね。
古賀: そうですね。客観性が出てきたというよりは、自分の考えを通すことばかりではなく、相手を受け入れる余裕が出てきたと感じます。
渡邊: 相手を受け入れる余裕ですか。その余裕がないと信頼関係も生まれてこないのでしょうね。だからお兄様も指導者になられてから変わられた。すごいですね。そしてやはりその客観性をもともとお持ちだった古賀さんはやはり天才だと私は思ってしまいます。先ほどはご自分のことを天才だとは思わないとおっしゃっていましたが、天才とはどんな方だとお考えになりますか。
古賀: 天才とはやるべきことをやっている方だと思います。やるべきことをやっていれば何かは成し遂げられます。ただ、その成し遂げたことが派手なことだったりすると目立ちますからね。それを見てみなさん天才とおっしゃるのではないでしょうか。
渡邊: やるべきことをやっていてもなかなか結果の出ない方もいらっしゃると思うのですが。
古賀: 誰でもやるべきことはやられてはいると思いますよ。ですが、結果が出ないからといってそこでみなさん辞めてしまっていると思います。本当に強い気持ちで「自分はこうなりたい」と思ったら、やってみてダメでは終わりません。これでダメならば次はどうしよう、こうしようと次に進む気持ちがあります。その気持ち(モチベーションですね)を継続していけるかが重要なポイントになります。このことが出来る人が結果的にすごいと言われることを成し遂げて、天才と呼ばれるようになるのだと思います。
渡邊: ということは、指導者としてはそのモチベーションの継続をサポートしていくということになる訳ですね。
古賀: そういうことになりますね。谷本選手の場合は、オリンピックの3年ほど前から金メダルを取ったら一緒に抱き合って喜ぼうと約束していました。その約束が彼女にとってモチベーションになってくれたのかもしれません。もちろん彼女自身の金メダルを獲る、という強い気持ちがあってこそですが。
渡邊: そうした継続力が必要だと言うことを世の中が天才だと呼ぶ方たちは自然にわかって実践していらっしゃる訳ですよね。自ら変わって行くことに挑戦していかれている。それはやはりとても素晴らしいことだと思います。
例えば阪神大震災を見て変わっただとか、死にそうなめにあって変わったという方はよくいらっしゃいますが、自然体で変わろうという原動力を持っていらっしゃる方は少ないと感じます。

古賀: そうかもしれませんね。ただ実際に目標を達成できるかは、そういう気持ちを上手く助けてもらえる環境にいるかということも大きな要素にはなってくると思います。
渡邊: ここでも指導の重要性が見えますね。
古賀: もちろん指導だけでも意味が在りません。選手自身の気持ちがまずあってのことですから。ですから信頼関係は大切ですし、それを築くために選手の立場に立つことが重要になってくるのです。
渡邊: 先程も「選手の立場に立つ」と言うことをおっしゃいましたが、具体的にはどうしたらいいということなのでしょうか。一言で言うとわかったような気になりますが、重要なお話なのでもう少し詳しくお伺いしたいですね。私も社の代表という立場におりますので、社員を育てるなどということに応用できそうなのでぜひ教えてください。
古賀: そう難しいことではありませんよ。「まず相手を受け入れる」ということです。
人間は自分勝手な生き物ですから、やはり自分の話を聞いて欲しいと思っています。ですがそれでは自分の思いをぶつけているだけです。ぶつけたものは跳ね返ってきてしまいますよね。人間関係も同じことで、相手に理解してもらおうと思ったら、まず相手を受け入れるところから始めなければなりません。相手は自分の欲求、つまり自分の話を聞いて欲しいという願いが叶った訳です。そこで初めて相手の話を聞く余裕が生まれるのです。まず聞いてくれ、ではなくまず聞きましょうですね。お互いの話が聞けたことで相互理解が深まります。

渡邊: まず聞きましょう、ですね。
私も社員に対してまず聞きなさいと言っていることがよくあります(笑)

古賀: そうですか(笑)
良い例えをお教えしましょうか。私は柔道家ですから柔道に絡めた例えですけれど。

柔道とは、柔(やわら)の道(みち)と書きますよね。それは柔軟な心を持つことで道を歩いて行けるということだと私は思っています。ここで言う道とは、人生のことです。硬いものと硬いものは衝突します。ですが自分が柔軟なら硬いものでも受け入れられます。そして受け入れれば、そのことについて自分がどうすればよいのかを考える余裕が生まれるはずです。問題は自分の中にあるわけですからね。じっくり考えることも出来ます。そこで自分がどこへ進めばよいか考えればよいのです。

渡邊:

素晴らしい例えですね!そして柔道とは奥が深い。
柔道は古賀さんの人生を形成してきた大きな要素だということがよくわかります。
大変勉強になりましたし、私も是非「柔の道」で進ませて頂きたい、と思います。
今日はありがとうございました。

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