| −そこでは、音楽を演奏する機会はありましたか? |
| 残念ながら、そこには楽器がなかったので、テープを持っていって自分で作ったカラオケで歌を披露しました。そこの子ども達は、戦争で親・兄弟を亡くしたりしていろんなトラウマを抱えていると思うんですけど、苦しんでいるにもかかわらず、目が輝いていたんですよ。もちろん落胆してるから、そういう表情の子もいっぱいいるけれども、目の方はすごく輝いていた。純粋さがそのまま出ているそういうところに驚きましたね。 |
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−バングラデッシュでも、ボランティアとして貢献なさったということですが?
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| あるとき、まだバングラデッシュのある地域に病院がないということを知ったんです。それでどうにか助けになりたくて、日本でのコンサート(臓器移植を呼びかけるNGO=ビバ・プランテーション)で呼びかけたことがあったんです。そしたら、ある企業の方(三菱の社会貢献室の方)が聞いていらして、資金提供してくださったんですね。それで、その地域に最初の診療所ができて、今では大きな病院になっているようです。どうにか助けになりたいと思っていたときに、一言呼びかけたのがキッカケとなって、何千人もの方々が助かるんだと思うと、やはり素晴らしいですよね。このように、命と命の境が消えていくのは私の願いなんです。人間と他の生物との境、そして他国の人々のことを、つい普段繋がりが見えにくいから関係ないと思いがちですが、その感受性を変えていかなければいけないと思います。 |
| 「一人ひとりの大切ないのち いのちの教育を今こそ」 |
−それは、「一人ひとりの大切ないのち ――― いのちの教育を今こそ」という講演テーマにも共通していることですよね? |
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そうなんです。現代は、まだまだ物質中心の社会ですし、点数や成績など目に見えるものにかなりのウェイトがあります。だから、競争社会になっているんですね。日本の子供たちは物質的には豊かですが、実は不自由。自分達で小さな枠を作って、その中でお互いにいじめたり、競争したり、いろんなマイナスのことに心を使っていて、くたびれてしまっているんだと思います。目に見えない世界を大切にする余裕もない。最近のニュースを見ていても、通り魔だとか、動物虐待だとか、他人の命を大切に思える人が残念ながら少ないと感じます。それなのに、急に「命を大切にしましょう」「他人を思いやりましょう」と言われても子どもにはピンとこないんです。ですから、見えないものに対して感じるという心や、他人のことを自分のことのように感じ取れる心、というものを育てて取り戻さないと。もう一つ重要なのは、多種多様な価値観があることを知るということです。そうすれば、自分に対しても自信が持てるんだと思いますよ。点数とか成績以外に自分の存在価値を認められて、独り独り役割があるんだと気付けば、救われますよね。目に見えないものこそ大切だということを、皆さんにより一層認識していただけば、それぞれの人間の役割や目的がはっきり輪郭を表すのではないでしょうか。
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−一人一人異なる役割があるんだ、ということを認識できれば、他人の存在の重要さにも気づくのではないでしょうか。 |
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私は、原爆が投下された広島で生まれたこともあって、幼い時から、「どうして人は殺しあい苦しめあうのだろう」、ということが常に課題としてありました。私たちも普段の生活の中で、人のことを悪く思ったり、喧嘩したり、いじめたりしていますよね。これと戦争は根っこは全く同じなんだということに気付いて欲しいんです。そういう普段の怒りや苦しめあいが重なって戦争が起こるんであって、ある日突然起こるわけじゃないんです。戦争は、決して他人事じゃない、私たちも無関係ではないんです。責めの思いから許しの思いに変わっていくことが、戦争とか普段の生活での争いごとをなくしていく、一つの方法なのではないかと思います。無意識に他人に迷惑かけたり、傷つけたりしていることってよくありますよね、それを自覚してはじめて、相手を責めるトーンも下がってくるんです。むしろ、こんなに至らない私だから、人を責めるなんてとてもできない、と思えてくるのではないでしょうか。こういう考えが多くの人の中に芽生えれば、争いも減るんだと思うんです。
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| −では、最後に今後の活動についてお聞かせ下さい。 |
| 今までは、国外での演奏やボランティア活動が多かったです。でも、これからは作曲を中心に活動していこうと思います。やはり、曲や音楽を通して、癒しや慈しみの思いを伝えていきたいですね。それは多くの親が子供に対して持つ思いや、動物・ペットや花々に対して感じる思いに通じるものですね。仕事をする上でのスタンスとしては、心をこめて、どうやったら人の役に立てるか、聞いた方が元気になってくれるか、そういうプラスの願いを込めた仕事をしていきたいです。同じように見える曲が二つあったとしても、思いが全然違うと、形は一見同じに見えても、全く違う効果を生みだしてしまうということを、痛感しています。今私がチャレンジしていることは、形には見えないことですよね、自分自身の心の中だけにあるものです。評価されること、形に出ることだけが重要なわけではないんですよ。つい忘れがちな自分にも言い聞かせています。私の作曲家としての活動は、形に見えないチャレンジをしている人に対する、エールなんです。「もっと自信を持って」・・・その人達がやっていることは素晴らしいことなんです、という応援歌になればいいですね。 |
| −素晴らしいお話をありがとうございました。 |