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−今、多くの優良企業の時期経営層育成のためのリーダー研修で、
「メンタルタフネス」や「プレッシャー管理」などのメンタルスキルが注目されていますが、
その原因をどのようにお考えになりますか?
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そうですね。やはりリーダーに必要な能力はいくつかあるかと思いますが、その仕事の責任の分だけ、プレッシャーや重圧というのが増えてきます。その重圧の中、理想や目標を追求し続け、最大のパフォーマンスを出すことが、企業の中で求められるのですが、今のような時代ですから、プレッシャーに押しつぶされてしまい、精神的に病んでしまうということも出てきますね。そうなってしまっては困りますし、現場では、個人の持っている知識や経験、技術を粘り強く実行することによって結果に繋がっていくわけです。 技術面だけを持っていても、一緒にメンタルタフネスが伴っていなければ、結果につながりにくいということですね。
今までは、このメンタル面はどうやって勉強すればいいのか、という方法論もなかったので、歯を食いしばって頑張るしかなかったんですが、今はその粘り強さをスキルとして「後天的」に身に付ける方法が体系化されたので、組織や企業での研修で取り入れやすくなったのだと思います。
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では、そのメンタルスキルについて詳しくお伺いしたいのですが、同じプレッシャーの元で、つぶれてしまう人と、そうでない人がいますが、何か違いがあるのでしょうか? |
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まず、プレッシャーとは何か、といいますと、基本的な考え方としては、他でもない自分自身が作っているものなのです。よく、状況から自動的に誘発されるもの、その状況自体がプレッシャーなんだと思いがちなんですが、実際はそうではなくて、その状況に対して自分がどう考えているか、自分自身の思考により、その心的な重圧を作っているんです。
そもそも同じ状況であっても10人いればリアクションは違いますよね。これは何を物語っているかというと、結局はプレッシャーというものには実体がないということなんです。
では、どこに違いがあるかというと、思考パターンに違いがあるのです。
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−思考パターンの違いとはどのようなものですか? |
プレッシャーを強く感じる人の思考パターンがどういうものかというと、「絶対的な要求」です。私はそれを「ねばならぬ」思考と呼んでいます。例えば、「この商談で絶対成功しなければならぬ。」とか、「このプレゼンで絶対に失敗してはならぬ。」などです。この失敗が絶対的に許されないというものを、自分に要求しながら、実際には世の中「絶対」というものはありませんから、失敗は起こりえるものです。それが、心の中に大きな矛盾を作ってしまいます。つまり、自分がしてはならないことをしてしまうかもしれない、あってはならないことが起こる、という大きな矛盾が不安となって重圧に変わってしまいます。これが一般に言うプレッシャーです。「オリンピックで金メダルをとらなければならない。」と思っていても、もしかしたら、取れないかもしれないですよね。これがあってはならないと思えば思うほど、プレッシャーは大きくなります。
逆にプレッシャーを感じることがない、もしくはそのプレッシャーを小なく出来る人は、「出来る限り成功したい。成功できればとても嬉しい。でも、失敗することもある。」と失敗の可能性があること、そしてそれが自分の想定内のこととして起こり得るということをちゃんと認識できているのです。
実は私も以前は、プレッシャーを強く感じる方でした。自分で作っていたと言う方が正しいですね。外資系コンサルティング会社や投資銀行で働いていたので、日常的にハイプレッシャーの下にいましたし、そのプレッシャーに耐え切れない同僚も多くいました。それでも不思議なのは、そのハイプレッシャーという同条件の中で、その重圧を感じないものや、成果を出していくものがいるんですね。その時に、心理療法の理性感情行動心理学と出会い、思考とプレッシャーの関係・理論を知ったのです。
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| −では、実際にはどんな思考パターンが望ましいのでしょうか? |
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「相対願望思考」です。「こうなりたい」「こうしたい」など、強く願望するやり方です。勿論、結果は良い方がいいに決まっていますので、その願望のために努力は最大限するんです。努力をしなくて良いわけではないのです。努力をなしでは、結果的に目標達成など期待出来ません。
しかし、ここで重要なのは、失敗の可能性があることを認識し、想定の範囲を広げておくことです。よくリスクヘッジという言葉がありますが、起こり得るリスクをある程度想定して対応を考えておけば、対処が出来ますね。その分、心の余裕が出来るわけです。何より、ここで大切なことは、「絶対的な要求」に転換しないこと。
実は、「ねばならぬ」は、非論理的思考なのです。思い込みであって、論理的ではない。また実証性もないので、論理性という観点では、「飛躍」なんです。そもそも「絶対的な要求」が失敗した場合には、つい「もうこの世の終わりだ。」とか「私は無価値な人間だ。」という思考に陥りやすいんですね。でも【最悪の状況】というものは、この世の中にあり得ないんですよ、本当は。そういう不安な状況では、なかなかいいアイディアは生まれにくいと思います。
物事を冷静に見る目が大切なのですが、プロジェクトを前にした時に、上手く行くことのメリットは大きい、上手く行かないことのデメリットも大きい。つまり、上手く行って欲しい理由は五万とあると考えるといいですね。でもだからと言って、絶対に成功しなければならない理由はないんです。望ましさがどんどん大きくなるだけです。
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−確かに「絶対的な要求」をしてしまうと、その後が悲観的な思考の傾向がありそうですね。
しかし、プレッシャーを感じるという意味では、それだけ高いレベルの目標を掲げているということもありますよね。それだけ物事を達成してきた方も多いのではないですか? |
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そうですね。私は、「絶対的な要求」が必ずしも全面的に悪いとは思いません。現にその思考で成功を収めている人も勿論いますし。ただ、昔は自分を崖っぷちまで追い込んで、結果オーライでやってきた方は多いと思うのですが、今はその崖から落っこちてしまうことも随分増えてきましたから。頑張り過ぎて病気になってしまう場合もあるので、自分にプレッシャーをかけるやり方はあまりお薦めしません。
例えば、プレッシャーで成功を収めている方というと、野球のイチロー選手(シアトル・マリナーズ)はこの思考パターンです。皆も知っているように結果を出しています。ただ、以前イチロー選手のインタビューで、こんなことを言っていたんです。「息苦しさや吐き気を感じる時がある。」とか「夜中にはっと気が付いたら泣いていたことがある。」などです。結果を出している分、精神的負担は随分と大きいんですね。
それと対照的なのが、松井秀喜選手(ニューヨーク・ヤンキース)の思考です。「今日の勝利を明日に繋げたい。」とか「ワールドシリーズに是非出たい。」などと全て相対願望。それもとても強い願望で動いているんです。願望だから達成しなくても良いという訳ではありません。そのために何をすれば良いのかをしっかりと認識し、最大限の努力もされています。ただ、強い願望の思考パターンなので、自滅しないんですよ。
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