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−確かに、松井選手は、左手首を骨折されての記者会見で、相対願望思考の話し方をしていましたね。「今まで以上のパフォーマンスを出せるくらいの気持ちで戻ってきたいです。」など…。 |
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そうですね。今回の松井選手の怪我は私もとても残念に思っています。もちろん彼自身もそうでしょう。でも、インタビューなどからすると、松井選手は、「あってはならないことが起きた」とは考えていないようです。あくまでも
「あり得ることが起きたのだ」というように考えているのがう伺われます。イチロー選手も松井選手も一流選手ですが、思考パターンが全く違うんですね。他の野球選手も、ありとあらゆる最悪のパターンを想定して、準備するというタイプの選手もいますし、応用パターンはいろいろとあります。
ただ、ここで注意をしなければならないのは、今まで精神論でやってきた方が、これを聞いて萎えてしまうことがあるんです。あとは、結果の保証がないならやりません、という人がいたり。
でも世の中、人生にギャランティー(保証)なんてない
ですからね。唯一はっきりしているのは、
「生まれたからには死ぬ。」ということだけですし。やった方がいい理由はいくらでも思い浮かぶはずです。そのために、うまく行く確率を最大限上げなければ、甘え、怠慢と同じですね。だから、やらなければならないのは同じです。
「絶対的な要求」に転換しない、という部分だけが違うのです。 |
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−理解はできるのですが、実行するとなると難しそうですね。 |
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ある程度は訓練が必要ですね。反復練習です。スキルの一つですから。
スポーツと同じように、マニュアルを理解しただけだと、実践はできない。
思考の訓練ですね。そのお手伝いは、研修の中でやっております。
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−この相対願望思考を生まれつきに習得している方というのは、いらっしゃるんですか? |
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実は、もうお亡くなりになりましたけど、ソニーの盛田会長ですね。生前お会いする機会があったんですが、生まれつき前向き相対願望思考なんですよ。「いやあ、僕は失敗を失敗とぜんぜん思わないんですよ、ワッハッハ」ってね。生まれつきプレッシャーを感じないそうです。本当羨ましいですよね。でもこういう方は人口の1%くらいじゃないでしょうか。通常のビジネスパーソンはみんな「絶対やらねばならぬ!」と、頑張っちゃうわけですから。
そもそも「絶対的な要求」は生まれつきの思考なんです。小さい子を見ていてもすぐ絶対要求をしていますよ。後でもいいんじゃないか、というようなことを、「今じゃなきゃだめだ」と、絶対的な要求をしていますからね。自分ではあまり意識していないのかもしれないのですが、ちょっと考えてみるとこの光景はよく思い浮かぶと思います。 |
−確かにそうですね。子供の頃は、自分の願望や欲望に素直ですし。
大人になると素直さが制御されてしまうんでしょうか? |
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そうですね。こうある方が望ましい、という思考に変わってくるでしょうね。大人になっても素直な方はいると思いますが、その全てを強行的に出すと、人付き合いは出来ないですからね(笑)。
そういうお話で言えば、感情というのも面白くて、【感情的】と【論理的】と対照的な物言いをすることがありますが、感情の裏には論理があるんですよ。実は思考を伴わない感情もなければ、感情の伴わない思考もない。ただ多くの場合、思考のところが自動的になってしまうので、感情の裏にある、理屈や思考の部分に気づけないことが多いんですよね。
「どうしてそう思うの?」といって、答えられない人は、その理詰めがちゃんと出来ていないだけで、状況から感情や行動は直接は出てこないですからね(笑)
よく聞くと思いますが、「もう我慢できない。」「耐えられない。」これも思い込みの一種です。「我慢できない。」と言いながら、実際は我慢しているんですよ。そういう方、社内に一人ぐらいはいますよね。でもこれ、我慢「したくない」だけなんですよ。
「したい・したくない」という話を「できる・できない」という話をごっちゃにしちゃうんです。
だから実は、いろんな所で曖昧に理解していることは多いんです。そういう意味では、常に理屈や思考を明らかにする癖をつけていけば、論理的思考が問題を解決してくれることが大いにあると思います。心の問題は、自分が一番分かっているようで、分かっていなかったりすると思うので。
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−確かに、感情の裏の思考というのを気づけていないことも多いですね。
最後になりますが、メンタルスキルの中で他に大切なことはありますか? |
「絶対的な要求」つまり、世の中には、絶対的な保証なんてものはない、と言いましたが、何がおこるか分からないのが世の中ですから、「柔軟性」はとても大切だと思います。私は、「交渉術」などの研修もしているのですが、実は交渉も柔軟性がとても必要なものなんです。こちらの言い分や目的と、相手の個人的な目的、組織的な目的などをすり合わせる上では、譲歩が必要な時も出てきます。日本人の間では、誤解があるかもしれないのですが、一方的にこちらの言い分を相手に強要する、というのは交渉でも説得でもなく、自発的に動いてもらい、最終的には「win-win」の状況を作り出すのが、交渉です。つまり問題解決のためのコミュニケーション方法なんですね。社会に生きる上での自分の思考も、何か壁にぶつかった時は柔軟に、又冷静に考えることが出来れば、解決方法が見つかるかもしれません。
そして、この柔軟性は、特に、リーダーとなる人には大切ですね。私が理想的だな、と思うリーダーは、木で言うと「梓の木」なんです。梓で弓道の弓を作っているんですけど、すごくしなやかでありながら、ものすごく強いんですよ。芯のない柳でも、ビクともしない樫の木でもない。自分の予想外のことは、いつだって起こりえることですからね。柔軟性がないと、何かあった時に、すぐ折れてしまう。そうすると、周りの人が頼れなくなってしまいますから。
目標や理想を追求するには、粘り強さと精神的なタフネスが大事になってきます。
それが、今のリーダーには必要不可欠なスキルだと思います。 |
−本日は貴重なお話をありがとうございました。
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