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  講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > 特別対談 二宮清純×佐野慈紀


■メンバーの「参加意識」を刺激する

佐野:

いま、こうやってリーダー論について話していますが、
実はきちんと整理がついたのは、プロを辞めてからなんです。

二宮:

現役時代は、どういったお考えだったのですか?

佐野:

今、考えると非常に自分勝手な話ですが、
「自分を起用してくれるのが良い監督、
起用してくれないのが悪い監督」という考え方ですね。

二宮:

いや、それは当然だと思いますよ。特にプロは、起用されるかされないかが収入に直結する。それにどこの会社でもそうですが、自分を使ってくれれば部下は上司に「期待されている」と感じます。

佐野:

そうすると普通、「じゃあ頑張ろう」という気になりますよね。やはりリーダーは、部下に「自分のことを諦めてくれてない」と感じさせることが重要だと思います。例えば、僕が現役時代、ノックアウトされた試合の後、いくら監督に「お前はアカン!」と言われても、実際、翌日の試合にまた使ってくれるということがありました。やはり監督からの期待を実感して、モチベーションが上がりましたから。

二宮:

ミスしても次のチャンスを与えてくれる、それが重要ですよね。そういった意味では、今の時代は時間の流れが非常に早いぶん、ミスしてもいくらでも取り返しがつくと思うんです。むしろ、失敗の経験値を生かして、次へ繋げれば成功が大きい。何もしないということは、遅れをとることと同義なんですよ。不作為の罪、これが一番重い。そんな時代だからこそ、次々にカードを切っていくリーダーが強い。

佐野:

たしかに、昨季のペナントレースの覇者、ロッテのバレンタイン監督は、日替わりの先発オーダーや、選手交代の多さで話題になりました。
組織のメンバーをより多く使うことで功を奏した例ですよね。

二宮:

そうすることで、各人に「参加意識」というものが出てくると思うんです。人間は誰しも組織の中で参加したい、役に立ちたいという欲求がありますから、これを刺激するんです。そう考えると、メンバー全員の参加意識が高まることで組織はより強化される。それに、1人よりも、3人の力で目的を達成したほうが、組織に対する「忠誠心」が育つことになりますから、全体的に見ても重要なことなんです。

佐野:

だから例え、ほんの小さな仕事でも、組織の中で貢献したという実感が強く持てるような組織作りがリーダーに求められてくると思います。プロ野球でも、優勝するチームは全員に参加意識がしっかり根付いていますね。選手やコーチ陣だけではなく、球団職員や球場のスタッフなど、いわゆる裏方のメンバーも含めて、チームに関わる全ての人間がその意識を持っています。

二宮:

チームの一員という自覚がある。自分の力だけじゃなくて、
みんなで喜びを分かち合えることが大切ですよね。


■学校の先生はなぜ尊敬される?
佐野: 組織によって、いろんなタイプのリーダーがいるのは当然だと思うのですが、
不可欠の条件は何だとお考えですか?
二宮:

私は「解決力」だと思います。部下がリーダーを信用してついていく、というのは、リーダーが問題を解決できるからなんですよ。平たく言ってしまえば、小学校の先生は、生徒が解けない問題を解けるから生徒に尊敬されるわけですよね。それと同じです。

佐野:

ただ、学校の算数や英語の問題に比べて、現実の問題は解決に時間がかかりますよね。

二宮:

仰るとおりです。でも、その時間の中で「俺たちはうまくなっている」とか「強くなっている」という実感が持てればいいと思います。何かが良い方向へ動いている、というような。そのためには、リーダーは部下に対して、解決までの道筋や、選択肢を具体的に示せるか否かが重要になってきます。人間、納得ができないと反発を覚えますからね。

佐野:

あくまでも「選択肢」をいくつか示すことが重要ですね。さきほどの「悪いリーダー」の例でも出ましたが、1つのやり方しか説明しないと、それを押し付けることに繋がりますからね。

二宮:

1つのやり方を強要せず、かといって放任するでもなく、いくつか選択肢を与え、それと同時にトライするチャンスも与える。そこから本人が自分に合うものを選んでいけばいいんだと思います。
佐野さんがお考えになる、リーダーに不可欠の条件とは?

佐野: 僕は、やはり「相手を認めること」と「相手に認めさせること」の両方が必要だと思います。どちらが欠けてもだめ。リーダーといっても、最初から理想的なリーダーなどいませんし、「なるぞ!」と思って急になれるものでもない。ただ、部下としては、自分より明らかに実績のある人が自分を認めてくれると、その人についていこうと思います。だからまずは、リーダーの方から部下を認めることで、相手からの信頼を得ることができるのではないかと考えています。

<了>
――対談開始から約1時間半近く、「リーダー」について熱いトークは続きました。

実際のお二人の講演では、ここに掲載しきれなかったさまざまなエピソードが登場し、
思わず「なるほど」と、メモをとってしまいたくなるようなお話の連続で、聴講者を飽きさせません。
スポーツから学ぶリーダー論は、ビジネスシーンにも通じるものがあるようで、
今までに多くの企業様から好評の声を頂戴しております。

二宮清純への講演依頼はコチラ
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お二人とも、貴重なお時間の中、どうもありがとうございました!
文:上原深音 / 写真:鈴木ちづる   (2006年9月15日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)

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