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講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > スペシャルインタビュー 遙洋子

 

遙洋子 スペシャルインタビュー

   『これからは、相手への想像力の時代

  コミュニケーションに課題を抱えている方が多い時代、タレントからフェミニズム社会学を学んで
活躍する遙洋子さんにコミュニケーションのヒントになるお話しを
お伺いしました。


 遙 洋子 (はるか ようこ)

タレント / 作家

大阪府出身。1986年、読売テレビ「ときめきタイムリー」で
上岡龍太郎氏と共に司会を務め、本格的なタレント活動を開始。
その後、タレント活動を続けるかたわら、1997年から3年間、
東京大学・上野千鶴子教授のもとでフェミニズム社会学を師事。

『日経ビジネス』(日経BP社)でコラム"働く女性の眼"を4年間連載し、
『働く女は腕次第』として2006年6月に出版。
現在、日経オンラインWEBサイトに「男の勘違い 女のすれ違い」を連載中。

2006年秋には、働きながらも、介護と恋愛に格闘した経験をエッセイに著し、
脚本にも挑戦。NHKでテレビドラマ化された。



遙洋子


タレントとして活躍しながら、フェミニズム社会学を学ぼうと思ったのは、
どのようなきっかけがあったのですか

遙洋子 私は、『結婚しません。』(講談社)という本を出していますが、私も普通に結婚をしたいと思っていましたし、自分の仕事を頑張りたい、と一生懸命になっていた女性の一人でした。しかし、自分の職場では、まだまだ頑張る女性に対する風当たりが強かったんですね。言葉だけでなく、様々な面で理不尽なこともありましたし、自分が女性として仕事を頑張っていくには、非常に生きにくい環境に立たされていました。本当に切実な思いで、学びに行くことを決めたのです。今から考えれば、この学びは自分にとても必要なものだったのだと思います。

そして、フェミニズム社会学を学んでから、この日本という国やビジネスを支えてきた男性の歴史や、男女の違いなどを知り、自分の置かれている立場を客観的に見ることができるようになったのです。そうすると、「何で男性には伝わらないの?」と理解が出来なかったものも、自分の中に素直に入ってきて、もやもやしていた苛立ちも少しずつ解消していきました。私自身が大きく変化したというより、学ぶことで、視点の転換ができるようになったことは大きかったですね。

−視点の転換は、その現場の中にいる当事者だけだとなかなか難しいですよね。そうやって学んだことや経験を元に執筆した、日経ビジネスの『働く女は腕次第』、また現在の『男の勘違い 女のすれ違い』というコラムのアクセス率が、非常に良いようですが…

 私もびっくりしています。テレビや男女共同参画などをテーマにしたパネリスト等で、女性の立場として発言するような役割をもつことが多かったので、男性読者が圧倒的に多い「日経ビジネス」で支持が高いというのは、新しかったですね。結構辛口な表現も多いのですが、辛口で書く方がアクセスも上がるようです。(笑)

インターネット上のコラムなので、読みやすいのかもしれませんが、ビジネスの現場でも、女性とのコミュニケーションで難しさを感じている人が多いのかもしれません。


性格や個性の違い等も様々な世の中ですからね。そういった社会、ビジネス現場でコミュニケーションを円滑にするために、感じることがあれば教えて頂けますか?

遙洋子 そうですね。ビジネスの場は勿論、社会で生きていく中では必ず、人と関わっていかなければ生きていけないわけですし、コミュニケーションの課題は誰もが持っていますよね。このコミュニケーションという中で、最近私がよく感じるのは、人が言葉に出来ないシグナルに「気づける人」「気づけない人」がいるということです。よく、気が利く、とか気がつく、という言葉がありますが、男性であれ、女性であれ、これが出来ていない方が最近とても多いように思います。ショッピングに出かけたお店の店員さんの態度であったり、もう少し相手への想像力、配慮があれば、と思う部分を目にします。

勿論私が完璧に出来ているという訳ではないのですが、実はこのこと、認知症を患った父の介護をしている時にとても実感したのです。私と、実兄との見えている現実の差で。

私は介護の中で、「ベッドの角度が同じままだと、背中が痛くないか?」「ナースコールは、この位置で万が一の時は大丈夫だろうか?」「部屋の温度は暑すぎないか?寒すぎないか?」等、本当にやることがたくさんあって、一日があっという間なのに、兄がたまに来ると、何もやることを見つけられず、手持ち無沙汰で帰る、ということがあったんですね。父への愛は、兄も私も変わらないのにも関わらず。

人は、言葉で話さなくても、目や表情やしぐさで何らかのシグナルを出しているもので、それを察知できるのと、出来ないのとでは、随分見えている現実が違うんだ、ということに気づかされました。やることが「たくさんある」と「ない」では全く逆の現実ですよね。

「相手への配慮ができる人間」かそうでないか、というと、よく家庭や育った環境の問題のように言われることも多いように思いますが、遥さんとお兄さんの何が違かったのでしょうか?

 よくよく考えると、その人が何を期待されてきたか?だと思うんですよ。兄は男性としてそのような役割を期待されず、育ってきました。そして私は、女性として相手への想像力を駆使して、配慮するような役割を期待されて育てられたんですね。それは、人間的な愛情が足りないとか、そういうものの違いという言葉で表すのとはちょっと違うものだと思います。

世間でも見る、人への配慮に欠けていたり、気づけない人、というのは、その人がそうあるように、期待されてこなかったからかな、と思います。もしくは、そうある必要がなかった人なのかもしれませんね。これは、模範的な母親とされている場合もあるのですが、子供のために、あれこれ気を使って接するあまり、母親に何かをしてもらうことや与えてもらうことに対して、当たり前になってしまった子供がいるとしますよね。そうすると、自分が人に配慮する前に、常に人に配慮してもらう側に立ってしまうので、人への想像力という部分での感性を育てる必要のない環境だった、ということもあるのではないか、と思うんです。この「期待されていない」というのは、幼児期に限らない環境だとは思いますが。



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