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  講師の心.com > 講師マガジン 「人」 > 特別対談 広岡勲×佐伯夕利子

  T・日本人としての【個性】を活かす U・海外でリーダーに立つ V・チャレンジするということ
  ―日本と違う国 全ては縁から始まった
―郷に入りては郷にしたがう
だけではいけない
―決断力と人心掌握術
―関係づくりと環境づくり
―プロとして
―人間としての器・人望

―壁にぶつかった時に助けてくれたもの
―自分を元気にしてくれる言葉
―今後挑戦していきたいこと

V・チャレンジするということ
■壁にぶつかった時に助けてくれたもの
佐伯 やはり、何かに挑戦するということは、すごくパワーのいることですし、悩んだり挫折しそうになることは誰にでもあると思います。確かに私は気が強く、うわべでは生意気なこともたくさん言っていますが、人間ですから悩むこともあるのが普通ですし、それはそれで受け入れます。でも受け入れて「認める」ということが意外に難しい。私に良くしてくれる方が、「心の強さは気の強さと違うんだよ。」ということを教えてくれたことがあるんです。それがとても自分には響いて、一時的な強さではなく、しっかりと自分が自分らしく揺ぎない心でいられるような強さを持ちたいな、と思えるようになりました。

広岡:

そうですね。どのような状況になっても、自分が自分らしくいられる揺ぎない心を作ることは、僕にとっても理想ですね。とはいえ、それは容易に出来ることではないですし、時間も経験もかかること。ただ、哲学的な思考と勇気、智恵、バランス感覚をもてた時は、いかなる悩みを抱えても対応できると思うんですよね。身近なことであれば、たくさんあるんじゃないかな?

僕の場合は四つ。まずは大好きな音楽を聴くこと。十八番はチャイコフスキーの交響曲第5番とブラームスの交響曲第1番。この2曲を聴くと、間違いなくモチベーションがあがります。二つ目は大好きな映画を観ること。「ライフ・イズ・ビューティフル」「素晴らしき哉、人生!」「男はつらいよシリーズ」は名作ですよね。自分で自分の大切な映画を見つけることは大事なことだと思います。三つ目は大好きな書物を読むこと。元気な本は地球上のそこらじゅうにあるけれど、とにかく自分で見つけること。最近は特に詩が好きですね。今年、亡くなってしまわれたけれど、茨木のり子さんは好きですね。四つ目は大好きな人に逢って元気をもらうこと。ただこの場合の大好きの意味は、人によっても違うと思います。恋愛相手の人もいれば、先輩、親友、恩師、親かもしれない。心の美しい人からもらえる勇気は何ものにも変えられないのではないか、と思いますね。


■自分を元気にしてくれる言葉
佐伯

自分なりに、自分を元気にしてくれるものを持つことは大切ですよね。私は広岡さんが仰った4つ目の人から元気をもらうことが、人生を振り返ってみると大きいように思います。

スペインで素晴らしい地位にある、日本のサッカー関係者にお会いすることがありまして、その時に言われた良い言葉があります。「生意気だって今はそれでいいんじゃない?年を取ったら、どんなに尖っていても丸くなる。でも最初から丸かったら、その丸は小さくなるだけ。でも尖っていても大きい四角だったら、角が取れるだけで小さくならないでしょ。」って。

この言葉を聞いた時、今の自分でいいんだって思いました。何か新しい事にチャレンジしたりすると、日本のマスコミ以上に海外では叩かれます。それでもこれでいいんだ。今の私のままで頑張ればいいんだ。そう思える後押しになってくれる言葉に出会えたことは大きかったですね。
広岡:

言葉といえば、ニューヨーク出身のロック歌手、ビリー・ジョエルの歌”My life”にこんな詞があります。"I don't care what you say anymore, this is my life."僕流に訳せば、「周囲が何を言おうが、俺は気にしちゃいないぜ。だって、これが俺の人生なんだから」。いい言葉ですよね。可能性はだれもが持てる特権だと思います。こんな気持ちで向かって行けたら、と思いますね。


佐伯:

可能性は、本当、誰でも持っている特権、仰る通りですね。もし、これから挑戦していこうという人がいたら、それを伝えたいですね。そして、「自分の可能性に限界を作っているのは自分自身」ということとか。 自分がもうだめだ、不可能だってラインを引いたと時がその人の可能性の限界ですよね。だから実は自分で限界のラインを引いているんですよ。たとえ人に「あなたには出来ない」と言われることがあっても、その人に自分の人生の責任まで持ってもらえないですし、その人が可能性を決められる程の力があるわけでもないんですよ。 何かにチャレンジするということは、誰かが良いというものでなくても良いわけですし、例えば今の仕事の中だって、自分が良いと思うのであればそれでいい。「自分が良い」と思うものをちゃんと自分に聞いて、自分のためにやってもいいんじゃない?そんなことを伝えたいですね。

最近、仕事を一緒にしている26歳ぐらいの若い子に「前を向くって怖くないですか?」と聞かれたんです。確かに中途半端に見ると、怖いんですよ。でもね、しっかり見据えて見つめれば怖くないんです。犬なんかもそうでしょ?ぱっと見ると怖いけど、ちゃんと目をみれば怖くない。だからしっかりと前を向いて、チャレンジする心を持って欲しい、本当そう思いますね。


■今後挑戦していきたいこと
佐伯:

指導者として、キャリアアップすることを今まではひたすら考えてきて、ビッククラブの監督や女子、男子、そして三部リーグと経験を積んできましたが、今まで優先順位として後回しにしてきた家族、親の事も考えなければならない年ですからね。自分の人生の優先順位の範囲を自分の指導者としてのキャリア外にも少しずつ広げ、自分をごまかさずに生きていきたいですね。
そういう意味では、少しずつ視野を広げていけるよう、今はいろんな分野でチャレンジしていきたいですね。指導者として幾つかの違うチームを経験したからこそ、見えてきたものもありますし、未来はまだ何が起こるか分かりませんから。


広岡:

確かに挑戦してみて、また違うものが見えてくるということはありますよね。
僕もヤンキースというビッグチームで今勉強させてもらいながら、良い部分も勿論悪い部分も様々見えてきました。今後何をしていきたいか、という部分では、挑戦したいことはたくさんありすぎて喋りきれないのですが、日本球界の再建にはとても関心があります。今は日本球界を外から見て、勉強させてもらっている感じかもしれません。
どちらにせよ、自分の人生、自分が納得するように生きていけたら、それが一番。
だから、挑戦する心だけは持ち続けていたいと思っています。

<了>


お二人とも、貴重なお時間の中、どうもありがとうございました。

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文:鈴木ちづる / 写真:上原深音   (2007年1月5日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)


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