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  講師の心.com > 講師マガジン 「人」 >スペシャルインタビュー 青島健太
 
Keywords
  1) 野球に魅せられて―「医学部より“野球部”」―
  2) プレーヤーからスポーツの魅力を伝える側へ 
  3) 周回軌道上にいればやり方は問わない―青島流マネジメント術―


これまで、選手としてもライターとしても数多くの指導者の方を見てこられたと思うのですが、
その中で、「指導者」に対する見方に変化はありましたか?

「僕が現役選手だった時代は、“厳しさ”が指導の根幹にあり、やる気とか根性が強く求められる風潮が主流でした。恐怖とか理不尽な命令とか、先輩からもそういう指導が機能していた時代です。だからこそ、“志”が強く問われましたね。生半可な覚悟で務まる世界ではありません。ただそのおかげで僕はプレーヤーとして非常に鍛えられましたし、苛酷な環境を乗り越えてきた仲間との連体感も芽生えました。

 でも取材する側に回ると、風景が一変しましたね。少年野球のチームからプロの球団まで、トップレベルの指導者が実践している厳しさには理由や狙いがあったんです。簡単に言えば、ただ厳しいだけじゃなくて相手を見ながら手綱を強めたり弱めたりしているんですね。例えば、監督に叱られて『なにくそ!』と奮起する選手もいれば、逆に厳しくすることでやる気を失くしてしまうタイプもいるわけです。更に、叱られるタイミングや周囲の環境というのも重要ですしね。指導者は、相手の特性や能力を十分に測って、それぞれに対してどういう物言いやテーマ、負荷のかけ方が、その人を成長させるのに効果的なのかを見極めていることに気づきました。よくよく考えてみると、実は僕が現役時代に味わった厳しさの中にも、そういう狙いが発揮されていたんですね。当時は、監督と選手という立場でしか接点がないわけですから当然、気がつきもしませんでした。『管理なんかされてたまるか!』というタイプでしたから(笑)。でも、取材者という客観的な立場に変わって、初めて指導者の方の立場や思考が理解できるようになりました」


――2005年からの3年間、社会人野球の監督を経験されて、今度は指導者の立場になられました。
実際、現場ではどのようなマネジメントや選手育成を行なわれていたのでしょうか?
 「僕は自分のやり方を『超・放任主義』と言っていました(笑)。というのも、選手個人で感じることや、やってみたいこと、個性がいろいろあると思うんです。もちろんチームの和を乱したり、全体が向かっていることに対してブレーキを引く言動は許されないですよ。でも、こうやったら面白くなるとか、自分の力がもっと出るかも、と工夫をもって取り組む行為には『どんどんやってみたらいい』という姿勢でしたね。それをどう束ねるかに関しては、試合の時期や、要所で全員で確認し合ったりと、最終的に意思を統一すればいいんです。

  たとえるなら、“太陽系“みたいなものですね。“チームの勝利”という目的が“太陽”。その周囲を選手が周ると考えれば、外周が好きな人もいれば、内周が好きな人もいます。でも、無理やり『この軌道を周れ』と修正する必要はないんです。太陽を中心に、それぞれの周回軌道上を周ってさえいれば問題ない。そう考えて監督をしていましたね」

――セガサミーでは創部2年目にして都市対抗野球大会初出場を決めました。また、JABA千葉市長杯争奪野球大会でも優勝と、青島流マネジメントが奏功したのではないでしょうか。

 「何より選手が頑張ってくれた結果ですし、一緒にやってくれたコーチが良い指導をしてくれて、僕はその上にドーンと乗っかっていただけなんです。個人的な満足感でいえば…いま振り返ると悔しい想いしかないですね。1年目から都市対抗の本大会出場のチャンスがありましたが掴みきれませんでしたから。もっとインパクトのあるデビューができたはずでしたから。そういった悔しさはあります。もちろん、指導者として現場に立たせていただく機会をいただいたのはありがたいの一言です。ただやはり、『言うは易し、行なうは難し』とはこのことで、取材している時には思わなかった難しさとか、感じる思いが現実的にはありましたね」

――例えばどんなことですか?

 「人が伸びる基本というのは、まず本人に熱い意志や志があって、それに必要なエネルギーがあるから動くのだと思うんです。その大前提が不備なままでは、いくら強く管理しても人は育たないでしょう。ですから僕は、どうやって各選手を“やる気のど真ん中”に置くかということがテーマでした。ただそれが非常に難しいんですね。どうすれば彼らのやる気が引き出されて、事に向き合えるのか。一生懸命に模索していました。それぞれの個性と特性を掴んで、いかにそいつを熱くさせるか。そのためにはチーム全体に物を言うのでは不十分だと感じていました。『超・放任』といっても、そこにだけはこだわって、日々格闘していましたね」


――球団という組織を内外から見つめてきた青島さんが考える『理想の監督像』とはどんなものでしょう?
 「人を動かし、導く方法は、いくつかあると思います。僕が現役時代の時に主流だった、『根性』を求めて、威厳や圧力で人を管理するやり方も、頑張りきれない人や、間違ったやり方をしている人に対しては有効です。叱咤して力を引き出す効果がありますから。あとは、ポジションや立場の力学が機能する場合もあります。『部長が言ってるからやらなきゃいけない』とか、そういった動機づけでも人は動きますからね。

  ただ、僕が考える一番強いリーダーシップは、リーダーとフォロワー(部下)が目的を共有したり共感したり、尊敬し合える関係です。その良い例が、今シーズン日本一になった西武ライオンズの渡辺久信監督です。彼は監督の立場にありながらも、若い選手の中に自ら飛び込んでいって、決して叱ったり威圧することなく務めてきた。プロとして一緒にお客さんを楽しませよう、面白い野球をしようという共通の意識をもって具体的な方法論を探ったんですね。ですから、厳しさやポジションで人を動かすよりも、1つの目的に対してイメージを共有し、お互いを尊重し合いながらメンバー一人ひとりが自分の頭で考えながら前へ進んでいく。そんな自律した組織を創造することが、リーダーとしては一番理想的じゃないかと考えています」

―本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

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文:佐野裕 /写真・編集:上原深音
(2008年12月22日 株式会社ペルソン 無断転載禁止)  
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