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――中学からラグビーを始められて、キャプテンやゲームリーダー、そして監督として、ずっとメンバーを引っ張る立場にあられた平尾さんですが、チームをマネジメントする上で重要なことは何だとお考えですか? |
「僕は現役時代、キャプテンを務めてゲームリーダーを担っていましたが、試合中、当然うまくいかない場面が訪れるわけです。そんな劣勢の時、ハーフタイムに山口良治先生(当時・伏見工高ラグビー部監督)にこう言われるんです。『平尾よ、なんとかしろ』と。この『なんとかしろ』という言葉は、今思えばマネジメントの究極の“ワザ”だったような気がします。というのも、なんとかしろと言われたら、もう『なんとかする』しかないわけで(笑)。そう言われた瞬間に、残り時間でできる、さまざまな要素が一気に頭に浮かぶんです。そして優先順位を作る。ノーサイドの笛が鳴る瞬間に1点でも多く点を取っていればそれでいいんです。そのためには何ができるのか。それを順番にやってみる。こう考えると、意外とシンプルな話なんですが、僕はマネジメントとは、『なんとかさせる』ことだと思っているんです。リーダーのセオリーや王道なんてありません。重要なのは、何をすればいいのか、どうすればいいのか、それをいつも頭の中で考えておくことだと思います」
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――「なんとかさせる」とはいっても、メンバーから反発を受けたり、周囲からの厳しい意見もあったと思いますが、それにはどう対峙しておられたのでしょうか? |
「何か指摘を受けたときには、それもそうだな、そういう見方もあるな、と思うようにしていました。そもそも、リーダーでない人にはリーダーの気持ちがわからないわけですから。立場が違いますからね。だからリーダーは、『自分の気持ちをわかってくれ』ということだけは言ってはいけないと思います。わかりっこないからです。リーダーは、それくらいの覚悟を持って物事に当たらなければいけないということです。
その一方で、目標に向かっていくにはフォロワー、つまりメンバーのみんなが我慢しなければいけないこともあるということを、リーダーはしっかり伝えなければいけないと思います。スポーツでもビジネスでも、勝つには道筋がいくつかあります。強い組織には道筋がたくさんあるし、そうでないチームには少ない。その道筋を辿っていくには、リーダーがそれを示し、辿るための大変さも伝えなければいけない。これもまたリーダーの重要な役割です」
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――リーダーが行動する上で、最近、特に難しくなっていると感じることはありますか?
「あらゆるものがビジュアル化できるようになったことで、昔と比較するとフォロワー側の理解力や想像力が減退しているということが挙げられます。今は見せたいものを映像で解説できるようになっている。ラグビーの指導でいえば、パソコン上でVTRを使ったり、スロー再生や写真を使ったり。もちろん理解力が高まるわけですから、利用が進むのは当然だと思います。ただ、昔はそんなものがなくても、みんな理解していたわけですね。技術革新は大変にありがたいことですが、一方で、理解する能力は減退しているかもしれない、という危機感は持つべきだと思います。映像を見ることに慣れてしまえば、それぞれが自分の頭の中でイメージし、具現化していく作業ができません。ですから、抽象的なミーティングをすることが許されなくなってきている。 |
だからといって、映像化をやめろということではありません。技術革新の恩恵は最大限に受けつつも、いかにメンバーや部下の理解力を高めていくか、ということも合わせてリーダーは意識する必要があるということです。そういった意味での難しさはありますね。
それこそ、メールがない時代は、例えば恋愛にしても、ツールは手紙や電話だったわけでしょう。ここではみんながいろんな想像力を働かせていました。親が電話に出たらどうしよう。手紙がなかなか来ない理由はなんだろう…。でも、こういう想像力が、後にもっと大きな世界での想像力につながっていったと思うんです。 今は生産性が重視され、効率が重視される。無駄が削られて便利なツールが増えた一方で、その分、大切なものが失われているという現状は、マネジメントをする上で無視できなくなってきていますね」 |
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