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――今、企業に求められているのは、どんな人材なのでしょうか? |
僕は自分の部下を有言(Commitment)と実行(Execution)で4つの人材タイプに分けます。有言実行、有言不実行、不言実行、不言不実行の4つです。『あなたはどのタイプの部下を持ちたいですか?』という質問をすると、不言不実行は論外として、日本人が好きなのは有言実行です。講演時に手を上げて貰うと、9割強の手が上がります。でも有言実行というのは、実はできることしか言っていない可能性があります。次に好まれるのは「男は黙って実行あるのみ」の不言実行タイプです。でもこの人はコミットメントしていないわけです。黙っていて出来たことだけ報告している。これでは会社は変わりません。さて、残りの有言不実行を「言うばっかりで何もしない」と取らずに、出来ないようなことでも「やるべきと信じたら提案する」と解釈すれば、企業や組織の改革にはなくてはならないタイプといえるのではないでしょうか。
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| ――日本企業の閉塞的な状況から、抜け出す方法はあるのでしょうか? |
日本企業には強いところが本来たくさんあるんです。でも、強いところに集中しないから強さが薄れてしまう。サイズや量に拘る、大量生産薄利多売の時代は終わったのです。幾ら技術的にイノベーティブでも、技術だけでは直ぐに追いつかれてしまいます。アップルの快進撃はiPod、iPhone、iPadが、技術的に真似が出来ないほど優れていて、故障しなくて、安くて…だから売れるのではありません。iTunesというネット上の仕組みによってどんどん楽しいコンテンツが入手でき、このコンテンツがどんどん増えていって、世界の友達とも繋がっていって、3万円で買ったものに『商品を購入してからドンドン楽しさが倍加していく』という仕組みがあるためです。
機械だけなら、日本企業はもっと良いものを作れるでしょう。こういうイノベーションが日本では出来ていないのです。そして『やっぱり日本は物作りに拘るべきだ』と言っている。これまでの我々の常識は『モノは買ってからドンドン古くなって価値が下がる(原価償却といいます)』でした。しかし、アップルは買ってからドンドン面白くなる仕組みを同時に用意して、商品を売っているのです。これが何故日本企業には出来ないのでしょうか?出来ますよ。そのことが分かり、組織がきっちりそのことを戦略の中央に据えれば「出来ますよ」。やろうとしていないだけなのです。 |
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――企業経営に、あるいは組織マネジメントに、一番重要なことは何なのでしょうか? |
一番大事なことは『社員のやる気を引き出して活躍できる仕組みを作り、活躍した人を正当に評価し待遇すること』だと思います。人口減少の右肩下がりの経済の中で、1つの会社が6万人の社員(家族を入れると20万人)を裕福に養える時代は終わったと言う認識がまず必要です。経済の原点に戻って、小さくても強い会社を増やさなければなりません。特徴のある強い中小企業がいっぱい要るのです。その中から、条件が合えばやがて大企業になっていくでしょう。自然界のような新陳代謝を取り戻す必要があると思います。そういう企業社会こそ、本来あるべき姿ですよ。
ベンチャーがそうですね。大企業が取れないリスクをベンチャーが取って、新技術を開発します。大企業はそれをベンチャーとwin-winで協業し、世に出して世界をリードする。大企業に固定化され、循環していない今のような状況は、老木と大木だけでできている森のようなものです。いずれ間違いなく滅びるでしょう。そうじゃなくて、大木から種が飛んで小さな木になり、凄い低い確率でも、なかには幼木や成木に育つものが出てきて、その中から大きく成長していく木もある。そういう状況こそ、健全な姿でしょう。その意味では、大企業はベンチャーをもっと上手に育ててやらないといけない。それは自分のためでもあるんです。
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| ――様々な企業でのご経験を経て、これから、どのようなことをやっていきたいとお考えですか? |
やっぱり最後は人なんですね。だから、教育に行き着くんです。しかも、単に知識を学べる教育ではない。知識は本を読めばいいんですから。そうではなくて、人間力です。それは、いろんな刺激で鍛えられていく。まったく違う性格、違う業界、違う職種、そういう人たちと会うことで研ぎ澄まされていく。そういう人間力を磨ける場を作っていきたい。実際、『西岡塾』では、そういうカリキュラムを用意しています。いつもと違うものがたくさん体験できる。そうすると、人は変わるんです。多様な価値観の中に放り込まれて、まったく変わったと言ってくれる人がたくさんいる。それが励みです。
講演もそれは同じだと思っています。いつもと違う刺激を、価値観を手に入れることができる。心が震える体験をすることができる。それが重要です。
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――本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
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取材・文:上阪徹 /写真:丑久保美妃 /編集:田中周子
(2011年10月 株式会社ペルソン 無断転載禁止) |
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