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中村 勝雄のコラム「120センチは面白い」
中村 勝雄
中村 勝雄(なかむら かつお)
小学館ノンフィクション大賞・優秀賞 作家

長崎県生まれ。平塚養護学校・高等部卒業後、映画監督・木下恵介氏に師事。その後、短編小説集『涼子~Hello my love~』出版し、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。現在作家として、子育てをしながら異色のバリアフリー論を新聞・雑誌などに発表。重度の脳性マヒ、障害者手帳1級。



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Vol. 64 『いい関係(4)』
(2009年01月30日)

どうして人は知り合い、出会いと別れがあるのだろうか?
男女であれば恋愛や結婚にまで発展したり、同姓であれば親友になったり兄弟以上の信頼関係で結ばれることもある。ほかの動物にはあり得ない関係だから不思議だ。なかには多少、社会常識に反していても、ひかれあって永遠に離れられない関係もある。ソウルメイトとでもいうのだろうか。さまざまな関係がある。

それは相手が逝{ゆ}いても変わりはない。ぼくには忘れられない心の友ともてえる長井 賢(仮名)がいる。いま彼はこの世界に存在しないが、このコラムに前回登場した萩原と、3人で飲み明かした日々が懐かしい。

長井は、ミュージシャンを目指していた。彼は大学卒業後に、ぼくの家の近所の実家に帰ってきた。ひょんなことから知り合いになった。いつの間にか車イスのあつかいもうまくなり、お互いの夢を夜更けまで語り合う日常になった。

ぼくは一人っ子だが、長井はあこがれの弟のような存在だった。ギターをかかえた姿は格好よくライブで歌う彼は、もし自分が異性なら間違いなく恋してしまっただろう。

それが十年前の夏、長井は交通事故のまきぞいになり逝いた。ショックというよりも信じられなかった。ほんの数日前にも会っていたからだ。

まだ夢の途中の、あまりにも突然のことだった。彼の無念を思うと、たまらない切なさに今でもおそわれる。

せっかくこの広い世間の中で知り合えたのに、お互いに道は違っても励ましあい、それこそ親兄弟以上に親しかった。そんな長井がいない。

彼との思い出は尽きず、いまは世界のどこかを旅行中なだけで、また会える気がしてならない。

以来ずっと、ぼくは学校などでの講演では、長井のことを話す。
交通事故の恐ろしさ、そのショックの大きさや悲しみ、いのちがどれほど大切であるかを彼との関係を含めて語らせていただいている。

ふと彼が生きていてくれたらと思うときがある。長井がいてくれたら手助けしてくれたのに、でもアイツは旅の途中だ。

長井に負けないよう、ぼくも進むしかない。




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