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渡部 陽一のコラム「世界の戦場から平和を考える」
渡部 陽一
渡部 陽一(わたなべ よういち)
戦場カメラマン/ジャーナリスト

戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、
世界の人々に伝えることに命をかけるジャーナリスト。
著書に、『世界は危険で面白い』など。
最近では、独特の語り口が話題となり、
バラエティー番組にも出演し、注目を集めている。

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Vol. 14 『最高気温58度!猛暑の中での授業参観』
(2009年05月20日)

 世界で一番暑い国はどこだろう?日本では最高でも気温37度を越えると生活に大きな支障をきたす。常夏の東南アジア、タイでも38度を越えれば猛暑のくくりとなる。
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イラク共和国、南部バスラ。この街に入ってみるまで灼熱という言葉を理解できずにいた。ここでの取材の折、日中の気温が世界最高といえる58度を記録した。サウナから吹き出る熱風のような暑さが体を締めあげる。さらに衝撃だったのは気温58度の中、地元の子供たちが普通に小学校へ通学していたことだった。

 戦時下におかれているイラクでは、部屋を冷やす為の電力が遮断されており、蒸し風呂状態の中での生活を余儀なくされている。エアコンどころか扇風機もまわっていない。座っているだけで脱水症状を引き起こすのではと心配していたが、さすがはメソポタミア文明発祥の地域である。子供たちは授業中に倒れないように両親からたくさんの知恵を授かっていた。

 まず一つが必ず1.5リットルのペットボトルを持ち歩くこと。中身は自宅に貯めてある井戸水をいれてそれを凍らせる。電気の無いところでどのように凍らせるのか見ていると地域ごとに共同購入した自家発電で水を凍らせていた。このボトルを絶えず口にしながら、授業を受けていた。

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 もう一つの知恵は衣服にある。イラクの人たちは暑いからといって短パンや半袖者シャツでいることはほとんどない。逆に長袖で足下まですっぽり覆い、決して肌を露出させない。衣服の色もできるだけ明るい色を選んでいた。日中の気温があまりに高すぎる為に、肌を露出させることはあまりにも危険だという。淡い色で熱の吸収をできるだけ抑えることも不可欠だと説明する。

 さらに子供たちは、できるだけ日陰で時間を過ごし、必ず昼寝もしていた。早朝から授業を始めて、気温が一番上がる午後14時には自宅で休憩という流れを作っていた。

 エアコンがなくても、飲み物がすぐに手に入るコンビニがなくてもイラクの子供たちは灼熱の中で楽しく勉強に励んでいたのである。

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