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渡部 陽一のコラム「世界の戦場から平和を考える」
渡部 陽一
渡部 陽一(わたなべ よういち)
戦場カメラマン/ジャーナリスト

戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、
世界の人々に伝えることに命をかけるジャーナリスト。
著書に、『世界は危険で面白い』など。
最近では、独特の語り口が話題となり、
バラエティー番組にも出演し、注目を集めている。

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Vol. 18 『明日から戦争が始まるといわれたらどうしよう?/イラク戦争に散った子供たち。』
(2009年09月18日)

 2003年3月19日、イラク戦争開戦前夜。アメリカのブッシュ元大統領がイラクに爆撃を開始すると全世界に宣言した。

それを受けてイラクの学校の先生と両親たちが「明日から戦争が始まります。」と、その旨を子供たちに伝えた。

 戦争という日常に身をおくイラクの子供たちは、戦争がいかなるものなのか、よくわかっている。何度も戦争がこの国で起こり、目の前でたくさんの友人たちが亡くなっていった経験から、戦争の恐怖は言葉よりも先に体に染み付いている。戦争とは隣に住む友達が殺されること、そう理解しているようだった。

 実際にイラク戦争が始まり、最初に犠牲になっていったのは子供たちだった。アメリカ側からイラク国内の民間人への攻撃は回避すると宣伝されていたが、現場取材で見えてきたのは爆弾の破片を受けた子供たちや瓦礫の下敷きになった母子というようにおびただしい数の幼子の犠牲者、そのあまりに生々しい現実であった。

2009.09-3.jpg こうした惨劇を避けることはできなかったのか? 実はイラクの子供たちは戦争が始まる前に、戦争回避を訴えてイラク全土で反戦活動行っていた。その活動は、子供たち自身が歌い踊ることだった。イラク国内にあるバベルの塔で有名なバビロン遺跡に世界中の芸術家を呼び、彼らのまえでイラク伝統舞踊や音楽を披露した。それを世界一斉配信してイラク攻撃をやめさせる手法をとったのだ。

 これから戦争で殺されるかもしれない環境の中、子供たちは笑顔で歌い踊り、たくさんの外国人と話をした。招待された外国の芸術家たちもお互いの舞踊を披露し合って反戦芸術祭は終了した。イラクの子供たちは、自らの国旗を持って世界の方々とふれあえた芸術祭をたたえ、感謝した。

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2009.09-5.jpg 2009.09-4.jpgその後、予告通り戦争が始まった。この芸術祭に参加した笑顔の子供たちは爆撃の犠牲となっていった。




イラクの子供たちの行動に敬意をはらいたい。




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