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進藤 勇治のコラム「進藤勇治の環境レポート最前線」
進藤  勇治
進藤 勇治(しんどう ゆうじ)
元通産省企画官/前東京大学特任教授

東京大学工学系大学院修士課程修了後、通商産業省工業技術院に入省。長く国立の研究所で環境やエネルギーの研究を行い、1996年、同省退官。地球環境等の様々な活動に取り組むために、環境・技術コンサルタント、講演会活動など、豊富な知識と経験をもとに日々奔走している。

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Vol. 2 『さまざまなエネルギーの特質を考える』
(2010年05月25日)

エネルギーと環境は密接な関係があります。最近、地球温暖化問題の対策として太陽エネルギーなどの新エネルギーが注目されています。各エネルギーの長所や短所を考えつつ、エネルギー問題に含まれる様々な課題を掘り下げて考えてみます。


【エネルギーの貯蔵と輸送】

エネルギーの利用において、一時的な貯蔵は必ず必要です。石炭、石油、天然ガスについて考えてみますと、石炭が一番貯蔵に便利といえます。石炭は固体ですので、工場の一角に積んでおくことができますが、石油はタンクに入れて貯蔵する必要があります。天然ガスは大口の利用でない限り、使用者サイドでは貯蔵することは普通ありません。貯蔵に限りますと、1.石炭、2.石油、3.天然ガスの順に便利と言えましょう。

次に、エネルギーの輸送を考えてみます。石油は液体、天然ガスは気体であり、これらは流体ですのでパイプラインで運ぶ事が出来ます。水道水や都市ガスがパイプで家庭まで運ばれて、私たちが両者を便利に使えることと同じです。ロシアで生産される天然ガスがパイプラインを通して何本ものルートでヨーロッパ各国に運ばれています。またアラスカ北部の油田で生産される原油がパイプラインでアラスカを縦断して南部の港まで運ばれています。

石炭は固体ですのでパイプラインで運ぶことができません。船かトラックで運ぶことになります。また水上輸送に比べて陸上輸送のコストは10倍程度と言われています。水運が利用できない内陸部の炭坑の石炭の利用は、一般にその地域に限定されます。天然ガスを船で運ぶ場合は、天然ガスを液化して、低温下で加圧タンクに入れて運びます。

エネルギーを輸送の面から考えますと、1.石油、2.天然ガス、3.石炭の順に便利と言えましょう。


【電気エネルギー】

電気は石炭や石油などの一次エネルギーから作り出される二次エネルギーです。電気は便利なエネルギーで、照明ができ、エアコンも動かせ、パソコンを使ったり、テレビを見ることができます。電気は様々なエネルギーから作られます。日本においては電力は、石炭火力27%、原子力27%、ガス火力22%、石油火力13%、水力11%の割合で、火力発電が主力です。

このように火力発電が中心の日本においては、電気を使用することは二酸化炭素を発生すること、すなわち温暖化を促進させることになります。しかし、スウェーデンなどの北欧やカナダにおいては水力発電が主力ですので、石油や石炭を使わずに電気を使うことは温暖化対策になります。北欧の国々やカナダは地理的に豊富な水源があり、また地形的にダムの建設に恵まれています。

地球温暖化が世界的な問題になった二十年ほど前に、私はしばしば国際会議に出席しましたが、温暖化対策で電力をどのような位置づけにするかは、国の事情によって異なり、時に議論がかみ合わないことがありました。

さて、原子力は原理的に発電時に二酸化炭素を発生させないので、有力な温暖化対策手段になります。ただ、事故もなく安全な運転をしっかりと行えるかどうかは今後も大きな課題です。

人間が活動する昼間は電力の需要は増え、夜間は需要は減少します。火力発電は需要が増加すれば発電量を増やすことは容易です。しかし、一般に原子力発電は負荷追従運転(需要に合わせた電気出力の増減)は行いません。昼夜のベースになる量の電力を原子力で発電し、昼間の増加する部分を火力で負荷追従発電を行う事を基本としています。こうして、原子力と火力発電が役割分担して電力供給を支えています。


【新エネルギー】

近年、温暖化対策として太陽光発電や風力発電などの新エネルギーが注目されています。新エネルギーによる発電は、火力や原子力による発電に比べて、不安定であり信頼性に欠けるエネルギーです。太陽光発電が既存の火力発電等にとって代わるということは、システム的にもコスト的にも現在では極めて困難です。

太陽や風力などの新エネルギーに期待した所ですが、私たちの日々の生活や経済活動を支える電力を安定に確実に供給するということもしっかりと考えて行かなければなりません。
日本でも太陽光発電で余った電力を買い取る制度が実施されていますが、太陽光では夜は発電できませんし、天気の悪い時にも発電能力が低下します。風力では風がない時は発電できません。結局そのような場合に備えて、火力発電所等の既存の電力設備は余裕を持って設置しておかなければなりません。太陽エネルギーなどの新エネルギーを使うことは、見えないところで結構手間がかかっているのが現状です。

今回はエネルギーに関していろいろと述べてみましたが、皆様におかれても個々のエネルギーの特徴をよく理解した上で、環境問題とエネルギー問題を考えてみて下さい。特に太陽光などの新エネルギーに大いに期待したい所ですが、まだまだ課題があることも認識下さい。




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