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川村透
川村透 講師プロフィール

「あなたは自分の力を
        信じていますか?」

川村 透(かわむら とおる)
川村透事務所 代表
・モチベーティブ・スピーカー
・翻訳家
・企画コンサルタント

 
Vol.26  「組織でうまく動けなかった自分」

 多くの皆さんは組織で働いていると思うが、自分の思うとおりの仕事ができているだろうか。私はサラリーマン時代、恥ずかしながら自分の希望通りの仕事に就くことができなかった。今回はそのときのことを振り返ってみる。

海外に行く同期、相変わらずの自分
 私は大学を卒業し、外資系コンサルティング会社に入ったが、そこで配属された部署での仕事はシステムコンサルティングで、本当にやりたかった戦略を立案する部署ではなかった。「いつかはそちらへ進んでいきたい」と思っていたが、なかなか方向を変えていくことができなかった。

もちろん、まじめに、誠実に「義務感と責任感で」一生懸命、仕事をこなしてはいたが、腹の底では「思い通りにならない」ジレンマを感じていた。年 に一度の上司との面談では必ず「海外に行きたい。戦略の仕事をしたい」と口にしたが、それが叶えられることはなかった。

 しばらくすると、同期の仲間との間に違いがあることに気づいた。あるものは自分の希望をかなえ、戦略部門に異動していく。あるものは2年ほどの海外赴任のチャンスを得て日本を出て行く。また1週間のアメリカ研修に抜擢されるものもいた。

しかし、どれも自分には回ってこなかった。「どうして自分ではないのだろう」「英語は自分ができるはずなのに・・・」正直、そんな思いが頭をよぎった。


自分のアピール不足
 今にして思えば、自分のアピールが足らなかったし、下手だったのだ。当時は自分の意見をあまり言わず、また目立たない存在だったので、上司の記憶にもあまり残らなかったのだろう。

でも、もし本当に戦略の仕事がしたかったら、例えば自分である企業を題材にして、それをレポートにまとめてみたり、その部署の上司に顔を売りにいったり、資格をとったりと、自分をアピールする手立てはいくつかあったはずだ。

ただ、当時は「裏で政治的に動くことは潔くない」と思っていたし、またそういうことが元々得意ではないのだ。

 組織で自分がやりたい仕事をするには、バカ正直に仕事をこなしているだけではだめだ。また与えられる機会(年に一度の上司との面談など)をおとなしく待っているだけでもいけない。

ある意味、「わがまま」「自分勝手」「策士」として振舞い、上司に自分の希望をアピールし、おもしろそうな仕事をかぎ分ける嗅覚も必要なのである。「いい人」を演じている場合ではない。

 普段から社内の動きを良く観察し、自分が入れそうなプロジェクトがあったらそこに呼んでくれるよう根回しをしたり、セクレタリーの女性と仲良くなって、トップの会議で何が決まったのかを素早く察知したり、普段から自分の希望を周囲に伝えておくなど、できることがいくつもある(このあたりの話は、拙訳「成功するオフィス・ポリティクス」(ダイヤモンド社)に詳しいので、興味ある方はどうぞ)。

組織で自分の思い通りにやるためには、うまく「社内政治」を動かすことも必要なのだ。


自分をアピールする5つのヒント
 組織での自己アピール方法は、人によってさまざまだが、自分の経験をふまえ、私が大切と思う点を5つあげる。

  1.受身の姿勢を脱する
  まじめに、正直に仕事をこなしているだけでは自分の希望は叶わない。「これだけ会社
  のために尽くしているのに、なんでオレは評価されないんだ!」と嘆く前に、「どうしたら、
  自分をわかってもらえるのか」、そのことにエネルギーを注ごう。きっと誰かが見ていてく
  れる――と思うのは甘い。

 2.モードを切り替える
  元々、顔の皮が厚い人はいいが、私のようにおとなしく、気が小さい人は、少し自分の
  モードを切り替える必要がある。「わがまま」「自分勝手」「ちょっと出過ぎ」くらいのモー
  ドに切り替えて丁度いい。

 3. ルールに縛られない
  年に一度の面談とか、会社が定めた基準だけにとらわれてはだめだ。普段から上司と
  密にコミュニケーションをとったり、自分から自主的に社内プロジェクトを立ち上げてみ
  たり、そういったゲリラ的活動をしてみよう。

 4. 社内政治と向き合う
  「社内政治」と聞いて、顔をそむけてしまってはだめだ。どんな組織にも、政治という力
  学は働く。ならばそれを避けるのではなく、正面から取り組み、自分が逆にそれを利用
  するぐらいの気持ちで向かってみよう。キーマンは誰か。情報源は誰か。すると違った
  目で組織が見えてくる。

 5.旗を上げておく
  「製薬業界のことならあいつに聞け」「ハードウエアなら彼が詳しい」というように、自分
  の旗を一つ決め、それを周囲に知らしめよう。また「今後はこういう方向に進みたい」
  という希望もさりげなく流しておく。上司の頭の中にそれがひっかかれば、チャンスも増
  えるはずだ。

いま、自分が正当に組織で評価されていないと思っている人は、もう一度自分を鏡に映し出してみよう。

バカ正直に、まじめにやっているだけではないか。自分の旗を立てているか。社内政治の動きをうまくつかんでいるか。自分をアピールする場も、会社が決めた土俵の上に乗っているだけではないか。自分から自主的になにかをはじめているか。まずはそこからだ。

これらを試してみて、それでも評価されていないと感じたら、思い切って職場を変えるのも一つだろう。そんな人は、自分で何かをはじめたほうが向いているのかもしれない。会社はひとつじゃない。世の中には、驚くほどたくさんの小さな社会があって、自分の生きる場はたくさんあるのだから。
 
まとめ:組織では、「正直」「真面目」だけでは生きていけない。



<川村 透講師のコラム バックナンバー>

Vol.25 「形のない贈り物」

Vol.24 「何が私を変えたのか? 〜いまの自分で相手にウンと言わせる5つのヒント〜」

Vol.23 「コーチングで会話が変わる?」 

Vol.22 「可能性のドアをたたく」

Vol.21 「ワークショップで組織が生き返る!」 
 
Vol.20 「企画を通す喜び」 
Vol.19 「僕ってクレーマー?」
Vol.18 「倒れた父がはじめて見せた笑顔」
Vol.17 「人は変わらない」
Vol.16 「やると決めてからやる人、ただやる人」
Vol.15 「イアン・ソープの翻訳やらない?」
Vol.14 「こだわりがある人は、成功しない」
Vol.13 「人と自分を比べてしまうあなたへ」

Vol.12 「自分のプリンシプルを持つ」

Vol.11 「さあ何か、新しいこと始めよう」
 
Vol.10 「ALS患者から学んだこと」
Vol. 9 「コンプレックスは自分の原動力」
Vol. 8 「自分のものさしを持つ」
Vol. 7 「言葉があなたの人生を決める」
Vol. 6 「未来へ帰る」
Vol. 5 「小さく考える」
Vol. 4 「自分の論理よりその場の論理」
Vol. 3 「2つの悪い知らせ」
Vol. 2 「自信に根拠はいらない」
Vol. 1 「みなさんこんにちは。川村透です。」

 

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