|
Vol.28 「上司をコーチングしてみませんか?」
〜逆コーチングのススメ〜
最近、コーチングを導入する企業も多くなり、書店にいけば必ず「コーチング」の棚があります。しかし、そのほとんどが「上司が部下をコーチング」するという切り口。ところが今回、とある銀行の研修で依頼を受けたテーマはなんと、「上司を逆コーチングしてください」というもの。その研修がとても好評だったので、今回はその内容をかいつまんでお話しましょう。
●サラリーマンが抱える三つのジレンマ
「私の上司は本当に理想的な人です」――こう言いきれる人は恵まれています。しかし、多くのサラリーマンにとって、上司は目の上のたんこぶ的な存在。誰もが感じている三つのジレンマはというと・・・。
1. 上司は必ずいる
「"課長いる?"返った言葉は"いりません"」――今年のサラリーマン川柳での優秀作品だ。組織で働く以上、上司は必ず存在する。上司のいない職場などありえない。
2. 自分で上司は選べない
「あの上司の下で僕は働きたい」と言っても自分で上司は選べない。そんなことをしたら、誰からも選ばれない上司がたくさん出てしまう・・・?
3. そして、その上司の出来が悪い
やる気がない、頭が固い、要領悪い、リスクをとらない、人間的にイヤ・・・
さて、もしあなたがこうした状況に直面したら、どうしますか?
@ どうせ言っても無理」とあきらめる
A 「あの上司はホントに無駄が多いよね」と評論家になる
このいずれかの人が多いのでは?
でも、ちょっと待ってください。確かに上司を変えるのは簡単ではありません。でも「もののみかたを変える」ことで、この状況をなんとかできないものでしょうか。
●上司との関係を新しくとらえる
1. 理想の上司はどこにいる⇒理想の上司などいない
私もサラリーマンのとき、見本にしたい人を一生懸命探しましたが、仕事ができても人間的にバランスが悪かったりして、ついに見つかりませんでした。いま、思うのは、理想の上司を探そうとはしないことです。それは自分が作ると考えましょう。目の上のたんこぶをダイヤモンドに変えるのは自分なのです。
2. どうせ言ってもかわらない⇒自分が変われば、相手が変わる
相手を、ましてや上司を変えるとなると、かなりの労力を要するもの。しかし、相手を変えたいときの一番効果的な方法は、自分の接し方を変えること。自分が変われば相手は変わるんです。
3. 上司と部下は上下関係⇒上司と部下はパートナー
上下関係と思った瞬間に、力関係を意識して「上の人を動かすなんて・・・」と尻込みしてしまいがち。今の時代は、役職的には下でも現場の人たちのほうが力はあるし、知識や情報もある。必ずしも上が優れていて、下が劣っているわけではないのです。上司は自分を活かす最高のパートナーだと考え、いかに上司にうまく動いてもらうか、そのことを考えましょう。
●上司を逆コーチングする
自分のやりたいことを通すため、どうしたら上司に動いてもらえるでしょうか?もちろん、上司は人生の先輩。そうした意味での尊敬の念は持つべきです。上司に働きかける際の基本テクニックを三つ、紹介します。
@ 相談する
自分が「この業務日報は無駄だ」と思っていても「これは無駄です。廃止すべきです」といきなり正論から切り込まない。わかっていてもまずは相談するというスタンスが大事。「業務日報なんですが、もっと効率的に処理する方法はないでしょうか?」
と持ちかけ、そのあとに「私はこう思うのですが・・・」と言ってみましょう。
A 質問する
あなた「今度、60代向けの金融商品を作りたいのですが」
上司「だめだ。そんなの売れないよ」
と言われたとき、「どうしてですか。他社にはないし、時流にも合っているから売れますよ」というのは反論です。そうではなく、相手に質問を投げかけることにより、問題を絞り込んでいきましょう。たとえば「そうですか、具体的にどんなところがだめなんでしょうか」というふうに。すると「難しいイメージがあってな」などと問題が見えてくるので、「では、わかりやすいように工夫すればいけるのでは?」と対策がみえてきます。反論ではなく、質問をしましょう。
B 教えを請う
「クライアントに新規企画を提案したいのですが、担当の方が取り合ってくれなくて。ぜひ部長のお力を拝借したいのですが・・・」
人は頼られると嬉しいもの。教えてほしい、意見を聞きたいと言えば「一肌脱いでやるか」という気になるはず。また、こうすることで、相手を知らぬ間に巻き込んでおけるメリットも。
●上司改造プロジェクト
上司のあら探しをする前に、上司の親やコーチになったつもりで、思いやりを持って上司を見てみましょう。「もっとこうしたらこの人はよくなるのに」――というあたたかい目で。その際、次のような「上司改造計画シート」を作ってみました。
1. Analysis〜あなたの上司はどんな人?
上司の欠点や短所ではなく、上司を足し算でみてみましょう。どんなタイプか、彼(女)が大切にしている価値観、尊敬できる点などを書き出してみましょう。また、レーダーチャートにより、上司の能力を柔軟性、人間性、仕事力、育成能力の4つに分け、客観的に上司を分析してみましょう。
2. Goal〜「もっとこうしたらいいのになあ・・・」
上司の現状がわかったら、次は理想像を考えます。あなたにとっての理想の上司に近づけるためには、上司がどうなればいいでしょうか?「もっと人の話を聞くときに、目をみたほうがいい」「指示を具体的にして欲しい」など、あなたなりの提案を3つ、あげてみましょう。
3. Contribution〜それに対し、あなたができることは?
現状を分析し、目標を決めただけでは評論家と同じ。ここで大事なのは、その提案に対し、あなたができることを探し、積極的に上司に関わっていくことなのです。上司を変えるために、あなたにもできることはたくさんあります。上司も人の子。「こうするともっとよくなると思います。そのために私ができることをやります」という姿勢で接すれば、うれしくないはずがない。
以上、ざっとポイントだけを要約したが、実際のセミナーではもう一歩、奥に踏み込んでとても盛り上がりました。「上司を変えるなんて、考えてもみない発想だったが、自分にも何かできる気がしてきた」「さっそく職場に帰って、上司を分析してみようと思います」
などの感想多数。
「コーチング?上司にそれを学んでほしいね」と嘆いているあなた。でも会社にはそんな余裕はきっとありませんよ。ならばあなたが変わるしかありません。え、もっと話を聞きたいって?お問合せ、お待ちしています(笑)。
|