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川村透
川村透 講師プロフィール

「あなたは自分の力を
        信じていますか?」

川村 透(かわむら とおる)
川村透事務所 代表
・モチベーティブ・スピーカー
・翻訳家
・企画コンサルタント

 
Vol.42 「犬の世界にもコーチング?

 先月、我が家についに、待望のワンコがやってきました!
ミニチュアダックスの【りゅう】くんです。いま、ようやく3ヶ月を過ぎ、いたずらし放題。
毎朝、顔へのペロペロ攻撃で目覚める時間は至福の時。僕は小学生のとき、雑種を飼っていたのですが、甘やかし放題だったので、今回はちゃんと育てよう!と気合を入れ、本や雑誌を買いあさり、それでもあきたらず犬のしつけ教室へと通う日々。ところがその中で、ひとつの発見が。

それは「犬のしつけにもコーチングが入っている」ということです。

■叱るか、褒めるか

 犬関係の本や雑誌を一通り研究して思ったことは、犬のしつけの世界ほど、ひとつに考えがまとまっていないものはない、ということです。まあ、相手が犬ですから、「これが正しいよ」と教えてくれませんし。まったく対照的なことが書いてあり、何を信じていいのかわからなくなるくらい。叱るのか、褒めるのか。僕は仕事柄、コーチングの研修などをしているので、なるべく叱らずにしつけたいと思っていろいろ調べると、なんとそうした考え方が書いてある本があったのです。まさに「犬のコーチング」です。

■トイレを失敗したら叱る?

 たとえば、仔犬を飼って(室内で)まず問題になるのがトイレのしつけです。
もしあなたのワンちゃんが、決められた場所以外にオシッコをしてしまった場合、どう対応しますか?

 僕は昔、うちの母が「そのときは、鼻をグッと押しつけてダメッって叱らなくちゃだめよ」と教わったのを覚えていたので、その通りしていたのですが、先日しつけ教室にいってびっくり。なんとトイレの失敗は叱ってはいけないというのです。それを叱ると「オシッコ=いけないこと」と結びつけるようになり、今度は隠れてするようになったり、我慢して膀胱炎になることもあるとか(これって犬の立場の考え方ですよね。いままでそんなふうに考えられなかった自分。あーやっぱり人(いや、犬?)の立場に立って物事を考えるのって難しいと実感)。

 なので、ウンチを失敗しても叱らずにだまって片付け、うまくいったときにはおやつを上げ、「よーし、うまくいった、偉いぞ」と大げさに褒める。すると犬は「おやっ?ウンチをしたら褒められ、おまけにご褒美までもらえるぞ。こりゃいい」と考えるようになるのだそうです。これってまさに『褒めて育てる』、コーチングの基本だと思いませんか?


■甘噛みしたら、口をつかむ?

 甘噛みというのは、犬がふざけて人の手を噛むことです。これも多くの本には、口をぐっとつかむ、ゲンコツを奥まで入れる、逆にのどの奥まで手をつっこむなどいろいろ対処がでているのですが、その本には「犬が噛んだら、すっと立ち上がり、手も上げる。そしてまたしゃがんで手を出す。噛んだらまた立ち上がる。要は犬は手や顔がそばにあってほしいのだから、噛めば手が遠のいてしまうということを学習すれば、噛まなくなる」これぞ、まさにコーチング的考え方。体罰を与えて厳しく叱るのではなく『本人(本犬?)自身に学習させる』というところがすばらしいじゃないですか!

またティッシュボックスをいたずらするのをやめさせるときは、普通考えつくのは「いたずらしているときにダメっと叱る」というものですが、これも「箱を取り上げ、思い切り床に叩きつける。そして犬にはやさしく"これはだめだよー"と声をかける。これを何度か繰り返すと、犬が箱に近づき、いたずらしていいものかどうか一瞬躊躇する。そのころあいを見計らっておおげさにほめ、ご褒美を与える」 というのです。

物は試しにと、うちの犬にやってみたら、なんと効果てきめん!(なにやら犬にも一丁前に屈辱感やプライドというのはあるらしく、この方法だとそれらを傷つけずにできるそうです)

 これって、コーチングの『本人を扱うのではなく、本人の行動を扱う』というのと共通していませんか。
つまり「どうしてできなかったの?」という質問で本人を責めるのではなく、「何が問題だったの?」という聞き方で、その問題自身に焦点をあてるという考え方です。こうして考えると、犬もきっとコーチングで『自ら考え、学習し、行動する』ようになるのでは?(笑)


■リーダーシップの原点


 犬との関わりって、まったく相手が異質な分、リーダーシップの本質がつまっていると思うのです。
相手との対話の基本がみえてくるような。

たとえば、仕事をしていても、悪いところを目ざとく見つけては叱り、自分は上司としての責任を果たしていると悦に入っている人はいませんか。では、その人のいい部分や、うまくいった仕事をおおげさに褒め、認めたりしていますか。また叱る以前に、本人が自ら気づけるような学習の場を提供しているでしょうか。

また、何気なく「今日残業頼むよ」とお願いしておいて、翌日感謝の言葉かけを忘れてはいませんか?「残業する=いいことがある」という関連づけをしているでしょうか。

子犬はいたずらをよくしますが、見ていると、自分の歯で破壊できないものには興味はもちません。つまり結果がすぐにあわられることにはやっきになる、のです。同じように、部下に仕事を任せたりするとき、結果が見えるような工夫(目標を細かく設定するなど)をしているでしょうか。

どれだけ頑張っても成果が見えにくい、認められにくい仕事にモチベーションを持つことは難しいものです。仔犬と接していると、本当にリーダーシップに必要なことがたくさん見えてくるようです。


■基本は相手との信頼感

 犬との関係において、やはり一番大事なのは信頼感だそうです。「くわえたものを取られてもとってもすぐに返してくれる」「スーパーに買い物に入っても必ず出てきてくれる」そういう安心感の上に、しつけは成り立つそうです。

「うちの犬はマヌケだ」と最初から決めつけないで「うちの犬もやればできる」と犬の可能性を信じてあげる。これって、コーチングの基本原則「人の可能性は無限大」「答はすべて相手の中にある」とそっくりですよね。 部下を一人でもお持ちの方、犬を飼ってみることをオススメします。きっと目からウロコですよ(笑)。

写真:りゅうくん
コーチングで『自ら学習し、行動』する【りゅう】くん

今月のメッセージ:犬との関係に、リーダーシップのエッセンスがつまっている


<川村 透講師のコラム バックナンバー>

Vol.41 「気働き」
 
Vol.40 「こだわるべきか否か?」
Vol.39 「コーチングにできること 〜あるミスをした運転士ととの会話」
Vol.38 「ゲームで仕事を斬ってみる」

Vol.37 「海に散ったウインドサーファー」

Vol.36 「これっておかしいんじゃない?」

Vol.35 「凶は吉なり」
Vol.34 「あと一回」
Vol.33 「いまに見てろ」
Vol.32 「裏返し」
Vol.31 「20年前の自分に出会う」
 
Vol.30 「ミスしたときこそチャンス!」
Vol.29 「自分をRe-framingしてみよう」
Vol.28 「上司をコーチングしてみませんか?」 〜逆コーチングのススメ〜
Vol.27 「いまから遅すぎることはない!」 〜50代に学ぶ「すがすがしさ」〜
Vol.26 「組織でうまく動けなかった自分」
Vol.25 「形のない贈り物」

Vol.24 「何が私を変えたのか? 〜いまの自分で相手にウンと言わせる5つのヒント〜」

Vol.23 「コーチングで会話が変わる?」 

Vol.22 「可能性のドアをたたく」

Vol.21 「ワークショップで組織が生き返る!」 
 
Vol.20 「企画を通す喜び」 
Vol.19 「僕ってクレーマー?」
Vol.18 「倒れた父がはじめて見せた笑顔」
Vol.17 「人は変わらない」
Vol.16 「やると決めてからやる人、ただやる人」
Vol.15 「イアン・ソープの翻訳やらない?」
Vol.14 「こだわりがある人は、成功しない」
Vol.13 「人と自分を比べてしまうあなたへ」

Vol.12 「自分のプリンシプルを持つ」

Vol.11 「さあ何か、新しいこと始めよう」
 
Vol.10 「ALS患者から学んだこと」
Vol. 9 「コンプレックスは自分の原動力」
Vol. 8 「自分のものさしを持つ」
Vol. 7 「言葉があなたの人生を決める」
Vol. 6 「未来へ帰る」
Vol. 5 「小さく考える」
Vol. 4 「自分の論理よりその場の論理」
Vol. 3 「2つの悪い知らせ」
Vol. 2 「自信に根拠はいらない」
Vol. 1 「みなさんこんにちは。川村透です。」

 

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