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川村透
川村透 講師プロフィール

「あなたは自分の力を
        信じていますか?」

川村 透(かわむら とおる)
川村透事務所 代表
・モチベーティブ・スピーカー
・翻訳家
・企画コンサルタント

 
Vol.45 「ダイヤログ・イン・ザ・ダーク

 皆さんはこのイベントをご存知ですか?10月に行ったのですが、ここ数年で一番のヒットです。とにかくおもしろい。気づきがたくさんありました。ということで、今回はその体験談を書きます。

■暗闇の中での対話?

  このイベントは、簡単にいうと、真っ暗やみの中に作られたコースを、視覚障害者の方にガイドされながら歩く、というものだ。中には、公園や森、駅などといった設定があり、最後にはバーでドリンクを飲んで終わり(もちろん、真っ暗の中で!)。占めて45分くらいのコースだが、日々、目が見えている人たちがこの中に入ると、いろいろなことを感じ、発見する。

 まず入り口で5,6人が1グループとなり、入り口で白杖をわたされ、持ち方や使い方を教わる。生まれてはじめての体験だ。コンコンと床を叩いて歩くのだが、なんだかワクワクする(ちゃんと使おうとすると、実際は難しいらしいが)。次にガイドの方が紹介される。僕たちのグループはKさんという、とっても明るい女性の方が担当だ。いくつかの注意事項を聞いて、いよいよ暗闇へスタート。

■「あ、メガネがいらない!」

 入った瞬間、自分の嗅覚がするどくなる。そして僕は気づいた。「あ、メガネがいらない!」
普段、メガネの不便な生活をしている僕にとっては、これはとても自由だった。
見る必要がないのだから。これで視力のいい人とのバリアがなくなった。

真っ暗闇だと、方向の頼りになるのは人の声。「はい、こっちですよ」とガイドのKさんの声が少し遠いと、少し不安だ。まるで散歩に出て、飼い主のあとをあわてて追う仔犬のような気分だ。

 コース内は一切光が入らないので、目が慣れてもなにも見えない。入る前は少し不安だったが、案外何とかなるものだ。でも、視覚障害のある人たちは、ずっとこの世界で暮らしているのだ。そのことにとても感動した。

■自然と生まれる連帯感

 進むにつれ、お互い声をかけあう。
「ここに丸太の木がありますよ」「あ、ありがとうございます」
「ん?これは誰?」「あ、先頭の○○です」

入る前はまったく見ず知らずの5,6人だったのが、暗闇では不思議と連帯感が生まれる。このイベントが、ドイツなどの企業の研修にも使われているのもうなずける。(確かにこれは、研修にはいい!)

 途中、公園を通ったり、水を触ったり、橋を渡ったりといろんなシーンを、杖と、足の感触と、手と人の声で進んでいく。最後にバーにたどりつく。案内されるままにイスにすわり、イスを引く音や机の感触、グラスの音、人の声との距離感から、バーの空間をイメージする。

 僕はワインを注文。それを持ってきてくれるウエイトレスの方はもちろん視覚障害の方だ。普段は聞きなれているはずのワインがグラスに注がれる音が、やけに新鮮に、ビビットに響く。そしてグラスを口元へ。何も見えないので、匂いと音と、舌ざわりでワインを味わう。きっと味覚にとても敏感になるはずだ。(町の中にこんなバーがあったら、かなりおもしろいのでは)。

 45分ほどでコースは終わり、案内してくれたガイドさんと感想をシェアする時間が最後にある。そこでそれぞれが感じたことや質問をする。僕が一番感じたのは、『普段見えていることで、実は逆に見えていないことがたくさんある』ということだ。見えることが当たり前になっていて、視覚がない世界があることに僕はまったく気づいていなかった。

一緒にいったある女性は、今回の体験を『癒し』と表現した。
それは、自分が普段、仕事で見られる立場にあり、暗闇だと見られることがないので、とても自由だ、というのだ。これは僕にはまったくない発想で、人によって感じ方が違うのがとてもおもしろかった。

■心のバリアを取り除こう

 「ダイヤログ・イン・ザ・ダーク」。これは決して、足に錘をつけ、工業用マスクみたいなメガネをかけ、駅を乗り降りするような障害者疑似体験ではない。パンフレットから抜粋すると:
 
立場の違い、年齢、性別、国籍などの違い、障害の有無の違い・・・私たちは普段知らず知らずのうちに、いろいろな違いに縛られて暮らしています。それらの違いを超えて、すべての人が対等に対話する機会を提供することをダイヤログ・イン・ザ・ダークは目指しています。

確かに。これはただ視覚障害の人の世界を体験するものではない。
誰にでもある心のバリアを取り除く、絶好の機会だと思う。

私たちは無意識に自分と相手を区別してはいないか。

見える人と見えない人。 障害のある人とない人。
ワイシャツを着て仕事をしている人と現場で汗水たらして頑張っている人。
 
それらの心の壁を、暗闇の中で一度ゼロにしてみてはどうだろうか。また、暗闇の中で、自分の感覚を研ぎ澄ましてみるのもおもしろい。視覚という情報がなくなったとき、自分は果たしてなにを元に判断するだろうか。

 僕はこのイベントをきっかけに、視覚障害者の方々の世界にとても興味をもった。彼らはこの「世界」をどう『見て』いるのか。私たちは目に入ってくる情報にかなり左右されているが、逆にそれがない彼らのほうが、ニュートラルに物事を判断できるのではないか。本当にいろんなことに気づかされた、とても有意義なイベントだった。

■1時間のコースも・・・

 「ダイヤログ・イン・ザ・ダーク」は、ドイツで1989年に生まれ、その後ヨーロッパを中心に世界17カ国、100都市で開催されている。ドイツのハンブルグでは常設のコースがあり、1時間とか長いコースがあるそうだ。ぜひ行ってみたくなった。こういう体験型の学習って、やっぱり海外が上手ですね。

 このイベント、2005年は11月23日まで旧自治大キャンパス(東京・広尾)で開催されている。いってみることをオススメする。詳しい情報は下記。

 ホームページ:http://www.dialoginthedark.com/contents/index.html

今月のメッセージ: 見えることで、実は逆に見えていないことがたくさんある。



<川村 透講師のコラム バックナンバー>

Vol.44 「<いい子>のままでいませんか?」
Vol.43 「本物に触れることの効用」
Vol.42 「犬の世界にもコーチング?」
Vol.41 「気働き」
 
Vol.40 「こだわるべきか否か?」
Vol.39 「コーチングにできること 〜あるミスをした運転士ととの会話」
Vol.38 「ゲームで仕事を斬ってみる」

Vol.37 「海に散ったウインドサーファー」

Vol.36 「これっておかしいんじゃない?」

Vol.35 「凶は吉なり」
Vol.34 「あと一回」
Vol.33 「いまに見てろ」
Vol.32 「裏返し」
Vol.31 「20年前の自分に出会う」
 
Vol.30 「ミスしたときこそチャンス!」
Vol.29 「自分をRe-framingしてみよう」
Vol.28 「上司をコーチングしてみませんか?」 〜逆コーチングのススメ〜
Vol.27 「いまから遅すぎることはない!」 〜50代に学ぶ「すがすがしさ」〜
Vol.26 「組織でうまく動けなかった自分」
Vol.25 「形のない贈り物」

Vol.24 「何が私を変えたのか? 〜いまの自分で相手にウンと言わせる5つのヒント〜」

Vol.23 「コーチングで会話が変わる?」 

Vol.22 「可能性のドアをたたく」

Vol.21 「ワークショップで組織が生き返る!」 
 
Vol.20 「企画を通す喜び」 
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Vol.16 「やると決めてからやる人、ただやる人」
Vol.15 「イアン・ソープの翻訳やらない?」
Vol.14 「こだわりがある人は、成功しない」
Vol.13 「人と自分を比べてしまうあなたへ」

Vol.12 「自分のプリンシプルを持つ」

Vol.11 「さあ何か、新しいこと始めよう」
 
Vol.10 「ALS患者から学んだこと」
Vol. 9 「コンプレックスは自分の原動力」
Vol. 8 「自分のものさしを持つ」
Vol. 7 「言葉があなたの人生を決める」
Vol. 6 「未来へ帰る」
Vol. 5 「小さく考える」
Vol. 4 「自分の論理よりその場の論理」
Vol. 3 「2つの悪い知らせ」
Vol. 2 「自信に根拠はいらない」
Vol. 1 「みなさんこんにちは。川村透です。」

 

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