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川村透
川村透 講師プロフィール

「あなたは自分の力を
        信じていますか?」

川村 透(かわむら とおる)
川村透事務所 代表
・モチベーティブ・スピーカー
・翻訳家
・企画コンサルタント

 
Vol.53 僕がやったんじゃない

 以前、公園で犬の散歩をさせていたら、小学5年生くらいの子どもたちが芝生で野球をしていた。そしてそのそばに、ガムやチョコの包み紙が捨ててあった。
「ねえボク、これ、犬が食べちゃうから。ちゃんと拾わないとダメだよ」
「ボクじゃないもん」
その返事を聞いて、僕は一瞬固まった。
「確かに、ボクじゃないかもしれないけど、一緒に遊んでる友達の誰かが捨てたんだよ。拾ってね。はい、ありがとう」
僕にうながされ、その子はしぶしぶゴミを拾った。僕は思った。
(まったく、自分がやったんじゃなければ片付けないなんて今の子どもって自分のことしか考えてないよな)
 
 そしてつい2週間前のこと。
我が家はテラスハウスで、家が5棟つながった長屋形式で、ゴミ出し場は共有である。
そこがちらかっているのに気づいてはいた。不燃ゴミ置き場に、きちんと分別されていないペットボトル、お惣菜のプラスチック皿が散乱しているのだ。指定の袋を使わず、コンビニ袋に入れてあるゴミもある。あきらかにうちを除くほかの4棟の誰かが、ルールを守らずにゴミを出している。
「まったく、出したヤツがちゃんとしないとダメだよな」
そう思って、その日は見過ごした。
 
翌朝。
ゴミは昨日のままだ。おまけに「きちんと分別しないと回収できません」なんてシールまで貼られている。
「誰だよ、まったく。ルールを守れないやつは」
僕はまた、そのままやり過ごした。
そしてまた翌日。ゴミはまだそのままだ。その日、事件は起こった。
犬の散歩から帰り、玄関で中に入ろうとすると、なにやら家のそばに止まった車から見知らぬおばさんが出てきて、こっちをみている。そしていきなり僕に向かってこう言うのだ。
「あれ、お宅のゴミ置き場ね。犬がやったのか、ちらかってるわよ」
「はあ・・・」
そのとき、僕が思ったこと。
(誰だ、あのおせっかいなおばさんは?)
(おいおい、何で俺に言うんだよ。俺はちゃんと出してるよ)
(うちのりゅうは、そんな悪いことしないよ)
 
僕は適当に返事をして、そのまま家に入った。僕はこうつぶやいていた。
(僕がやったんじゃないよ)
 
 そしてまた翌朝。犬を連れ、そのゴミ置き場をやり過ごそうと思ったときだ。急に、僕の中で、この前の公園での男の子のセリフと僕のつぶやきが重なったのだ。
(僕がやったんじゃない)
そして思った。
「あ、俺ってあの子たちと同じだ」

 僕は、自分のことは自分でちゃんとするし、そのことには自信がある。
でもほかの人の後始末までする気は、ない。
だって、その人が責任もってするのが筋でしょう。
しかし、この見ず知らずのおばさんに注意され、僕ははからずも自分の度量の狭さに直面してしまったのでした。
 
 もしかして、僕って心が狭いんじゃ。たとえ自分が散らかしたゴミじゃなくても、気づいたらきれいにしようっていう気持ちがあったら、もっといい人になれるのかも・・・。
 
 そして翌朝、僕は意を決して、自宅から黄色い不燃ゴミ用の袋(買うんですよ)を片手にゴミ置き場に行き、ちらかっているゴミを袋に入れて、片付けた。これでこの数日間、ずっとモヤモヤして気持ちがようやく晴れた。
 
 世の中には、次の3つの人たちがいます。
1.自分の後始末も自分でやらない
2.自分の後始末は自分でやる
3.人の後始末も自分がやる

1の人は困りものですが、ほとんどの人は(僕を含めて)2でしょうね。しかし、3に行くには、少し人間的に大きな器が必要なのかも。僕はまだまだ修行が足りません。
昔の日本には、3の心を持った人が多かったのかもしれません。田舎とかに行って、そんな振る舞いが自然と板についているおばあさんなんかを目撃してしまうと、もう僕はしびれてしまいます。そんな人がたくさんいたら、素敵な街ですね。でも一番いいのは、1の人がいなくなることなんですが・・・。
通りがかりの見ず知らずのおばさんに、自分の価値観を大いにゆさぶられた事件でした。




<川村 透講師のコラム バックナンバー>

Vol.53 「僕がやったんじゃない」
Vol.52 「任せっきりにしない」
Vol.51 「変わる!リーダーシップ〜魅力的なリーダーとは?」 特別編
 
Vol.50 「人はアウトプットしないと変わらない」
Vol.49 「最新現場レポート 〜実録<コーチングのススメ>」
Vol.48 「頑張ることより大切なもの」
Vol.47 「こうしてやりたいことを見つけた二人」 特別編
Vol.46 「やりたい仕事の見つけ方」
Vol.45 「ダイヤログ・イン・ザ・ダーク」
Vol.44 「<いい子>のままでいませんか?」
Vol.43 「本物に触れることの効用」
Vol.42 「犬の世界にもコーチング?」
Vol.41 「気働き」
 
Vol.40 「こだわるべきか否か?」
Vol.39 「コーチングにできること 〜あるミスをした運転士ととの会話」
Vol.38 「ゲームで仕事を斬ってみる」

Vol.37 「海に散ったウインドサーファー」

Vol.36 「これっておかしいんじゃない?」

Vol.35 「凶は吉なり」
Vol.34 「あと一回」
Vol.33 「いまに見てろ」
Vol.32 「裏返し」
Vol.31 「20年前の自分に出会う」
 
Vol.30 「ミスしたときこそチャンス!」
Vol.29 「自分をRe-framingしてみよう」
Vol.28 「上司をコーチングしてみませんか?」 〜逆コーチングのススメ〜
Vol.27 「いまから遅すぎることはない!」 〜50代に学ぶ「すがすがしさ」〜
Vol.26 「組織でうまく動けなかった自分」
Vol.25 「形のない贈り物」

Vol.24 「何が私を変えたのか? 〜いまの自分で相手にウンと言わせる5つのヒント〜」

Vol.23 「コーチングで会話が変わる?」 

Vol.22 「可能性のドアをたたく」

Vol.21 「ワークショップで組織が生き返る!」 
 
Vol.20 「企画を通す喜び」 
Vol.19 「僕ってクレーマー?」
Vol.18 「倒れた父がはじめて見せた笑顔」
Vol.17 「人は変わらない」
Vol.16 「やると決めてからやる人、ただやる人」
Vol.15 「イアン・ソープの翻訳やらない?」
Vol.14 「こだわりがある人は、成功しない」
Vol.13 「人と自分を比べてしまうあなたへ」

Vol.12 「自分のプリンシプルを持つ」

Vol.11 「さあ何か、新しいこと始めよう」
 
Vol.10 「ALS患者から学んだこと」
Vol. 9 「コンプレックスは自分の原動力」
Vol. 8 「自分のものさしを持つ」
Vol. 7 「言葉があなたの人生を決める」
Vol. 6 「未来へ帰る」
Vol. 5 「小さく考える」
Vol. 4 「自分の論理よりその場の論理」
Vol. 3 「2つの悪い知らせ」
Vol. 2 「自信に根拠はいらない」
Vol. 1 「みなさんこんにちは。川村透です。」

 

 

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