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川村透
川村透 講師
プロフィール

「あなたは自分の力を
        信じていますか?」

川村 透(かわむら とおる)
川村透事務所 代表
・モチベーティブ・スピーカー
・翻訳家
・企画コンサルタント

 
Vol.64 メンターめっけた

 皆さんには、メンターと言える人がいますか?
 メンターとは、信頼のおける助言者、支援者のことで、何か困難にぶつかったときに相談できる人のことです。いままで自分は意識したことがなかったのですが、今回、とある出来事から、メンターの存在の大事さを痛感しました。それは・・・

■施設見学のアポをとろうと・・・

  今月半ば、とある地方での福祉団体での講演を控えている私は、「そうだ、事前に障害者施設を見学に行ってみよう。そうすれば少しは働いている職員の方の気持ちがわかるかもしれない」そう思い、とある施設に電話をかけました。

 「あ、あの広報とか、外部の渉外のご担当の方いらっしゃいますか?」
 「はい、私ですが」
 さっそくアポイントをとろうとする私。
 「あの、私、講演などを仕事にしていますカワムラと申しますが、今月、地方で施設関係者の方々に向けて話をさせていただくことになりまして、つきましては、私、そういった施設関係者の方々や障害者の方々とあまり接したこともないものですから、できれば事前に現場の方にお話を伺いたいと思ってお電話したのですが・・・」

通常、こういった電話での依頼でも快く応じていただけるので、軽く考えていたのですが、なんだが雲行きが怪しい。


■「ずいぶん乱暴なお話ですね」 「・・・?」

  「あの、突然の電話で困惑しているのですが、そちら様の所属やご身分などは・・・」
 と電話口に出た年輩の男性は、明らかに面食らった様子。
  「は、失礼しました。川村事務所の川村と申しまして、フリーで講演活動などをしています。もののみかたをテーマにしておりまして・・・」
 とこちらの事情を再度説明します。すると、
 「はあ、そうですか。しかし、何も知識もないのに、突然二週間後に、そんな大勢の人の前で講演をするなんて、ずいぶん乱暴なお話ですよね。私だったら、そんな、まったく知らない分野の人にいきなり話すなんて、恐くてできませんよ」
 との返事。今度はこっちが面食らう番です。
 「は、はあ、そうお感じになりますか」
 「はい」
 「いや、私は何も、障害者福祉の専門家ではないので、そんな専門的なお話などはじめからするつもりもありません。ただ、前知識として、知っておいたほうがいいと思うだけなのですが」
 と言っても、一向に埒があきません。ついに「まあ、見学だったらほかの窓口ですんで、そちらにお回しします」と電話を回されてしまいました。そして、そちらの窓口でもこちらの趣旨を説明したのですが、入所希望や学校関係者の見学以外には例がなく、検討する必要がある、と言われ、なんだか時間がかかりそう。
結局、電話だけではうまく伝わらないようなので、後日、こちらの趣旨をファックスで送ることにしました。


■ 正直に言うのが、いいわけじゃない

 しかし、僕の心はなんだか落ち着きません。
  「こちらは、事前に様子を知っておいたほうが、いきなり予備知識なしで皆さんの前に立つよりもいいと思ってお願いをしたのに。まったく閉鎖的だなあ。何も現場の人の声を聞かずに話をするほうが、よっぽど乱暴なんじゃないのか?」

 そうして、悶々としていると、ふと、以前独立する前に3年間お世話になった社長、下岡さんのことが頭に浮かんだのです。
 彼は、福祉の分野の知識もあり、またはじめてのところにアポをとって訪問するのを仕事にしているので、きっと何かいいアドバイスが聞けるかも・・・。そう思って、久しぶりに電話をしてみました。
 運良く翌日に会えることになり、日本橋のオフィスへ。
 そして僕は、昨日あったことを話しました。

  「・・・というわけで、僕はただ事前に知りたかっただけなのに、乱暴だなんて言われてしまって。まったく閉鎖的な業界ですよね」
 僕は「そうだよね、そりゃ相手が悪かったよ」という答を期待していたのですが、下岡さんの返事は違ったのです。
  「そりゃそうだよー。カワムラ君、そんないきなり、そこで話を聞いて、講演するなんていったら、相手はなんてむちゃくちゃな人だって思うよ」
 「??」
 僕はまたまた面食らいました。
 「そんなもんですかねえ」
 「そうだよ。せいぜい、パネルディスカッションにパネラーの一人として参加して、意見を言わなくちゃいけないので、事前に知識として知っておきたい、くらいにしなきゃ。ウソでもいいから」

  この、ウソでもいいから、っていうのが、僕はちょっと苦手。
 いつも、バカ正直がいいと思っているので、つい自分の意向をストレートに伝えてしまうんですね。うーん、確かにいきなりそんなこと言われたら、ずいぶん横柄な奴と思われるかもねえ。
 下岡さんはこう続けます。
  「いつも言ってるだろ。相手をよく見なきゃダメだって。相手が受け入れやすいような提案をしないと、そんなの、最初から断られて当然だよ。カワムラ君もまだまだだな」

 ははーっ、まったく仰せの通りで。

 下岡さんは、世界中で、あらゆる業種、会社や行政組織、団体や施設などのアポを取っているので、百戦錬磨、その言葉には重みがあります。
 一人で仕事をしていると、「自分のやってることは正しいんだ」っていう思い上がりがよくある。その軌道修正をしてくれるのが、メンターなんですね。
  その後、彼は困っている僕をみて、その場で、自分のツテをたどって、障害者施設関係の人に連絡をとってくれ、なんと次の日に会えるよう便宜を図ってくれたのです。
 やはり、人の紹介ってスゴイ。自分の直接知らない人と、スッと会えるのですから。

  「あー、メンターってありがたいな」
 心から思ったのでした。


■もらうばかりでなく、与えることも

  メンターとの関係で、大事だと思うのは、いつも自分がもらってばかりではダメだということ。つい相手が年上だったりすると、甘えっぱなしになりがちですが、こちら側も相手に役立ちそうな情報を提供したり、動いたりする心の準備が必要だと思うのです。
 今回は、たまたま彼も、アメリカで見つけた本の翻訳を考えていて、そのことで僕に相談があり、そのことなら少しはお役に立てそうなので、僕も付き合いのあるエージェントに電話をして、本の情報を聞いてみました。
 皆さんも、ぜひメンターを見つけてみましょう。できれば数人いるといい。一人だけに頼ると判断も偏ると思うので、自分にないものを持った人を何人かリストアップしてみるといいですね。
 別にあらたまって「あの、今日から僕のメンターになってくれますか」なんて言う必要はなく、勝手に自分の中で、メンターだと思っていればいい。そして、何よりも大事なのは、困ったとき、迷ったときなどに相談に乗ってくれるような関係を、日頃から築いておくことです(用のあるときだけ頼るのでは、調子のいい奴になってしまいますから)。

 あなたのメンターは誰ですか?

 


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Vol.14 「こだわりがある人は、成功しない」
Vol.13 「人と自分を比べてしまうあなたへ」

Vol.12 「自分のプリンシプルを持つ」

Vol.11 「さあ何か、新しいこと始めよう」
 
Vol.10 「ALS患者から学んだこと」
Vol. 9 「コンプレックスは自分の原動力」
Vol. 8 「自分のものさしを持つ」
Vol. 7 「言葉があなたの人生を決める」
Vol. 6 「未来へ帰る」
Vol. 5 「小さく考える」
Vol. 4 「自分の論理よりその場の論理」
Vol. 3 「2つの悪い知らせ」
Vol. 2 「自信に根拠はいらない」
Vol. 1 「みなさんこんにちは。川村透です。」

 

 

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