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川村透
川村透 講師
プロフィール

「もののみかたを
        変えてみませんか?」

川村 透(かわむら とおる)
川村透事務所 代表
・モチベーティブ・スピーカー
・翻訳家
・企画コンサルタント

 
Vol.1 新企画!もののみかたで問題を解決する『もののみかたラボ』
           〜もののみかた×福祉の現場

さて、今回は新企画。もののみかた研究所がお送りする「もののみかたラボ」。
当研究所のテーマは「もののみかたで活路を見出すこと」。今回のテーマは、【福祉の現場】です。
皆さんは、地域にある障害者施設というのを訪れたことがありますか?
今回、講演のテーマに関係があったこともあり、
地元のとある障害者施設にお邪魔して様子を見学させていただきました。

障害者施設って一体何するところ?

 施設って何をするところなのでしょうか。簡単に言うと、障害を持つ人たちの身体機能の維持を目的として軽作業やレクレーションで体を動かしたり(生活介護)、少し働ける人たちには、パンの製造や織物などの作業をやってもらったり(就労移行)、またご家族の負担の軽減や、親元を離れての生活もできるような訓練をする場(短期入所)などの役割があります。
 
  いま、障害者福祉の現場では、大きな変化が起きています。それは「障害者自立支援法」の施行。これは、それまで施設が丸抱えで障害者のお世話をしていたのを、「自立できる人は自立してください。施設は終の棲家ではなく、通過施設ですよ」っていう方向性が打ち出されたのです。そして、こうした方針のもと、これまで行政のほうで負担していた費用を、利用者の利用度にあわせて負担してもらおうということになっています。

  その中で驚くのは、就労移行作業(自立して働くためのトレーニングのような位置づけ)をしている人たちは、なんと「施設利用料」として、お金を払わなくてはいけない。なのでたとえば、おしぼりをたたむなどの仕事をして、月1万円稼いでも、施設利用料1万5千円、給食費1万円、さらには施設までの往復交通費などもかかるため、毎月働きに通えば通うほど赤字になってしまうのです。
 これには、もちろん制度上の問題もありますが(現在見直し中だそうですが)、これらの状況を改善するには、ひとつには働く人たちのお給料をいかにあげるか、が大きなテーマです。つまり、彼らが作り出す商品やサービスの価値をあげたり、新しいアイデアを考えることが必要です。
 
  ところが施設の現場は、金も人もリソースもない。職員の皆さんも、みんないっぱいいっぱいで、アイデアを考えている余裕もありません。また入所者の人たちの特性で、決まったモノを常に一定量つくるというのも難しい(体調や気分もあるため)。まさに制約だらけ。

  今回、見学した施設では、実際次のような問題を抱えていました。

問題1:安定供給が難しい
 当施設では、パンを作っています。長年の実績もあり、とてもおいしいパンです。できれば大手スーパーなどでおいてもらえるといいのですが、そういうところはまず「安定供給」を求められます。ところが、入所者さんの体調や気分などもあり、常に一定のものをつくるというのは難しいので、つい二の足を踏んでしまいます。

問題2:デザイン力・商品企画力がない
 当施設では、また織製品もつくっています。古い着物などの糸をほぐし、模様入りの生地や手作り感のある小物入れなどを作れます。しかし、一般に流通するほどのデザイン力はないので、バザーでおいてもらったり、人の善意に頼っている面が多いのが現状です。

問題3:アイデアを考えている余裕がない
 請負の仕事を増やすため、民間の企業さんにお願いして、請負の仕事を受注したり、新しい仕事を考えたりしなくてはいけないのはわかっているのですが、施設の職員は手一杯でそんな余裕もなく、またそのために人を雇う十分お金もありません。



 さて、皆さんなら、これらの問題をどう解決するでしょうか。

 以下、我が「もののみかたラボ」が出した答です。

解決案1:安定供給ができない→それを逆にブランド価値とする
 働く人たちの特性として、常に同じものを同じ量つくるのは難しい。ならばいっそのこと「つくれないことを強みにする」という発想はいかがでしょう。
ブランド名は「気まぐれパン」。いつも同じものはない。昨日買った食パンは、今日はフランスパンになっている。クリームパンを探しても、今日は変わりにあんぱんが置いてある。でも、味はものすごくおいしい!で、コーナーの一角にこんなPOPを置いておく。 「ごめんなさい。いつも同じパンはつくれません。でもみんな、心をこめて、その日できるパンを一生懸命作っています。どうか、気まぐれなパンをお許しください」とか(笑)。 パンを買えるだけラッキー!そういうブランド価値をつくる。こうすれば、一定供給にこだわる必要はまったくありません。
 
 滋賀県のとあるデイケアセンター内には「もの忘れカフェ」というのがあります。ここは認知症の人たちが集う場で、お茶を飲んだり話をしたり。そこにいけば認知症の人たちとふれ合え、「あーこんな人たちなんだ」と理解ができる。コーヒーを頼んだら紅茶がでてくるかもしれない(笑)。でもそれでもいいじゃないですか。それが認知症なのですから。この「物忘れカフェ」というネーミングで、マイナスなイメージを、ほのぼのとしたものに変えてくれる力がありますね。
こうした発想が素敵です。


解決案2:デザイン力・商品企画力がない→ユニクロと手を組む
 皆さん、一生懸命、生地や小物入れを作っています。その努力には本当に頭が下がります。しかし、仕事をだしてくれた会社や、バザーにくる心やさしい人たちだけでなく、もっと多くの人が「買いたい」と思うものがつくれないでしょうか。でも、そのためにはおそらくプロの企画力、デザイン力が必要で、そんなものを施設の職員に求めても無理な話です。
であれば、そういう力があるところと手を組めばいい。コラボレーションってやつですね。たとえばユニクロみたいなところに、そういう企画を持っていく。大量には作れないけど、作る技術はある。そこに売れるデザインをつけてくれませんかって。

 いま、企業には社会貢献というのが求められる時代。そうすることで、企業イメージもあがる。福祉にかかわっていることで、企業にとってのブランド価値を高めることができるはずです。元々大量生産はできないのですから、逆にはじめから一点もので勝負する。
一点ものの小物入れ、ラグマット、テーブルクロス、ペンケース。そしてそれらの製品にはブランド名をつけましょう。施設って呼び名をやめ「ファクトリーA」とか。「ファクトリーA+ユニクロ」シリーズみたいにすればカッコイイ。どうです、案外イケるかも?


解決案3:アイデアを考えている余裕がない→企業の新人研修で考えてもらう
 これも、余裕がないならよそを巻き込めばいい。たとえば、コンサルティング会社、イベント企画会社などの新人研修でアイデアをだしてもらいましょう。テーマは「福祉施設のニュービジネス」。前述のように、福祉の現場は制約だらけ。ということは、逆に頭のひねりがいがある(笑)格好のテーマなワケです。人もリソースもカネもない、その中でいかに施設の労働力を使い、販路を確保して、売れるものをつくるか。考えただけでもチャレンジングでワクワクするテーマですね。
そしてコンペをやり、優秀案は実際にやってみる。企業にとっては、アイデアを出すよい訓練になるし、社会貢献にもなるし、少し手伝ってあげることでそのビジネスが軌道にのるかもしれません。
 

いかがでしたでしょうか。
このように、もののみかたを変えることで、行き詰った現場に、一筋の光が見えてくる。
もののみかたで解決できることはたくさんあると思います。

 
川村透
<福祉施設でつくられるおいしーいパンを前に


 


<川村 透講師のコラム バックナンバー>

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Vol.65 「普通の人でも輝ける

Vol.64 「メンターめっけた」

Vol.63 「事務所選びはクリエイティブ?」
Vol.62 「もののみかたを変えて ディズニー式コミュニケーションを実践しよう!」特別編

Vol.61 「桑田投手の怪我を思う」

 
Vol.60 「自分の正しさをいったん手放す」
Vol.59 新刊発売記念インタビュー 「仕事も人生もハッピーの秘訣は『もののみかた』にある!」特別編
Vol.58 「ノーブレス・オブリージュ」
Vol.57 「親との関係」
Vol.56 「私と仕事と会社」
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Vol.51 「変わる!リーダーシップ〜魅力的なリーダーとは?」 特別編
 
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Vol.17 「人は変わらない」
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Vol.15 「イアン・ソープの翻訳やらない?」
Vol.14 「こだわりがある人は、成功しない」
Vol.13 「人と自分を比べてしまうあなたへ」

Vol.12 「自分のプリンシプルを持つ」

Vol.11 「さあ何か、新しいこと始めよう」
 
Vol.10 「ALS患者から学んだこと」
Vol. 9 「コンプレックスは自分の原動力」
Vol. 8 「自分のものさしを持つ」
Vol. 7 「言葉があなたの人生を決める」
Vol. 6 「未来へ帰る」
Vol. 5 「小さく考える」
Vol. 4 「自分の論理よりその場の論理」
Vol. 3 「2つの悪い知らせ」
Vol. 2 「自信に根拠はいらない」
Vol. 1 「みなさんこんにちは。川村透です。」

 

 

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