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渡辺 真由子のコラム「子どもを取り巻くメディア」
渡辺 真由子
渡辺 真由子(わたなべ まゆこ)
メディアジャーナリスト

放送局報道記者として、いじめ自殺を取材したドキュメンタリー「少年調書」で日本民間放送連盟最優秀賞など受賞。その後カナダのメディア分析所に留学し、メディアリテラシーを研究。インターネットやテレビ、新聞などのメディアを"賢く"読み解くためのノウハウをわかり易く解説。

 渡辺 真由子講師詳細プロフィール
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Vol. 3 『リアルでご機嫌伺い』
(2010年06月10日)

 子どもたちがメール漬けになっている現状は以前紹介した。だが一方でいま、メールの流行に逆行する形の新たなコミュニケーション・サイトが台頭しつつある。「リアル」だ。

 「リアル」は、掲示板形式のホームページ。そこに、リアルタイムの自分の様子を一言ずつ実況中継する。プロフと同様、自分専用のサイトを持つことが出来る。3年ほど前に誕生し、急速に普及してきた。ある大手リアルサイトが抱える利用者数は約600万人、さらに1日あたり約6千人から新規利用の申し込みがあるという。その8割が女子中高生だ。

 「なんかつまんねー」「まじヒマ」「部活終わった」
 日記と違い、子どもたちがリアルに書き込む文章は非常に短い。その時々の気持ちや状況をつぶやく程度である。これを一日に数回、多い子は10回以上書く。なぜわざわざ、こんなことをするのか。

 実はこうした発信によって、子どもたちはメールの「ムダ打ち」を防止しているのだ。
 「友達が何をしているかが気になったら、まずその子のリアルを見に行く。で、いまメールを送っていいか確認する」とA子は言う。例えば相手のリアルに「もう寝る」と書かれていれば、メールするのを控える。せっかく送っても返信がこない、といった「ムダ」を省くことが出来る。

 メールをもらう側にとっても、返信できない理由を一斉に「お知らせ」出来るのは効率的だ。返信出来なかったことへのお詫びのメールを個別に送る、といった「ムダ」を省ける。もちろん、返信の遅さをめぐって仲がこじれるようなトラブルも回避出来る。
 B子はヒマなとき「誰かメールしよ」と自分のリアルに書き込み、友達が見てくれることを期待する。特定の相手に直接メールを送ることはしない。「メールだと、返信しなきゃいけないプレッシャーを相手に与えちゃうから」

 リアルでのやりとりは、メールをめぐる様々な「面倒くささ」に疲れた子どもたちによる「成熟したコミュニケーション」と捉えることも可能だ。だが、リアルで相手の機嫌を伺わないとメールも送れない友人関係はより間接的で、あたかも腫れ物に触るかのようである。

 遠慮の無い付き合いが出来ないのは、お互いに嫌われたくない思いが強いからだろう。裏返せば、自分に自信がないのだ。「そのままのあなたでいい」と受容された経験に、乏しいのかもしれない。




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