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長野茂のコラム「日常ながら運動のススメ」
長野茂
長野茂(ながの しげる)
株式会社フィットネスビジネス研究所代表取締役

早稲田大学第一文学部卒業後、ソニー企業入社・海外事業開発。その後、日本に米国のフィットネス事業のシステムを導入し、スポーツ・フィットネスクラブの基礎を確立。2005年、日常ながら運動推進協会設立し、推進に務めている。

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Vol. 8 『ながら運動はグローバル-NEATを高めよう』
(2008年11月10日)

日常ながら運動を考案、提唱して十数年たつが、この21世紀型の健康づくりは日本ばかりでなく世界的にも注目を集めている。今月は、日常ながら運動の研究報告をいくつか紹介する。

10分×3回でも30分連続でも、ウォーキングによる脂肪燃焼効果は同じ

まず、健康づくりの運動は小分けしても効果があるという研究報告(MEDICINE&SCIENSE IN SPORTS&EXERCISE、1998)。

●普段あまり運動をしない40代の女性に対して、週5日、10週間にわたり、時速5~6kmの速足歩きをしてもらった。
●一つのグループは30分連続して歩き、他のグループには10分ウォーキング×3回で合計30分とした。
●食事は普段通りとしたた。
●その結果、両グループともスタミナの指標である最大酸素摂取量が増加し、皮下脂肪が減少し、腹囲のサイズが減少し、血圧も改善された。 しかも、両グループの間には改善の差異はほとんどみられなかった。

この報告は衝撃的なものであった。なぜなら、それまでは10分程度の運動では脂肪燃焼効果がないというのが定説であったからだ。多くの人が健康づくり、ダイエットの重要性を認識しながらも、30分の壁にぶち当たり挫折していた。しかし、30分は無理でも10分程度のウォーキングなら、通勤時、仕事での外出時、昼休みでなど、ちょこまか行うチャンスはいくらでもある。

つまり面倒でも、苦しくもなく、ちょこまか小分けで行うことでメタボから脱出できるのだ。健康づくり運動のハードルが低くなれば、モチベーションも高まるのではないか。

日常ながら運動はNEAT効果
ライフスタイルの違いが肥満に大きく影響するという研究報告も興味深い。食べ過ぎても太らないような人は、日常生活の中でちょこちょこ体を動かして、いつのまにかカロリーを消費しているという(米国科学誌「SCIENSE」、1999年)。

●体重維持に必要なカロリーより1000kcalも多い食事を8週間にわたって取らせた。ちなみに1000kcalというと、ご飯では4~5杯分、ラーメンでは2杯分、大盛りカツ丼では1杯分、寿司では2人前、チーズバーガーでは3個分くらいに当たる。
●その間、肥満防止のためにジョギングや水泳といったの特別な運動やスポーツは禁止したが、日常活動は普段通りとし、各人に自由にさせた。
 
  その結果分かったことは、
●運動とも言えないような日常活動を活発にする人ではあまり肥満せず、日常活動の不活発な人は肥満した。
●両者を比較したところ、体脂肪蓄積で10倍以上もの個人差が出た(最小+0.36kg、最大+4.23kg)。

この「運動ともいえないような(NonExercise)、日常動作(Activity)の繰り返しで消費するエネルギー(Thermogenesis)」の頭文字から「NEAT」効果と言われる。NEATとはまさしく日常ながら運動理論にぴったり当てはまるものだ。

肥満とやせの分かれ道は2.5時間
このNEAT効果の研究は継続されている(米国科学誌「SCIENSE」、2005年)。
●やせ気味の人と肥満気味の人の合計20人をそれぞれ10日間にわたり行動を観察した。
●その結果、肥満気味の人はやせ気味の人よりも1日平均で約2.5時間座っている時間が長く、歩行時間や立って行う作業時間が少ないことが分かった。それをエネルギー消費に換算すると、約350kcalの差になる。計算上だと、1ヶ月だと10500kcalで、脂肪約1.5kg減に(脂肪1kg=7200kcalで換算)に、3ヶ月では4.5kgの減量が可能なのである。重たい腰も上がろうというものである。

ジムに行かなくても家事ながら運動で充分
日常活動とフィットネス施設でのトレーニングを比較した研究レポートも紹介する。これによると毎日歩いたり、清掃したり、ガーデニングといった日常生活での活動を工夫すれば、トレーニングジムに行くのと同じくらい改善効果が上がるという。(「JAMA」、1999年)。

●35歳から60歳までの男女235人を2グループにわけ、1つのグループには日常生活の中で1日30分だけ意識的に体を動かさせ、もう1つのグループには1週間のうち5日間、20分から60分、トレーニングジムで激しく運動をさせた。
●6カ月後の健康診断の結果、両グループともコレステロール値、血圧、体脂肪で同じ程度、改善されていた。
このことは、わざわざフィットネスジムに行かなくても、普段からよく歩き、関節や筋肉を充分伸ばし、ちょっと重いものを移動させるような家事労働の工夫などで充分体調改善、運動不足解消、ダイエット、生活習慣病等の改善ができるということである。

仕事や家事などの日常生活活動は必ず毎日行うものである。お腹のたるみをさすったり、つまんだりする暇があるならば、まずは、日常生活を活動にしてNEATを高める工夫をしよう。NEATとは毎分、毎時間、毎日の「塵も積もれば山となる」の典型なのだと心得よ。




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