- 『本質眼 楽天イーグルス、黒字化への軌跡』
島田亨 著 (アメーバブックス)
―――38勝97敗1分。
新規参入した楽天イーグルスで初年度、不可能と言われた黒字化を達成。
「経営の本質を見極めれば、業種はもはや無関係である」と書かれた帯。
確かに、チームは当時噂された100敗こそしなかったものの、ダントツの惨敗。
やっぱりダメか・・・。そんなムードが東北に流れた。それに続く初代・田尾監督の解任。
楽天はどこへ向かっていくのか。そんなこともささやかれた。
本書は渦中の人、球団社長が今までの本当の事実を語るとともに、
経営もファンに対する姿勢も何事も「本質を見抜く眼」があれば
必ずや正しい方向に向かうであろうことを、伝えている。
ただ、その本質を見抜くというのは、なかなか凡人には難しいのだけれど・・・(笑)
(馬場真由香)
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『御社の営業がダメな理由』
藤本篤史 (新潮社)
表題からインパクトのあるこの本。
『スーパー営業マンの存在を信じない』、『営業成績は基本が営業量に依存する』など提言している。
とても現実的だがなかなか受け入れがたい人も多いのではないだろうか。
藤本氏はスーパー営業マンがいれば営業は改善されるといった幻想を捨て、
今いる人材で営業力を高めるために3つの方程式を挙げている。
・ 営業結果=営業量×営業能力
・ 営業量=営業時間−(意識的怠慢時間+結果的怠慢時間)
・営業能力=営業知識+営業センス力+グランドデザイン力 |
例えば、営業マンは営業に時間、意識などを集中投下できるような環境をつくるために
営業日報を廃止する。営業マネージャーは営業マンの管理、サポートに集中させるなど。
実は、私が以前働いていた会社では電話報告の他に営業日報があった。
内容が重複してしまってもマネージャーは日報に返答を書かなければならなかったり、
上司の意向で通常業務のほか、部下よりも目標も高く仕事量も多い上に
マネージャー業務をこなしているという状態だった。
いかに無駄や心身的な負担をなくし、組織としての営業力を強化するかといった本なので、
営業マネーシャーや中小企業の経営者の方に、是非読んでいただきたい。
(森川由布)
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『最高の上司が実践する哲学』
江上剛 著 (青春出版社)
出来る上司は?伸びる部下は?など、理想の上下人間関係特集が
ビジネス各誌で賑やいでいる昨今。非常に興味深いタイトルの一冊が出た。
著者、江上剛氏は1997年の第一勧銀(現みずほ銀行)総会屋事件時、広報部次長として
混乱の収拾に尽力した功労者の一人だ。その適切かつ勇気ある決断と行動力については、
小説「金融腐食列島」に詳しい。(高杉良著・同名映画では主演・役所広司のモデル)
常に現場に身を置き、数々の修羅場をくぐっている人物だけあり、
本書で発するその一言と具体例はとてもリアルだ。
“誰に対しても素直に振舞う”、“火中の栗を拾う”、“一所懸命”、“人脈は本音で深く”など、
シンプルだが、いずれもガップリ四つにその時々の問題と向き合い、経験から出てきた言葉だろう。
突き詰めて考えてみると、ビジネスも恋愛同様、相手あってのもの。
大切なのは、いかに相手に「入り込む」か、ではないだろうか。
勿論タイミングや飛び込み方の勘所はあるにせよ、
欲得抜きの人間力での対峙は、必ず人望につながる。
「上司と部下として」の前に、人としてどうあるべきか。
江上氏の一番の哲学がここにある気がした。また、自分もそうありたいと思う。
組織で働く人だけでなく、経営者や学生などが読んでも気づきが与えられる貴重な一冊だ。
(吉田麻里)
- 『オシムの言葉』
木村元彦 著 (集英社インターナショナル)
たとえば、準備不足の選手たちに向けて核心を突いた一言。
「ウサギがライオンから追われて逃げる時に肉離れを起こしますか?要は準備が足らないのです」。
試合前に「絶対に勝ってくださいね!」と激励するスポンサーに対しても容赦ない。
「そんなに勝ちたいのなら、レアル(・マドリッド=スペインの強豪クラブ)の
スポンサーでもやったらどうですか?」
サッカーの監督の談話とは思えない深遠な言葉は、哲学的とすら感じる。
「夢ばかり見て、あとで現実に打ちのめされるより、
現実を見据え、現実を徐々に良くしていくことを考えるべきだろう」。
ジェフ千葉の監督時代から含蓄ある言葉が注目を集めていたイビツァ・オシム氏。
本書は金言集というよりもむしろ、オシム氏の半生を丁寧に追っている人物伝といえる。
氏の故郷、旧ユーゴスラビアのボスニアは、90年代に内紛で多くの犠牲者を出した。
隣人同士が殺し合う民族紛争の悲惨さに心が暗くなってしまう箇所が多くある。
そういった背景を知ってこそ「オシムの言葉」に説得力を感じてしまうのは皮肉なことだが、
一方で「無知は罪」だということを改めて思い知らされた一冊だ。
(上原深音)