Vol.35
「そこに夢はあったのかね?」
「¥マネーの虎」を見た。毎週、事業をおこしたい志願者が、お金を出す側の「虎」にプレゼンをするというテレビ番組。「こういう事業をしたいので、1000万円投資してください」というように。先週、今週は特別バージョン。堀之内九一郎さんに、司会の吉田栄作が、撮影終了後、こう切り出す。「堀之内さん、なぜ、金を出さないんですか?」
堀之内さんがどんな経緯を経て今にいたったかを、赤裸々に語った。「あー、あのとき話してたあの話だ!」と、弊社セミナーで講演していただいたときの白熱ぶりを思い出した。資産家の家に生まれ、根っからの商売気質。しかし家が破産。夜逃げ同然で逃げたが、両親は早くになくなり、数億あった遺産もすぐに遊びで使ってしまう。会社を作っては倒産。作っては倒産。膨らんだ借金は1億5000万円。そんなとき、助けるようにお金を出してくれる人がいて、また事業をはじめ、成功。借金を返したところで、スタッフがお金を持ち逃げし、また会社が倒産。いよいよホームレスとなり、ゴミをあさって生活していたころ、捨てられていた電化製品を修理して売れば、お金になることを思いつく。「もっとすごい金儲けになる商売、ないもんかな」とホームレス仲間に語ったところ、こういわれたそうだ。
「そんなあんたに商売できっこないよ。商売って何だ? 人は何のために商売する? 人は金を儲けるために商売するんじゃない。商売とは自分が楽しいと思ったことを、とことんやることだよ。人は、ほんとに楽しいと思ったことには、いくらでも労力を惜しまないだろう。それだけ、がんばれるってもんだ。そこに大きな夢をかかげてまっすぐに進む。それが商売ってもんだ。金儲けを1番に考えるあんたは、今まで自分が本当に楽しいと思ったことを商売にしてきたのかね? そこに夢はあったのかね?」
堀之内さんは商売はどんな仕事でもいい。お金が儲かればいいと思っていた。だけどその人の言葉で人生が変わったのだそうだ。
「今のゴミ拾いは、ものすごい楽しい。一生楽しめると思う。それを何とか商売にできないかと思い、今の『生活創庫』がある。社会的信用と経済力、そして経営者としての資質があれば成功する。経済力というのは、宝くじで何千万円あたったというような、一時的なお金ではなく、毎月いくら稼げる可能性がある人かということ。そして最終的に、経営者としての資質がそなわっていないと苦しい。金儲けでスタートする人は失敗する。だから、私はそうたやすくはお金は出さない。その人のためにも」と最後に語った。
ホームレスの仲間が語った、「そこに夢はあるのか?」。
心にとめておく言葉だなあと、思った。
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